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2020年11月8日

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米大統領選では7日午前(日本時間8日未明)、民主党のジョー・バイデン副大統領(77)の当選が確実になった。バイデン氏は同日夜、勝利宣言をし、「分断でなく団結させる大統領になる」と誓った。一方、共和党のドナルド・トランプ大統領(74)は、勝ったのは自分だと主張。選挙で不正があったとして裁判で争う姿勢を示しているものの、ホワイトハウスは同日夜、「大統領は自由で公平な選挙の結果を受け入れる」との声明を出した。

BBCは7日午前、激戦州のペンシルヴェニア州(選挙人20人)でバイデン氏が勝利し、当選に必要な選挙人270人以上を獲得する情勢となったと報じた。ほかにも米CNNやAP通信など、複数の主要メディアが、バイデン氏の当選確実を伝えた。保守系フォックス・ニュースも日本時間8日午前1時40分ごろ、バイデン氏の当選確実を伝えた。

ペンシルヴェニア州での勝利でバイデン氏が獲得する選挙人は273人に上り、全ての州の合計538人の過半数を超える情勢になった。3日の投票日から4日たって、ようやく当選者が固まった。

その後、西部ネヴァダ州(選挙人6人)でもバイデン氏の勝利が確実になり、獲得した選挙人の数は279人に達した。

バイデン氏が勝利宣言

バイデン氏は7日夜(日本時間8日午前)、地元デラウェア州ウィルミントンで演説し、「この国の人々は、明確で説得力のある勝利をもたらしてくれた」と勝利を宣言した。

そして、「私は分断するのではなく団結させる大統領になると誓います。赤と青に分かれた州ではなく、団結した州(合衆国)を見る大統領に、国民全員の信頼を勝ち取るために全身全霊で努力する大統領に」と語ると、聴衆から大きな歓声があがった。

さらに、「豊かな心としっかりした手で、アメリカとお互いを信じ、国を愛し、正義を渇望しながら、自分たちがなれると分かっている、そういう国になりましょう。結束した国、力を増した国、癒やされた国に」と呼びかけ、分断した国の修復が重要だと重ねて強調した。

女性として初の、またアフリカ系・アジア系としても初の副大統領に就任することが確実となったカマラ・ハリス上院議員(55)も登壇し、「みなさんは希望、結束、良識、科学、そしてそう、真実を選びました」、「みなさんは次期アメリカ大統領にジョー・バイデンを選んだんです」と演説した。

また、「私は最初の女性副大統領になるかもしれませんが、私が最後ではありません。これを見つめている全ての小さい女の子が、この国は可能性の国だと理解するからです」と述べた。

バイデン氏は来年1月の就任時には78歳になっており、アメリカ史上最高齢の大統領になる見込み。

一方、トランプ氏は「自分は圧勝した」とツイートし、投開票に不正があったと主張しているものの、ホワイトハウスはバイデン氏の勝利宣言に先立つ7日夜、「大統領は、自由で公平な選挙の結果を受け入れる」、「トランプ政権はあらゆる法定要件に従っている」との声明を出した。

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現職大統領が再選されないのは、1992年大統領選でジョージ・H・W・ブッシュ大統領が敗れて以来となる見込み。

BBCは、開票が終了した州の非公式の結果と、開票が続いている州の結果予想を総合して、バイデン氏が当選確実になったと判断した。

今回の選挙では、新型コロナウイルスのパンデミックや投票所での混乱への懸念などから、1億人以上が郵便などで期日前に投票した。米フロリダ大学のマイケル・マクドナルド教授(政治学)たちが運営する選挙データサイト「U.S. Election Project」の集計によると、投票率は66.4%の記録的なレベルに迫っている。

バイデン氏の得票数はすでに、バラク・オバマ氏が2008年に記録を作った得票数6940万票を上回り、過去最多の7400万票を超えている。トランプ氏のこれまでの得票数は約7000万票超とされる。全国的な得票率は日本時間8日未明現在でバイデン氏50.6%、トランプ氏47.7%という。

「すべてのアメリカ人の大統領に」

バイデン氏は、日本時間8日午前2時前にツイッターで、「アメリカ。この偉大な国のリーダーとして私を選んでくださって、光栄です。これからの道は厳しいものになりますが、これは約束します。私はすべてのアメリカ人の大統領になります。私に投票したかどうかを問わず。私に託してくださった信頼に応えます」と表明した。

https://twitter.com/JoeBiden/status/1325118992785223682?s=20


また、今はアメリカが「ひとつになって、癒やす」時期だとし、「選挙戦は終わった。怒りと激しい言葉も終わりにして、国としてまとまる時だ」と述べた。

さらに、アメリカが「過去に例のない困難」に直面する中で、投票率が記録的な高さとなったことは、民主主義が「アメリカの心髄で息づいている」ことを示したと話した。

ハリス氏は、「この選挙はジョー・バイデンや私のことより、はるかに大きいものです。アメリカの魂と、そのために闘おうというみんなの意欲のための選挙でした。これからやるべきことはたくさんあります。さあ始めましょう」とツイートした。

