
来夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会は22日、大会予算の最新版を発表した。会場での新型コロナウイルス感染拡大の防止対策に960億円を計上するなど、総額は大きく膨らんだ。
総額は昨年公表された予算から2940億円増え、1兆6440億円に膨らんだ。
これにより、東京大会はオリンピック史上、最も経費がかかる大会となる見込み。
組織委員会の武藤敏郎事務総長は、「高いと見るのかどうかは、いろいろな見方がある」と述べた。
また、「これをコストと見るか投資と見るかで変わってくる」とし、単にコストとして見るのは無意味だとした。
そして、前向きな投資と見れば、それにふさわしい意義が確認できると説明した。
世論調査では開催反対が多数
新たに予算が計上された新型ウイルス対策には、選手村での感染症対策センターの設置や、出場選手らへの定期的なウイルス検査の実施、会場での声援の禁止などが含まれている。
NHKが先週実施した世論調査では、国民の大半が来年の大会開催に反対しており、さらなる延期または中止を支持する人のほうが多かった。
しかし組織委員会は開催可能だと主張し、これ以上の延期はないとしている。
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経費圧縮のため、選手団の歓迎式典を取りやめるなど、大会全体の簡素化を図るとしている。
それでも、予備費とスポンサー企業からの追加協賛金は、会場や交通機関の再予約や、組織委員会の多数のスタッフの人件費で失われている。
新型ウイルスとの共生のモデルに
組織委員会は、開閉会式への追加予算を含め、大会運営のソフト面での予算を7310億円に増額した。
国際オリンピック委員会(IOC)は、暑さ対策としてマラソンと競歩の会場を札幌に変更したことで生じる経費を負担することで合意している。
武藤事務総長は、新型ウイルスの流行が世界で続く中での大会開催は、新型ウイルスとの共生が可能なことを意味すると説明。
「1つのスタンダード、ロールモデルを示す上で意味があるのではないか」と述べた。