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2020年11月10日

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ジョー・バイデン米次期大統領は9日、テレビ演説をし、新型コロナウイルスの「パンデミックを収束に向かわせる」最善の方法はマスクだとして、国民に着用を訴えた。

バイデン氏は、アメリカが「非常に暗い冬」と「過去最悪の(流行の)波」を迎えると説明。新型ウイルスの感染症COVID-19と闘うため、国民は政治的な違いを脇に置く必要があると述べた。

同氏は、「みなさんに心からお願いする。マスクを着けてほしい」と要請。「当面の間、ウイルスに対する最も効果的な武器は依然としてマスクだ」と強調した。

また、「マスクは政治的主張ではない。けれども、国が再び結束するための出発点としては優れている」」と述べた。

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バイデン氏はさらに、政権移行手続きの一環として新型ウイルス対策チーム「政権移行COVID-19諮問委員会」を発足させ、「科学に従う」と誓った。

この演説の前には、同氏は対策チームの3人の共同委員長と10人の委員を指名。共同委員長には、2014年にバラク・オバマ大統領(当時)が公衆衛生局長官に任命し、2017年にトランプ氏によって更迭されたヴィヴェク・マーシー氏が含まれている。委員には、米政府当局で新型ウイルスのワクチン開発を主導していたものの、トランプ大統領の対応に懸念を抱き、保健福祉賞監察官に問題を指摘したところ、更迭されたと議会証言していたリック・ブライト氏も加わった。

ワクチン治験結果を歓迎

バイデン氏は、米製薬大手ファイザーと独バイオエヌテック(BioNTech)が、新型ウイルスのワクチン治験の予備解析の結果、90%以上の人の感染を防ぐことができることが分かったと発表したことにも言及。喜ばしいことだと述べた。

この発表を受けてバイデン陣営は、次期大統領の声明を発表。「私の公衆衛生顧問たちは昨夜、この素晴らしい知らせを受けた。この突破口をもたらし、これほど希望を抱ける理由を与えてくれた素晴らしい人たちに、お祝いを申し上げたい。それと同時に、COVID-19との闘いの終わりはまだ数カ月先のことだと理解するのは大事なことだ」として、引き続きマスクの着用や社会的距離の維持、手洗いなどの感染対策の重要性を強調した。

ファイザーとバイオエヌテックの発表については、ドナルド・トランプ大統領もツイッターで「株価がすごく上がった! ワクチンがもうすぐできる。90%有効という情報。なんて素晴らしい知らせだ!」と喜んだ。

政権移行に向けて

トランプ氏はまだ大統領選の敗北を認めていない。鍵を握る開票結果について争っており、いくつかの州で裁判を起こしている。

バイデン氏は7日午前に当選確実となったが、まだ多くの州で集計作業が続いており、当選は確定していない。同氏はいまのところ総得票数で、トランプ氏を約450万票リードしている。

バイデン氏とカマラ・ハリス次期副大統領は、政権移行のウェブサイトを開設。気候変動や経済、人種差別の問題に力を入れると表明している。

ただ、バイデン氏が政権移行に取り掛かるには、連邦政府の資金を管理する一般調達局(GSA)の強力が必要になる。トランプ氏が任命したGSA長官は、大統領選の勝者はまだ「確認されていない」として、バイデン陣営に政権移行手続きの正式な開始を認めていない。通常の大統領選後は、次期大統領の政権移行チームに、準備作業のため連邦政府施設や予算が与えられ、機密アクセス権が必要な場所への立ち入りなどが認められる。

接触者追跡を改善へ

バイデン氏はこの日、大統領に就任後は、接触者追跡と防護具の供給を改善すると表明した。また、感染状況に人種的な偏りがあることを指摘した。

同氏は、「この危機は全ての人に影響が及ぶものであり、私は全ての人にとっての大統領になる」、「私たちはこのウイルスを制御できる。約束する」と述べた。

選挙運動では、バイデン氏がマスクを着用していたのに対し、トランプ氏はマスクについて二転三転した。

両者は科学的な助言に対する対応でも、違いが明らかになった。バイデン氏は9日、自らの政策は「科学を基盤」とすると述べた。一方、トランプ氏はこれまでたびたび、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士ら科学者の見解と矛盾するコメントをしてきた。

次期大統領として最初に取り上げるテーマに、パンデミック対策を選んだことで、バイデン氏はまもなく大統領になる人間として国民の前で振る舞うことができたと、BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は指摘する。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、アメリカでは9日、新型ウイルスの感染者が累計1000万人を超えた。死者は23万8000人以上に上っている。

路線変更の大統領令

バイデン氏は来年1月の大統領就任に向けて、さまざまな計画の策定を進めている。米メディアによると、トランプ政権下で論議を呼んだ諸政策を変更するため、以下のような大統領令も検討しているという。

  • 地球温暖化対策の国際的な枠組みの「パリ協定」に復帰する。アメリカは4日、同協定を正式に離脱した
  • 子どものときに不法に入国した人を合法移民とみなすバラク・オバマ政権の救済制度(DACA)を復活させる

(英語記事 Biden tells Americans: I implore you, wear a mask

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54882919

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