2023年2月7日(火)

WEDGE REPORT

2020年10月9日

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ピーター・マーケズ

米国国家宇宙会議上級顧問

米国防省勤務時代、空軍および国防長官府の様々な宇宙関連事業や機密事業に携わる。その後3政権にわたりホワイトハウスに勤務し、ブッシュ政権、オバマ政権では宇宙政策担当部長。日本宇宙安全保障研究所では現在理事を務める
 

観測衛星などが暴露した
数々の中国の悪事

 宇宙開発計画によってもたらされる世界は、共産主義の存続に必要なものとは反対の性質をもつ。

 地球観測衛星が暴露した中国の強制収容所では、依然として自国民であるウイグル族の人々が収容され、不妊手術などの強制や殺害が行われていた。船舶追跡衛星は、大量の中国国籍船舶が違法漁業を世界中で行い、世界の食物供給を乱し、繊細な生態系バランスを損なっていることを明らかにした。

 今年7月には、230を超える中国漁船がガラパゴス諸島の保護海域に所在することが衛星画像から判明したばかりだ。

 また、グローバル衛星通信も中国の大規模なインターネット検閲システムを脅かし、共産党による検閲を回避して、中国国民は真の情報へのアクセスが可能になる。もし中国が本当に日本、米国や欧州と宇宙協力を行うとしたら、中国共産党による国家支配が脅かされるだろう。

 世界が宇宙に依存していること、また中国やその他の無責任なアクターの宇宙における行動を理由に、米国は衛星を防護するために軍事部門を新設せざるを得なくなった。それが米国宇宙軍(USSF)である。宇宙軍は、米国と同盟国の宇宙における利益を守り、またその宇宙システムへの脅威に対応することを任務としている。宇宙空間における敵対行動を抑止するため、米国はあらゆる国との建設的協力に尽力しており、もし抑止が成功しなかった場合には、国家安全保障および同盟国の安全保障を確保するための措置をとる。

宇宙軍の旗を披露するトランプ大統領 (REUTERS/AFLO)

 宇宙開発計画のおかげで、日本、米国および同盟国は、世界中での中国の軍事活動を監視することができる。また、もし中国が米国とその同盟国の集団安全保障を侵害した場合には、ミサイル攻撃からの自国民保護や、陸海空領域での中国の軍事行動の打破を含め、多くの分野で軍事的に決定的に優位に立つことができる。

 宇宙軍の創設に加え、米国と日本は、安全保障と繁栄に対する中国からの脅威に対応するため、非軍事分野でも多くの協力を行っている。これらは強固な日米宇宙協力を維持し、科学と経済における繁栄を拡大するための活動である。

 米国と日本は、「宇宙状況監視(SSA)」という取り組みにおいても協力している。SSAでは宇宙空間の物体を追跡することができ、宇宙デブリとの衝突から衛星を守ることに資する。米国、日本およびその他の国々は、衛星を活用して海洋における船舶の動静を把握し、共同で「海洋状況把握(MDA)」にあたっている。MDAは合法の漁業を支援し、また自然災害への対応と災害復興活動において緊急対応要員を支援する。

 日本は、米国のGPSシステムを補完する、準天頂衛星システム(QZSS)を構築した。GPSとQZSSがともに運用されることにより、東京のようなGPS信号を遮る「高層ビルの谷間」問題も解決され、日本の市街地でのナビゲーションが可能になる。


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