BBC News

2020年11月20日

»著者プロフィール

米大統領選で19日、僅差のため手作業の再集計が行われていたジョージア州で、ジョー・バイデン次期大統領が1万2284票差で勝っていたことが確認された。大統領選の結果を受け入れていないドナルド・トランプ大統領の陣営は、20日の期限までにさらに再集計を要請する可能性がある。

ジョージア州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官は、同州の全票を手作業で再集計した「歴史的」な作業の結果、同州での勝者があらためて確認されたと発表した。13日の時点で発表されていた得票数からトランプ氏が496票(全体の0.0099%)増やしたものの、バイデン氏はそれをなお1万2284票上回っており、同州での勝利が確認されたという。同州に割り当てられた選挙人は16人。

トランプ氏の得票数は246万2857票、バイデン氏は247万5141票だったという。州選管は、トランプ氏の票が496票増えたのは、当初の開票作業の人的ミスによるもので、大規模な不正ではないと説明した。フロイド郡は未集計の票が見つかったことについて、郡選管トップを解任したという。

州務長官の発表によると、得票数の差が0.5%のため、トランプ陣営は再集計を要求することができる。その場合は、投票用紙をスキャンし直すことで行われる。

ジョージア州の発表に先立ち、バイデン次期大統領はトランプ氏について、敗北を認めないその姿勢は、「私たちのこの国がどういうところなのか、ひどいメッセージを発している」と批判した。

全国の州知事とビデオ会議で会談していたバイデン氏は、トランプ氏は自分が勝てないことを十分承知しており、それにもかかわらず選挙に不正があったと主張し続けていると主張。「民主主義の機能について世界全体に、とてつもない悪影響」を与えると指摘した。また、トランプ氏は「アメリカの歴史で最も無責任な大統領の1人」として記憶されるだろう述べた。

トランプ陣営は敗れた複数の州で大掛かりな不正があったと主張し、再集計や一部の票の無効化などを求めて提訴を繰り返している。ほとんどの訴訟は裁判所で棄却されている。

バイデン氏が奪還したミシガン州(選挙人16人)では大都市デトロイトが含まれるウェイン郡で、票を認めるかをめぐって地元選管が紛糾(ふんきゅう)した。トランプ氏は共和党員の選管委員に直接電話して働きかけたほか、共和党の州議会議員をホワイトハウスに呼び寄せ、20日に協議する方針という。

選挙人制度そのものに挑戦か

全国的な得票数ではバイデン氏が590万票以上リードしているが、アメリカの大統領は全国的な得票数では決まらない。

各州の人口などをもとに割り当てられた選挙人計538人が、12月14日に各州で大統領候補に直接投票する。過半数270人の票を獲得した候補が当選する。

各州の選挙人は11月3日の大統領選の結果に沿って、自分の州で勝った候補に投票するのが通常の手続き。選挙結果を受けて、勝った側の党が選挙人を決める州もあれば、選挙前に各党が選挙人候補を指名し、選挙結果を受けて州知事が任命する場合もある。

<関連記事>

通常の手続きでは、たとえばジョージア州の選挙人16人は全員がバイデン氏に投票する。11月3日の選挙の結果を受けて、選挙人538人のうち、306人がバイデン氏、232人がトランプ氏に投票する。

しかし、トランプ陣営は敗れた州のうち、共和党多数の州議会に働きかけることで、11月の選挙結果とは無関係に、トランプ氏に投票する選挙人を任命しようとしているのではないかと言われている。

連邦法によると、もしも州の有権者が「選択をしなかった」場合は、州議会が選挙人を選ぶことができることになっている。

ただし、有権者が「選択をしなかった」と立証するのは困難で、トランプ陣営はこれまでのところ大規模な不正があったと法廷で立証できずにいる。

一方でロイター通信はトランプ陣営の消息筋の話として、「州議会議員にもっとかかわってもらおうと、対象を絞った」作戦を進めようとしていると伝えた。

ただし、20日にホワイトハウスへ向かうミシガン州のマイク・シャーキー州議会上院議員(共和党)は、州議会が選挙人を任命するような事態にはならないと述べている。

各州は11月3日の投票結果を今後、数週間のうちに確定しなくてはならない。締め切りは州によって異なる。各州が投票結果を確定すると、トランプ氏が情勢をひっくり返すのは難しくなる。少なくとも3つの州で、選挙人全員が選挙結果を無視して、トランプ氏に投票しない限り、トランプ氏勝利とはならない見込み。