https://twitter.com/KamalaHarris/status/1325119592130252801?s=20


ハリス氏はさらに、バイデン氏に祝福の電話をかけている様子の動画をツイートした。「やった、やりましたよ、ジョー! あなたが次のアメリカ大統領ですよ!」と喜んでいる。

https://twitter.com/KamalaHarris/status/1325126733482385409?s=20


ジル・バイデン夫人は、バイデン氏と共に「ここにはバイデン博士とバイデン大統領が住んでいます」と看板を手に(「副」の文字を手で隠している)、「この人はすべての家族のための大統領になります」と投稿した。

https://twitter.com/DrBiden/status/1325146858763718658?s=20


バイデン氏が副大統領を務めたときの大統領だったバラク・オバマ氏も、ツイッターで祝福。「次期大統領のジョー・バイデンと次期ファーストレディのジル・バイデンにおめでうと言う。これほど誇らしいことはありません。そして、カマラが次期大統領に画期的な形で当選したことについて、カマラ・ハリスとダグ・エムホフにおめでとうと言う。これほど誇らしいことはありません」とコメントし、「経験したことのない状況での今回の選挙で、アメリカ人はかつてないほどの規模で投票した。すべての票を数えた時点で、バイデン次期大統領とハリス次期大統領は歴史的で決定的な勝利を収めることになる」とした。

https://twitter.com/BarackObama/status/1325136780396437507?s=20


接戦のジョージア、アリゾナ、ノースカロライナ、アラスカの各州では開票が続いており、まだ勝者が予想されていない。しかし、仮にトランプ氏がこれら全ての州で勝利しても、獲得する選挙人でバイデン氏に及ばない。

今回の大統領選は、米国内で新型コロナウイルスの感染者と死者が増え続ける中で開かれた。トランプ氏は、バイデン政権になればロックダウンが実施され、経済が落ち込むと主張。一方、バイデン氏は、現政権の感染対策が不十分なため流行が拡大したとトランプ氏を非難した。

トランプ氏は敗北認めず

バイデン氏当選確実を各社が伝えた時点で、トランプ氏はワシントン近郊のゴルフ場にいたという。

米主要メディアなどの「当選確実」を候補者らが受け入れ、敗れた側は敗北宣言をするのが通例だが、トランプ氏は7日、敗北を認めないと表明した。

トランプ氏は7日朝、「大統領選があった火曜日午後8時以降に何万もの票が不法に受け付けられ、ペンシルヴェニアや他の僅差の州の結果を完全かつ簡単に変えてしまった。それとは別に、何十万もの票について開票の立ち会いが不法に認められなかった…」とツイート。開票結果を受け入れない考えを改めて示した。

またトランプ氏はバイデン氏が当選確実になる前、すべて大文字で「自分がこの選挙に大勝した!」とツイートしていた。

トランプ陣営は声明を発表し、「この選挙はまだまだ終わっていない」と反発。「月曜日から我々は、選挙の法律が完全に守られ、正当な勝者が確実に当選するよう、法廷で訴えを追求していく」と主張した。

トランプ氏の名前による声明は、証拠を示すことなく、バイデン陣営がどのような不正票でも集計を望んでいると主張。「バイデンは何を隠しているんだ? アメリカ国民が与えられるべき、そして民主主義が要求する正直な開票結果が得られるまで、私は休まない」と力説した。

各地の開票所で開票作業に立ち会っている立会人や選管職員は、開票作業に広範でまとまった異例や不正は見つかっていないと繰り返している。

期日前投票が急増

トランプ氏は4日以降、開票作業が続く中で、一方的な勝利宣言を繰り返してきた。激戦州などの投開票で不正があったと根拠を示さずに主張し、少なくとも4州で裁判を提起。ただ、その多くは棄却されている。

ペンシルヴェニア州では選挙前の裁判で、投票日かそれ以前の消印が押されている郵便投票は、投票日以降に届いても集計できるとの判断が示されている。

3日の開票当初は多くの主要州でトランプ氏が優勢だったが、投票所で投じられる票の後に郵便投票の開票が始まると、バイデン氏が徐々に票数を伸ばした。

パンデミックの渦中の今回の選挙では、期日前投票が増大したほか、開封から集計まで手続きが多い郵便投票が一気に増えた。開票所の中でも様々な感染対策が必要な状態状況で、接戦になればなかなか大勢が判明しないのは、あらかじめ分かっていたことだった。

