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2020年11月10日

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ドナルド・トランプ米大統領は9日、マーク・エスパー国防長官を解任した。ツイッターで長官を「免職にした」と発表した。また政権内では、ジョー・バイデン前副大統領の当選に対抗する動きが続いている。

国家テロ対策センターのクリスファー・ミラー長官が直ちに長官代行に就くという。トランプ氏の発表から間もなく、ミラー氏が国防総省本部に入る姿が確認されている。

トランプ氏とエスパー氏はこの数週間、関係悪化が明らかになっていた。

エスパー長官は辞表を公表し、「私は憲法に従いながら国に尽くしています。そのため、私を交代させるというあなたの判断を受け入れます」とトランプ氏に伝えた。

野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、トランプ氏を批判。「エスパー長官の唐突な解任は、トランプ大統領が任期末期の日々を使い、アメリカの民主主義と世界各地に混沌(こんとん)をもたらそうとしていることの、気がかりな証拠だ」と述べた。

トランプ氏は大統領選で、ジョー・バイデン次期大統領への敗北を認めていない。選挙結果の予測について、裁判で争うと表明している。

バイデン氏が来年1月20日に大統領に就任するまでは、トランプ氏が現職として政策決定の権限をもつ。

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「選挙は終わっていない」

トランプ陣営は9日、記者会見を開き、ホワイトハウスのケイリー・マケナニー大統領報道官が、「この選挙はまだ終わっていない。終わりにはほど遠い」と発言。票の集計を求め、合計に対して異議を唱える「手続きを始めたばかりだ」と述べた。また、選挙で不正があったとの主張を繰り返し、法廷闘争を本格化すると強調した。

一方で、この会見を中継した保守派の米フォックス・ニュースは、証拠が示されていない主張は放送できないとして、会見の途中で中継を打ち切った。

米報道によると、ウィリアム・バー司法長官は9日、全米の連邦検察官に対して、不正選挙があったという「明確で信憑性のある」「相当の訴え」があり、これが「もし本当ならば、個別の州における連邦選挙の結果に影響し得る」場合は、訴えについて捜査を認めると指示した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、長官によるこの指示は、司法省と連邦検察官は選挙結果に関わらないという長年の伝統を覆すもの。この捜査を指揮する立場だった司法省の公職選挙法違反担当の検察官は抗議し、別の立場に異動したという。

さらに、連邦政府の省庁を管理する一般調達局は、大統領選の勝者はまだ「確認されていない」として、バイデン陣営に政権移行手続きの正式な開始を認めていない。通常の大統領選後は、次期大統領の政権移行チームに、準備作業のため連邦政府施設や予算が与えられ、機密アクセス権が必要な場所への立ち入りなどが認められる。

一方で、ホワイトハウスを取材する複数の記者によると、トランプ氏は来年1月20日には不承不承ながらもホワイトハウスを離れる意向に傾きつつあり、早くも2024年大統領選に出馬する可能性を周囲と話し始めているという情報もある。


エスパー氏との対立

エスパー氏は今年夏、人種差別に対する抗議行動に軍を派遣する姿勢を政府が示したことをめぐって、トランプ氏と意見が衝突した。

ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に首を圧迫されて死亡したことを受け、全土で抗議行動が発生。トランプ氏は鎮圧のために軍を投入すると威嚇した。

軍出身のエスパー氏は6月、現役の軍の投入は不必要だと発言。政府に不快感をもって受け止められたとされる。

この対立で、トランプ氏がエスパー氏を解任するとの見方が広がっていた。トランプ氏は9日の解任発表で、理由を示さなかった。

NATOをめぐっても対立

エスパー氏は、北大西洋条約機構(NATO)を軽視するトランプ氏の姿勢についても異を唱えていた。

先週には米軍事専門メディアのミリタリー・タイムズのインタビューで、ホワイトハウスとの関係は困難なものだが、辞任が正しい行動だとは思わないと述べていた。

「大統領は――何を望んでいるかをとてもはっきりと示す。自分の意見についても非常に明快だ(中略)私は誰かを喜ばそうとしているわけではない」とエスパー氏は述べ、こう続けた。

「私がしようとしているのは、彼が望むことを実現することだ――要は、彼こそ正当に選ばれた最高司令官なのだ――そして、私としては最善を尽くすだけだ」

前任の国防長官も辞任

トランプ氏はこれまでも複数の高官や顧問らを更迭してきた。多くの場合、ツイッターが発表の場になった。

エスパー氏の前任のジェイムズ・マティス氏は、シリア内戦などをめぐってトランプ氏と見解の違いが生じ、2018年に辞任した

今年6月には、人種差別への抗議デモが続くなか、マティス氏はトランプ氏について、「米国民を結束させようとしない、そうしているふりすらしない、私の人生で見た最初の大統領だ。彼は国民を分断しようとしている」と雑誌への寄稿で批判していた

(英語記事 Donald Trump fires Defence Secretary Mark Esper

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54882911

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