トランプ陣営は、共和党が州議会を押さえているミシガン、ウィスコンシン、ペンシルヴェニア各州などで、州議会に働きかける可能性がある。ウィスコンシン州ではすでに、部分的な再集計を要求している。

来年1月6日以降も過半数の選挙人を獲得する候補者が現れない場合、連邦議会は投票で決定する。下院が大統領を選出、上院は副大統領を承認する。

トランプ陣営の法廷闘争

19日午後には、トランプ陣営の訴訟戦略を指揮するルディー・ジュリアーニ弁護士が会見し、立証されていない陰謀論や不正選挙の主張を繰り返した。

ジュリアーニ氏は自分たちの法廷闘争が苦戦続きだという報道に強く反発し、マスコミは「大統領に対する不合理で病的な憎悪」をあらわにしていると述べた。

多くの法曹関係者は、トランプ陣営の法廷闘争が選挙結果を逆転させるようなことになはらないという見方を示している。これまでに陣営が提起した訴訟のほとんどは、裁判所で棄却されている。

トランプ氏はツイッターで、不正選挙の主張を繰り返し、法廷闘争が成功していると投稿し続けている。一方で、11月4日以降はほとんど公の場に出ていない。退役軍人を慰霊する祝日の式典に出席したほかは、新型コロナウイルスのワクチン開発について記者団に発表したのみ。

トランプ陣営の主張と各州の動きは次のとおり。

ジョージア州: 得票数差が0.5%未満だったため、州法にもとづき手作業による再集計で開票結果を監査した結果、バイデン氏勝利の結果は変わらないという結果が出た。共和党はこれに先立ち、20日に予定される開票結果確定を阻止しようと提訴したものの、州裁判所がこれを棄却した。

州選管は、トランプ氏の票が496票増えたのは、当初の開票作業の人的ミスによるもので、大規模な不正ではないと説明した。フロイド郡は未集計の票が見つかったことについて、郡選管トップを解任したという。

ミシガン州: ジュリアーニ弁護士は、同州で残る最後の訴えを取り下げたと明らかにした。重要な郡の投票結果の確定を食い止めようとしていたのだという。

大都市デトロイトを含むウェイン郡では、共和党員の選管委員2人がウェイン郡の開票無効化を要求。オンラインで中継されたこの会議で有権者が激しく反発したため、共和党の委員2人は開票結果の有効性を認めた。同郡の選管幹部によると、この共和党委員2人はその後さらに、開票認定を撤回しようとしたものの、この要求はすでに無効で、同郡の結果は確定したという。共和党委員の1人によると、結果確定の後にトランプ氏から電話があり、「私が大丈夫か尋ねてくれた」という。

民主党支持者や黒人有権者の多いデトロイトを要するウェイン郡では、バイデン氏が圧勝したとされる。ミシガン州全体では、約14万6000票差で勝った見通し。

アリゾナ州: 大都市の州都フィーニックスを含むマリコパ郡で、開票結果の再集計を求める州共和党の訴えを、同郡高裁が棄却した。

ペンシルヴェニア州: トランプ陣営は同州で自分たちの立会人が開票の適正な監視を阻止されたと提訴していたが、これを17日にいったん取り下げた。陣営はその後あらためて、訴えの提起を認めるよう州最高裁に求めている。

ネヴァダ州: トランプ陣営は州地裁に、不正投票を理由に開票結果を無効とし、トランプ氏を勝者と宣言するよう提訴した。

ウィスコンシン州: トランプ陣営の費用負担で部分的再開票を要求。地元選管は、バイデン氏勝利の結果は変わらないだろうとしている。

(英語記事 US election 2020: Biden says Trump denial 'sending horrible message'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/55011650

関連記事

新着記事

»もっと見る