また、以前から郵便投票は不正につながると根拠なく主張し、支持者に郵便投票をしないよう呼びかけていたトランプ氏に対し、バイデン氏は感染対策として郵便投票や期日前投票を活用するよう促していた。そのため、郵便投票はバイデン票に傾くだろうと、これも前もって言われていた。

結果確定はまだ先

開票結果の確定までは、数週間かかるとみられる。ジョージア州では再集計が予定されており、トランプ氏はウィスコンシンでも再集計に持ち込みたい考え。

開票結果について争う場合は、州裁判所に訴訟を提起する。州裁判所が訴えを認め、再集計を命じた場合、これを不服とする側は連邦最高裁に撤回の決定を求めることができる。

12月14日には、選挙人が大統領選の正式な当選者を決める投票が開かれる。各州はそれまでに、開票結果を確定させる必要がある。

新たな大統領の任期は来年1月20日に始まる。同日には首都ワシントンで就任式が開かれる。

各国首脳らが祝福

バイデン氏が当選確実となったことを受け、各国首脳が相次いで祝福のメッセージを寄せた。

ボリス・ジョンソン英首相はツイッターで、「合衆国大統領に当選したジョー・バイデンさんと、歴史的な偉業を達成したカマラ・ハリスさん、おめでとうございます。アメリカは私たちにとって最も重要な同盟国です。気候変動から貿易、安全保障に至るまで、両国が共有する重要課題について、緊密に連携するのを楽しみにしています」と祝意を発表した。

https://twitter.com/BorisJohnson/status/1325133262075940864?s=20


カナダのジャスティン・トルドー首相は、「ジョー・バイデンさん、カマラ・ハリスさん、おめでとうございます。私たち両国は親しい友人であり、パートナーであり、同盟国です。我々には世界のひのき舞台で唯一無二の関係性があります。一緒に仕事をし、あなた方2人とそれを築き上げていくことが本当に楽しみです」とツイートした。

https://twitter.com/JustinTrudeau/status/1325121342568505346


アイルランドのミホル・マーティン首相はツイッターで、バイデン氏を同国の「真の友人」と呼んだ。「アメリカの次期大統領を祝福したい。ジョー・バイデンさんは生涯を通じてこの国の真の友人であり、今後数年間、彼と一緒に仕事ができるのが楽しみです。事情が許せば、彼をアイルランドに喜んで迎え入れたい」。

https://twitter.com/MichealMartinTD/status/1325115676873388035


英スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、「ジョー・バイデン次期大統領と、歴史に残るであろうカマラ・ハリス次期副大統領にスコットランドから祝福を送る」とツイート。英最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、バイデン氏が「私たちがイギリスで共有している良識、誠実さ、思いやり、強さという価値観」に基づいて選挙キャンペーンを展開した」とツイートした。

3度目の正直

バイデン氏にとって、今回の大統領選は3度目の挑戦だった。

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1988年に立候補した際には、英労働党のニール・キノック党首(当時)の演説を盗用したことを認め、撤退した。

2008年も、民主党候補争いの途中で断念。オバマ氏の副大統領候補となった。

副大統領だった8年間には、医療保険制度改革法(オバマケア)などオバマ政権の功績とされる主要政策の実現に貢献した。また、上院外交委員会の委員長をたびたび務めた経験を生かして、オバマ政権の外交政策にも大きく関わった。

デラウェア州の上院議員に初当選したのは1972年で、以降6期務めた。

議員時代の初期には、南部の人種隔離主義者に同調したこともある。人種融和のための公立学校に、裁判所がスクールバスの運行を命じたことに反対した。この点については、大統領選の民主党予備選でハリス上院議員が批判を重ね、バイデン氏は人種融和の方法として異なる学区間に異なる人種の子供を通わせるスクールバス政策そのものに反対したのではなく、それを連邦政府が全国的に命じることに反対したのだと説明していた。

また、1994年に成立した暴力犯罪取締り及び法執行法を強く支持。同法は刑罰を長期化し、多くの人を刑務所に送ったと、左派が批判した。バイデン氏は同法を支持したことについて、大統領選中に「間違いだった」と認めている。

バイデン氏が私生活でたびたび悲劇に見舞われたことは、アメリカでよく知られている。

1972年には、最初の妻ニーリアさんと、赤ちゃんだった娘ナオミさんを自動車事故で亡くした。初めての上院議員の宣誓式を、同じ自動車事故で負傷した幼い息子ボーさんとハンターさんの病室で行ったことも、広く知られている。

2015年には長男ボーさんが46歳で脳腫瘍で死去した。バイデン氏は、2016年大統領選に立候補しなかったのは、ボーさんの死去が影響したと述べた。(英語記事 Biden wins – BBC projects White House victory

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54857107

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