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2021年4月17日

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中国政府に批判的な最後の香港紙「蘋果日報(アップルデイリー)」を創刊し、中国政府を激しく批判してきたメディア界の大物、黎智英(ジミー・ライ)氏(73)が16日、無許可集会を組織したり参加したりしたとする公安条例違反罪で禁錮計1年2カ月の実刑を言い渡された。

香港の裁判所は、2019年8月18日と同31日に香港政府に抗議する未許可デモに関わった罪で、黎氏のほか5人の民主活動家に実刑判決を言い渡した。黎氏は8月18日のデモについて禁錮12カ月、8月31日のデモについて同8カ月を言い渡された。裁判所は、2カ月を除き2つの刑に同時に服役するよう命じたため、黎氏の禁錮期間は1年2カ月になる。

元立法会(議会)議員の李卓人氏も、同様に禁錮計1年2カ月の実刑を言い渡された。元議員の梁国雄氏は禁錮1年6カ月、元議員の李柱銘(マーティン・リー)氏(82)は禁錮11カ月(執行猶予付き)、元議員の呉靄儀(マーガレット・ン)氏は禁錮12カ月(執行猶予付き)をそれぞれ言い渡された。

裁判所は今月1日、黎氏をはじめ著名活動家7人に有罪判決を下していた。

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黎氏はこのほか罪状6件で起訴されている。そのうち2件は昨年6月に施行された香港国家安全維持法(国安法)に基づくもので、最大量刑は終身刑。検察当局が今後さらに黎氏を追起訴する可能性もある。

「蘋果日報」は量刑言い渡しに先立ち、勾留中の黎氏が書いた手書きの手紙を掲載。その中で黎氏は、「正義を追求するのが私たちジャーナリストの使命だ。不公正な誘惑に目がくらんだりせず、私たちを通じて悪が横行したりと、そのようなことにならない限り、私たちは責任を果たしている」と書いていた。

逮捕前にBBCの取材に応じた黎氏は、当局の脅しに屈したりしないと話していた。

「相手をおびえさせれば、これほど手軽に相手をコントロールできる効果的な方法はないし、向こうもそれを承知している。脅しに打ち勝つ唯一の方法は、恐怖に面と向かって対峙(たいじ)して、決して恐れないことだ」

執行猶予付きの禁錮刑を言い渡された李柱銘氏は、1994年に民主党を創設して初代主席となり、民主派から香港の民主主義の父と呼ばれている。この李氏は昨年の逮捕時に「とても安心した」と話している。

「もうあまりに何年も何カ月も、優れた若者が次々と逮捕起訴されていくのに私は逮捕されず、心苦しく思っていた」からだと、李氏は当時話した。

今回実刑判決を受けた著名活動家の多くは、2014年の雨傘運動から、あるいはそれ以前から香港の民主化運動に関わってきた。

禁錮1年6カ月を言い渡された元議員の梁国雄氏は、香港政府の行政長官を目指したこともある。禁錮1年(執行猶予付き)を言い渡された呉靄儀元議員は、香港における中国共産党の影響力拡大に反対する公民党の議員だった。

<解説> 「法は国民に仕えるべき」と活動家発言、傍聴席から拍手―――グレイス・ツォイ、BBCニュース(香港)

今日の法廷には、香港でもとりわけ有名で長年活動してきた民主派が出廷していた。黎氏を除けば全員が元議員だ。

最年長は82歳の李氏。香港でしばしば「民主主義の父」と呼ばれる李氏は、香港で最年長の弁護士でもある。

法量刑言い渡しを待つ活動家たちの家族や友人、支援者たちで法廷は満員だった。開廷前には傍聴席から立ち上がり、被告たちに手を振り、応援の印で親指を立ててみせる人たちもいた。

黎氏はこれに先立ち2件の罪状で追起訴されたばかりだったが、実刑の言い渡しを聞く様子は落ち着いていた。

特に注目されたのは、呉元議員の発言だった。法廷弁護士としてもベテランの呉氏は量刑審理の途中で、自分の弁護士を解任している。

イギリス国王ヘンリー8世に1535年に処刑された人文思想家で大法官のサー・トマス・モアの言葉を引用しながら、呉氏が「私は法に良く仕える者だが、それより先に国民に仕える者だ。というのも法は国民に仕えるべきものであって、国民が法に仕えるべきものではないからだ」と述べると、傍聴席からは拍手が起きた。

これに対して量刑を言い渡した裁判官は、「行動には、それに伴う結果がつきものだ。誰にとっても。誰の行動だろうと」と述べた。

この日、執行猶予のない実刑を言い渡された被告5人は、そのまま収監された。退廷する5人に向かって傍聴席からは多くの支持者が手を振り、「がんばって!」と声をかけた。

(英語記事 Hong Kong: Jimmy Lai sentenced to 14 months for pro-democracy protests

提供元:https://www.bbc.com/japanese/56782615

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