2021年10月17日(日)

神戸市

2021年3月31日

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神戸市は防災、人口減少や少子高齢化問題などの様々な課題を抱えており、そのような課題を解消するために、スマートシティ化を推進している。「Human × Smart 」な都市づくりを目指した、未来を拓くスマートシティプロジェクトの一環である「Be Smart KOBE」の取り組みを紹介する。

 

1. 神戸市のスマートシティ推進におけるBe Smart KOBEの位置づけ

 

1-1. 「先進」都市神戸が目指す「Human×Smart」な都市づくり

 スマートシティとは、IoT・ビックデータ等のデジタル技術を活用しつつ、交通、健康・医療、災害等など地域が抱える多様な課題の解決や、市民の生活の質を向上するため新たな価値を創出する取り組みである。神戸市もスマートシティを推進しており、これには神戸市ならではの3つの理由がある。キーワードは「先進」である。

●近代化「先進」都市:1868年の開港以来、広く海外から数々のモノやサービスを先進的に取り入れてきた。近年においても、世界初となるiPS細胞を用いた網膜シート移植手術を成功させ、世界で初めて市街地での水素100%による熱電供給を実施した。

●防災「先進」都市:1995年の阪神淡路大震災後、復興支援に多大な労力と時間を費やしてきた。この中で、人と人とのつながり・助け合いの重要性が再認識されてきた。

●課題「先進」都市:政令指定都市の中で、いち早く人口減少、少子高齢化問題に直面している。

 このような「先進」都市神戸では市民一人ひとりの生活の質を高める取り組みを積み重ねていくことで、人間中心の目線で社会課題を解決するスマートシティを推進している。神戸市内の特定エリアで実証、成功サービスを神戸市民の生活圏へ展開、ひいては神戸モデルとして全国に展開・発信をすることで、神戸発で日本の文化・経済をけん引することを目標としている。

 

1-2. スマートシティを推進する取り組み

<Be Smart KOBE>

 神戸市のスマートシティの取組みの一環として、神戸のフィールドを活用した実証事業である「Be Smart KOBE」を実施している。「Be Smart KOBE」とは、神戸市の重要課題である人口減少や少子高齢化、地域および世界が直面する課題を解決するため、最先端技術やデータを有する事業者からの提案を募集し、神戸市内での技術実証、さらには実装を支援しているプロジェクトである。

<データ連携基盤整備に向けた調査・研究>

 神戸市ではスマートシティの中核となるデータ連携基盤の整備に向けた取組を令和2年度から開始した。取組の一環として、市民参加型のワークショップや有識者の知見を活用し、神戸市が目指すスマートシティの実現に向けた方針を協議する有識者会議である神戸市スマートシティ推進会議を開催している。

 

2. Be Smart KOBEの詳細

 

2-1. 実証事業を推進するBe Smart KOBEの取り組み

 令和2年度における活動の概要は以下の通りである。

  • 令和2年7月29日~9月7日:事業者の公募
  • 令和2年9月7日~9月17日:事業者の審査・選定
  • 令和2年9月下旬~令和3年2月下旬:実証事業の実施
  • 令和3年3月:実証事業の成果の分析

 公募後、書類審査・プレゼン審査会を実施し、有望なスタートアップ企業や地元企業などの応募から、神戸市の取り組む課題の重要性やその解決力・先進性等の観点から5事業者を選定し、実証事業の支援を行った。

 また、「Be Smart KOBE」は令和元年度からの取り組みであるが、令和2年度は昨年度よりも充実させた全面的な支援を実施した。令和元年度では事業補助金を支給していなかったが、令和2年度は事業者ごとに最大100万円の事業補助金を支給することとした他、デロイトトーマツグループへの運営業務の一部委託も含め、運営事務局として下記の支援を実施した。

  • 神戸市の関係部署や関係機関と採択事業者の打ち合わせなど、実証事業実施のための連絡・調整
  • 各プロジェクトの実施スケジュール作成補助、進捗管理の支援
  • 課題管理・リスクの整理と対応策の検討・提案
  • 選定した事業者の広報PRの支援
  • 今後を見据えた事業スキームの検討支援・成果の検証方法の提案 他

 

2-2. 令和2年度における具体的な事業

 令和2年度に採択した5事業者について、それぞれの実証事業の内容や結果、今後の展望等について紹介する。

株式会社エクサウィザーズ:歩容解析AI等を用いた次世代予防・健康づくり>

人工知能による歩容解析結果を活用したレビュー 写真を拡大

 AI/ICTツールを用いて誰もがどこにいても非対面で運動に関する専門的なアドバイスを受けられる環境を整備することで、市民の皆さまの体を動かすことに対する意識・モチベーションの向上と、行動変容に伴う健康増進や介護予防等の推進を図る実証事業を実施した。

 神戸市内の介護サービス事業者や神戸市ネットモニター制度を通じて参加者を募って実証事業を展開。参加者の歩く様子やスクワットをする様子を、スマートフォン等を用いて撮影するだけで、その人の運動機能(特に歩行)が可視化され、さらに撮影した動画に対して理学療法士等による遠隔でのアドバイスを実施した。実証事業の前後で参加者が体を動かす頻度が向上するなど、当該実証事業を通じて、参加者の運動習慣が高まる効果を確認でき、また、参加者からは「今後も定期的に使用してみたい」など、好意的な声が多く寄せられた。次年度以降、神戸市内の事業者と連携し、市民の皆さまの運動習慣の定着に向けた取り組みを進める予定である。

 

株式会社バカン:AIとIoTを活用した多目的/多機能トイレのリアルタイムの空満情報発信>

実証事業に使われた多目的/多機能トイレの空満情報把握のためのアプリ画面 写真を拡大

 AI/IoTツールを用いて誰もが、どこにいても多目的/多機能トイレの空満情報を確認できる環境を整備することで、コロナ禍での3密への不安の解消や外出時の安心・安全・利便性の向上を目指した実証事業を実施した。市内商業施設等の多目的/多機能トイレにセンサ(開閉センサ/人感センサ)を設置し、リアルタイムでの利用状況を専用サイトに配信し、空満情報を可視化した。

 今回の実証事業を通じて、専用ページに一定のアクセスがあったことで、多目的/多機能トイレの空満情報可視化のニーズがあることが確認できた。また空満情報をどこからでも手元で確認できることで、利便性の向上や自主的な密回避等の効果も期待される。

 施設管理者も、これまでデータとして把握できていなかったトイレの使用状況や混雑状況等について、利用回数や1回あたりの平均利用時間、長時間利用の検出など、定量的なデータを得ることができた。これらのデータを活用することで、清掃タイミングや備品管理、巡回スケジュール調整等、今後の施設運営をより効率化するなどの展開が期待される。