
米食品医薬品局(FDA)は18日、米モデルナが開発した新型コロナウイルスのワクチンの緊急使用を許可した。同国でワクチン使用が認められたのは2例目。
FDAの諮問委員会は前日、賛成20票、反対0票、棄権1票で、モデルナのワクチンは18歳以上にとってリスクより利益が大きいと認め、緊急使用を許可するよう勧告していた。FDAは18日、これに従った。
FDAは先週、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの緊急使用も認めた。同ワクチンは14日から接種が進められており、マイク・ペンス副大統領も18日、テレビで生中継される中、接種を受けた。
米政府はモデルナのワクチンを2億回分購入することで合意している。うち600万回分が近く出荷されるとみられる。
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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、アメリカの新型ウイルスの死者は31万3246人、感染者数は1744万2180人(日本時間19日午前時点)。ともに世界最多となっている。
「1月に相次いでウイルスが見つかり、12月には2種類のワクチンが使用可能になったのは、目を見張る成果だ」と、テネシー州のメハリー医科大学の最高経営責任者ジェイムズ・ヒルドレス博士は述べた。
FDAは15日には、モデルナのワクチンが安全で94%の有効性がみられたとする報告書を発表していた。
ドナルド・トランプ大統領は、「おめでとう、モデルナのワクチンが使用可能になった!」とツイッターで祝福。FDAの承認が正式に発表される数時間前にもツイッターで、モデルナのワクチンが「圧倒的に承認された」とし、搬送が「すぐに始まる」としていた。
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1340096386113687554
接種の順番
米政府は来年4月までに5000万人にワクチンを接種することを目指している。
ニューヨークの看護師サンドラ・リンジー氏は、14日にファイザー/ビオンテックのワクチン接種を受けた最初の米国民の1人となった。
接種の様子をツイッターで公開したリンジー氏は、「このワクチンの安全に対する社会的信頼を広めたい」と述べた。
米疾病対策センター(CDC)が各州に出したガイドラインは、医療従事者と長期療養施設の入所者が最優先で接種されるべきとしている。
生活に不可欠な分野で働く人々が次に優先度が高いとされるが、判断は各州に委ねられている。
連邦政府のワクチン計画「オペレーション・ワープ・スピード」の首席科学者、モンセフ・スラウイ博士は、若者と健康な人は後回しになると述べている。
集団免疫が生じるためには、国民の少なくとも70~80%がワクチンを接種する必要があると、スラウイ氏は話した。
ファイザーのワクチンとの違い
モデルナのワクチンは輸送の際、零下20度前後での保管が必要だ。これは一般的な冷凍庫内の温度にあたる。
一方、ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチンは、零下75度近くで保管する必要がある。そのため輸送に困難が生じる。
2回の接種が必要なのは、どちらのワクチンも同じだ。モデルナのものは、1回目から28日置いて2回目の接種をする。ファイザー/ビオンテックのワクチンは21日の間隔を置く。
モデルナはマサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置く。ワクチンの「大部分」は同所で製造するとしている。
ファイザー/ビオンテックのワクチンは、ドイツやベルギーなど数カ国で製造されている。
モデルナのワクチンを発注している国
カナダは来年3月までに、モデルナのワクチン200万回分をまず手に入れる予定。合計では5600万回分を入手する。
イギリスはすでに700万回分のモデルナ製ワクチンを事前注文している。
欧州連合(EU)は先月、同ワクチンの安全性と有効性が確認された場合、8000万回分を購入する契約を発表した。契約には最大8000万回分の追加購入も含まれている。
英デューク大学によると、日本はモデルナのワクチンを5000万回分、韓国は2000万回分、スイスは750万回分、それぞれ購入する契約を結んでいる。
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