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2020年10月14日

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米連邦最高裁判所の判事に指名されたエイミー・コーニー・バレット氏(48)の承認をめぐる2日目の公聴会が13日、連邦議会上院の司法委員会であった。バレット氏は主要問題に関して見解を求められると、直接の回答を避けた。

保守派のバレット氏はこの日、人工妊娠中絶や健康保険制度、性的少数者(LGBTQ)の権利をテーマにすることをたびたび回避。

それらの問題について特別な意図はもっていないとし、あくまで「法の支配」に固執すると誓った。

バレット氏は、リベラル派の最高裁判事だったルース・ベイダー・ギンズバーグ氏が先月、87歳で死去したことを受けて、ドナルド・トランプ大統領から後任に指名された

「法の支配にこだわる」

公聴会では、司法委員会のリンジー・グレアム委員長(共和党)がバレット氏について、「トランプ大統領によるすばらしい人選」と称賛。同党のチャック・グラスリー委員は、これまでの記録から、バレット氏が個々の裁判に「偏見なしに」臨むことがわかると述べた。

一方、民主党の委員らは、バレット氏が第7巡回区控訴裁判所判事として出した判決をめぐって質問を重ねた。それらの判決の多くは、リベラル派だったギンズバーグ氏の哲学に逆らうものとみられている。

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司法委員会の民主党トップ、ダイアン・ファインスタイン委員は、人工妊娠中絶とLGBTQの権利について、バレット氏の意見を求めた。それに対し同氏は、現役の裁判官として「判例についての個人的意見を述べる」のは間違いだと答えた。

バレット氏はまた、「私は法の支配にこだわる意図をもっている」とし、他の判決を「覆そうとする意図はない」と述べた。

バレット氏は信心深いキリスト教カトリック教徒。この日は、公私ともに個人的な好みを他人に「押し付けようとしたことは一度もない」と述べた。


健康保険めぐる懸念

民主党側は、来月に最高裁で予定されている健康保険制度改革をめぐる裁判で、バレット氏が改革を否定する1人となることを懸念している。

バレット氏はこれまで、バラク・オバマ政権による医療保険制度改革法(オバマケア)を支持した2012年の最高裁判決を批判している。同法は数百万人のアメリカ人を医療保険の対象に加えた。

ただこの日の公聴会では、同法についての見解を求められると、まもなく最高裁で検討されると指摘し、「裁判官の行動規範から意見を表明できない」と答えた。

また、健康保険をめぐる裁判についての考えを、「大統領や彼のスタッフの誰にも話したことはない」と説明。裁判で「特定の結果」を得るために誰かを裁判官に据えるのは、「司法の独立に完全に違反する」と付け加えた。


バレット氏は、最高裁で大統領選の結果が争われた場合、その協議に加わらないと誓うことも拒んだ。不適格者に関する法律には「完全かつ誠実に」従うと誓ったが、「法的結論は今すぐには示せない」と述べた。

大統領選の結果をめぐって論争が起きたときは、最高裁の介入が理論上、認められている。ジョージ・W・ブッシュ氏(共和党)とアル・ゴア氏(民主党)が争った2000年大統領選では実際に介入した。

就任すれば保守優勢が鮮明に

司法委員会がバレット氏の指名を認めると、上院本会議で採決がある。承認されれば、終身制の最高裁判事への就任が決まる。

共和党は来月3日の大統領選挙までに承認したい考え。バレット氏が就任すると、最高裁のイデオロギー面でのバランスは、今後数十年にわたって6対3で保守派優勢となるとみられる。

野党・民主党は、政治的に微妙な裁判において、最高裁が共和党に有利な判決を出すことを懸念している。

また、大統領選の結果をめぐって最高裁で裁判になる場合に備えて、トランプ氏が保守派のバレット氏を判事に就任させたいと公言していたことから、民主党はバレット氏の最高裁判事としての中立性を疑問視している。

承認手続きはどう進む?

上院司法委員会の公聴会は、4日間にわたって開かれる。

委員会は、指名を承認して上院本会議にかけるか、採決によって決める。どの委員も、採決前に1週間の時間を求めることができる。議場外でリモート投票ができるのかは明らかになっていない。

委員会がバレット氏の指名を承認すれば、上院本会議での採決へと移る。共和党側はすでに、承認に必要な51票を確保しているとみられる。


共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は、大統領選までに本会議での採決を終わらせると宣言している。

予想外のことが起こらない限り、民主党がバレット氏の最高裁判事就任を止めることは難しいとみられている。

共和党の矛盾を指摘する声も

ギンズバーグ氏が9月18日にがんで死去して以降、共和党上院議員らは、大統領選に合わせて最高裁判事の指名を押し通そうとするのは偽善的だと批判されている。

マコネル上院院内総務は前回大統領選があった2016年、バラク・オバマ大統領(当時)によるメリック・ガーランド氏の最高裁判事指名について、公聴会を開くのを拒んだためだ。

大統領選の237日前に発表されたガーランド氏の指名は、上院で多数を占める共和党によって阻まれた。共和党上院議員らは当時、最高裁判事は大統領選のない年に決められるべきだと主張した。

民主党議員らは共和党議員らに対し、これまでと一貫した態度を取るべきだと主張。有権者の判断を仰ぐべきだとしている。共和党議員らは、民主党側も2016年以降、姿勢を変えていると反論している。

(英語記事 Trump Supreme Court pick deflects key questions

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54534393

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