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2020年11月14日

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ボリス・ジョンソン英首相のドミニク・カミングス上級顧問が13日夜、首相官邸から荷物を運び出した。カミングス氏についてはこのところ、官邸内の内紛から辞任する見通しが高まっていた。ジョンソン首相は、「空気を一新して先に進みたい」と話していたという。

カミングス氏は今後、12月半ばまで自宅から勤務し、新型コロナウイルスの大規模検査などの問題を扱う予定とみられている。

ジョンソン首相は、「空気を一新して先に進みたい」と話していたという。

カミングス氏は官邸内の内紛の中心におり、先には官邸のコミュニケーション主任を務めていたリー・ケイン氏も辞職している。

保守党幹部の中には、ジョンソン首相がこれで心機一転、再出発できると、カミングス氏とケイン氏の辞任を歓迎する声もあるという。

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BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、官邸チームにとって今週は「難しい1週間」だったと説明。チームの「動揺」がカミングス氏の首相官邸退去を早めたと解説した。

クンスバーグ記者によると、官邸内には長く複雑な摩擦があったが、「ゆっくりと燃えていた導火線が急速に爆発した」のだという。

カミングス氏とケイン氏は長年の同僚で、2016年の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票では共に離脱推進派として活動した。ケイン氏の辞任により、カミングス氏も政府を離れるのではないかとの憶測が流れていた。

BBCの取材に対してカミングス氏は、「辞任してやると自分が圧力をかけているなどといううわさは、でまかせだ」と話していた。一方で、「1月のブログの内容から、自分の立場は変わっていない」とも述べた。そのブログでは、2020年末には自分がもう「ほとんどやることがない」状態になっていることを希望すると書いていた。

「これまでと違ったアプローチを」

カミングス氏の官邸退出を受け、官邸内で幅広い改革が見込まれる中、エドワード・リスター卿(一代男爵)が首相補佐官代理に任命された。リスター卿は、ジョンソン首相のロンドン市長時代に副市長を務めていた。

カミングス氏と与党・保守党議員の多くが対立していたことは有名で、一部の議員は同氏が官邸を離れることを歓迎。官邸の取り組みに刷新が必要だとしている。

テリーザ・ヴィリアーズ議員は、「カミングス氏とケイン氏はどちらも、平議員を軽んじるだけでなく、時には閣僚の発言も無視しがちで、それは有用ではなかった」と語った。

サー・バーナード・ジェンキンは、首相官邸と下院議員の間に「尊重と誠意、信頼」を取り戻す時だと話している。

最大野党・労働党は、ジョンソン首相が「いくら人事をこねくりまわそうと(中略)この政権の無能ぶりの責任はあくまでもジョンソン氏にある」と批判している。

カミングス氏とは

カミングス氏は、ジョンソン氏に招かれて公式のEU離脱運動「Vote Leave(離脱に投票を)」を展開し、離脱派のスローガンとなった「Take Back Control(コントロールを取り戻そう)」を考案したことで知られる。

2019年7月にジョンソン首相が就任すると、カミングス氏を上級顧問に抜てき。6カ月後には「Get Brexit Done(ブレグジットを実現しよう)」を掲げて総選挙に臨み、与党・保守党は過半数議席を獲得した。

それ以来、カミングス氏は表舞台に上ることが多くなった。一方で今春には、新型コロナウイルス対策のロックダウンで移動が制限されている中、カミングス氏が親類のもとへ国内を400キロ以上移動していたことが問題となり、夏には首相顧問としてはきわめて異例の記者会見を官邸で開いた。

離脱運動以前には、保守党のイアン・ダンカン=スミス元党首の戦術顧問や、教育相時代のマイケル・ゴーヴ内閣府担当閣外相の特別顧問を務めていた。

首相官邸、そして保守党内では決して人気のある人物ではなく、保守党議員や離脱派の議員を「有用なばか」と呼んで批判を招いたこともある。


<分析>ニック・ードリー政治担当編集委員

首相官邸の玄関からダンボール箱を持って――。カミングス氏は今晩、国民が注目する中で非常におおっぴらに官邸を去った。

首相官邸での激動の数日間、そしてジョンソン首相との会談を経てのことだ。カミングス氏は12月までは現職にあるが、首相官邸には戻らない見通しだ。

一部の閣僚や保守党内には、カミングス氏が去ることを喜ぶ人もいるだろう。同氏の態度はしばしば党内を怒らせていた。また保守党の下院議員からは、ジョンソン首相が顧問を「Vote Leave」出身者に限定しすぎていると指摘する声も多かった。

一方で、2016年の国民投票とジョンソン政権でブレグジットが成功したのはカミングス氏の功績だという指摘も、政府内外から聞こえてくる。

同氏の辞任が、政権の手法が変わるきっかけになると期待する人もいる。しかし、ジョンソン首相が究極的なボスであることは変わらない。新型ウイルス対策やEU離脱に伴う通商交渉などが佳境に入る向こう数カ月の方向性は、やはりジョンソン氏にかかっているのだ。


(英語記事 Dominic Cummings leaves No 10 'to clear the air'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54940013

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