BBC News

2021年4月8日

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マーク・イーストン、カラム・メイ(BBCニュース)

中国政府が昨年、香港での反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」(国安法)を施行したのを受け、イギリス政府は香港市民に英市民権を獲得できる道を開く特別ビザの申請を受け付けている。ロバート・ジェンリック住宅・地域社会・自治相は、この新たなビザ制度で英国へ移住する人が住宅や学校、仕事にアクセスできるよう支援する方針だと、BBCに明かした。

この特別ビザ制度は、かつてイギリス領だった香港に国安法が導入された後に設けられたもの。これまでに約2万7000件の申請があった。

特別ビザは、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持てるイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者約290万人と、その扶養家族230万人が対象。

BNOパスポートは本来は渡航許可証で、イギリスへの渡航についても、6カ月のビザ(査証)なし渡航しか認められていない。保持者に自動的に就業や居住を認めるものでもなく、社会保障の対象にもならない。

しかし、今回の特別ビザ制度では、対象者はイギリスに5年間滞在でき、就業・就学も可能となる。5年後の時点で永住権の申請ができるようになり、さらにもう1年滞在することで、市民権を得る資格が与えられるという。

イギリスのジェンリック住宅相はBBCに対し、移住希望者に「必要な」支援を提供したいと語った。

「人々が苦しんでいるのなら、我々がサポートする」

そして、「地方自治体がそうした人たちに住宅を提供し、社会保障制度が後ろ盾になる。誰1人として困難な状況に陥ることがないよう、国ができるあらゆる支援を提供する」と付け加えた。

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中国が香港のデモ参加者の処罰を容易にし、香港の自治権を損なうことのできる国安法を可決したことを受け、イギリスはBNO保持者を対象とする特別ビザ制度を導入した。

イギリスは国安法が香港の自由と権利を侵害していると主張している。

ビザ申請が殺到

英政府筋は、新規入国者の多くには子どもがいるため、学校の確保が「切迫した」問題だと話した。

このままのペースでビザの申請数が増えれば、英内務省が予測している制度初年度の入国者数15万4000人をはるかに上回ることになる。

ジェンリック氏は香港からの新規入国者が英国に「真の意味で重要な貢献」をもたらしてくれることを期待しているとし、多くの人が教職や医学、工学の資格を持っていると述べた。

しかし地域団体からは、BNOビザ保有者が仕事や住居を見つけるための支援が必要になるのではないかとの懸念が以前からあがっていた。

慈善団体「Hackney Chinese Community Services」のマネージャー、林懷燿(ジェイブズ・ラム)氏は、イギリスにはすでに約7000人が到着しているとみている。多くの人はホテルや、米民泊仲介サイトのAirBnB(エアビーアンドビー)を通じて宿泊先を予約し、宿泊している間に賃貸住宅を探すのだという。

「(新型コロナウイルス対策の)ロックダウンが緩和されれば、その割合は加速すると考えている」

ラム氏の慈善団体は、新規入国者の学校の入学許可や賃貸契約を結ぶ権利について、すでに政府に懸念を示している。

また、香港人を標的にする可能性のある、イギリス在住の中国政府支持者への対応を強化するよう警察に要請した。

別の慈善団体「Hong Kongers」の鄭文傑(サイモン・チェン)会長は、英政府は中国政府に対する抗議活動に参加したものの、BNOビザの対象ではない人たちにも支援も提供すべきだと語った。

「BNOビザ制度は、暴政から人々を救い出す救命ボート制度のようなものだ。中には再定住のために実際に支援が必要な人もいれば、イギリスの経済や民主主義により貢献するための土台が必要な人もいるだろう」

BNOビザ保有者は英国内の公的資金に頼ることはできないとされているが、英政府は貧困状態に陥った人には公営住宅やその他の給付金を利用するための支援が提供される可能性があるとしている。

住宅や教育、雇用へのアクセスを提供するためのバーチャルな「ウェルカム拠点」を12カ所設置する予定だ。

また、イギリスと香港の歴史的なつながりに関する教材が学校に配布されるという。

(英語記事 Hong Kong citizens given 'support' to come to UK

提供元:https://www.bbc.com/japanese/56671650

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