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2021年4月29日

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アメリカのジョー・バイデン大統領は28日、連邦議会の上下両院合同会議を前に演説し、「アメリカはまた動き始めた」と政権発足100日間の成果を報告した。

バイデン大統領は、今年1月6日に暴徒に襲撃された同じ議事堂から「民主主義のたくましさ」を強調し、「アメリカは一致団結させすれば出来ないことは何もない」と経済再建や感染対策、気候変動対策、教育対策、銃規制強化などの方針を次々と掲げ、「一世一代の投資」の必要性を議会に呼びかけた。

これに対し野党・共和党は、「大失敗としかいいようがない」、「リベラルの願望を並べただけの計画」と批判した。

連邦議会は現在、上下両院共に民主党が過半数議席を占めているが、一連の計画が可決するまでには論争が予想されている。

「マダム・ヴァイスプレジデント」

感染対策のため出席者が大幅に抑制された本会議場で、バイデン氏はまず自分の後ろに並ぶナンシー・ペロシ下院議長とカマラ・ハリス副大統領にあいさつした。大統領の議会演説の場で、下院議長と上院議長(副大統領が務める)が共に女性だという光景は、アメリカ史上初めて。

「Madam Vice President(副大統領閣下)」バイデン氏があいさつすると、議場内では歓声が響いた。

バイデン氏が「この演壇からこの言葉を口にした大統領は今までいませんでした。遅すぎたくらいです」と続けると、大きな拍手が続いた(訳注:男性の副大統領は「Mister Vice President」と呼ばれる)。

100日でワクチン2.2億回

バイデン氏はまず、自分は就任時にパンデミックと経済危機、国の民主主義に対する南北戦争以来の攻撃を受けたばかりの、危機的状況にある国を引き継いだと切り出した。その上で、「それからわずか100日たった今、国に報告できます。アメリカはまた動き始めた」と表明した。

バイデン氏は、超党派の議会協力と国民の支持を得て、アメリカ救済計画法成立させたと述べた。アメリカ救済計画は、1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法で、3月11日に成立した

さらに、就任100日で新型コロナウイルスワクチンを1億回接種すると公約したのに対し、100日間で2億2000万回の接種を実現する見通しだと説明。アメリカの全成人の半数以上がすでに1回目の接種を受けていると述べた。

また、就任から100日で高齢者の7割近くが2回の接種を完了しており、新型コロナウイルスによる感染症COVID-19による高齢者の死亡は1月から8割も減ったと強調した。

「16歳以上の全員が、ただちにワクチン接種を受けられる。なので、今すぐワクチンを受けてください」

バイデン氏は、アリゾナ州の大規模接種会場で話を聞いた看護師が「1回1回の注射が、希望の薬に思える」と話していたと述べた。

ほかにも、「教師やスクールバスの運転手や学食のスタッフがワクチンを受けたから、子供たちが学校に戻れるようになった」、「おじいさんやおばあさんが、窓に手を押し付け合ってさようならを言うのではなく、子供や孫たちとハグできるようになった」など、大規模なワクチン接種が速やかに進んでいる成果を報告した。

100日で130万人の雇用創出

大統領はさらにアメリカ救済計画を通じて、全国の85%の世帯に1400ドル(約15万円)の現金給付を公約通りに進めていると説明。この給付によって、食費が払えた、家賃が払えたという事例を紹介した。また、この期間に設けた特別措置で、医療保険制度改革法(通称:オバマケア)にもとづき医療保険に加入する人が80万人増えたことも紹介した。

バイデン氏は、「もしかして最も大事なこと」として、アメリカ救済計画によって今年中に国内の子どもの貧困を半減させられる見通しだと述べるほか、就任100日間で130万人の雇用創出という記録を達成したと話した。

国際通貨基金(IMF)が今年のアメリカの成長率を6.4%と予測したことにも触れ、「それほどの成長スピードはこの国でもう40年近くなかった」と指摘。国を再建するため、大々的なインフラ投資や雇用創出の実現を議会に呼びかけた。

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「気候変動について考えるときも、私は雇用だと思う」として、「風力タービンの羽を北京ではなくピッツバーグで作れないわけがない。電気自動車やバッテリーの製造で、アメリカの労働者が世界の先頭に立てないわけがない」と、気候変動対策と経済再建を一体化させて推進する方針をあらためて示した。

また、アメリカ雇用計画で創出されるインフラ関連の職の9割近くは大卒資格を必要としないものだと強調。「繰り返してきたように、この国を創ったのはウォール街じゃない。この国を創ったのは中産階級で、中産階級を作ったのは労働団体だ」と述べ、労組を作る権利を保護する法案の成立を議会に呼びかけた。

バイデン氏はさらに、「最低賃金(時給)15ドルを可決しましょう」と促したほか、男女の賃金格差是正を呼びかけた。

先端技術や医療の研究開発への投資拡大も呼びかけ、「がんを撲滅しよう。十分に可能だ」、「大勢にとって、個人的な思い入れのあることだ。これほど有意義な投資は思いつかないし、これほど超党派の支持が得られることはほかに知らない」と述べた。

バイデン大統領は長男を、ハリス副大統領は母親を、それぞれがんのために亡くしている。

アメリカ再建の財源は

このほか育児手当てや子どものための税控除、教育改革、国民医療保険の充実など、アメリカ再建のための方策を提案した上で、バイデン氏は法人税改革の必要性を強調した。

「この国のトップ55の大企業は昨年、連邦法人税をまったく払っていないという研究が最近あった。400億ドルの利益に対して連邦税を納めていない」とした上で、多くの大企業が世界各地のタックスヘイブンや、税制の抜け道を活用して納税を免れていると批判。

中産階級の税負担は増やさない一方で、年収40万ドル(約4400万円)以上の国民(納税者の1%)の税率を、ジョージ・W・ブッシュ政権発足時の39.6%に戻すとあらためて表明した。

中国との競争は歓迎

対外関係については、「ウイルスを締め出せるほど高い壁などない」として、パンデミックや気候変動など国際的な協力が対策に必要だと説明。

その上で、国内投資の拡大は「中産階級に有利となる外交政策を推進」させるもので、「中国を含むすべての国が、世界経済の中で確実に同じルールに従うようにする」必要があると指摘した。

中国の習近平国家主席との電話会談では、「競争を歓迎するし、対立を求めているわけではないが、あらゆる場面でアメリカの利益を守ると明確にした」ことに加え、「アメリカは人権や基本的自由を重視することを決してやめないと」習主席に強調したこともあらためて述べた。

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「基本的人権が侵害されているのに、責任あるアメリカの大統領が沈黙を続けるわけにはいかない。大統領はこの国の本質を代表しなくてはならない」とバイデン氏は述べた。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にも、関係悪化は求めないが先方が何かをすればそれ相応の対応はすると告げたと説明したほか、イランや北朝鮮の核開発抑止のため同盟諸国と連携していく姿勢も示した。

さらに、「自分の子どもが戦地で働くのがどういうことか知っている大統領は、過去40年間で私が初めてだ」として、アフガニスタン駐留を終わらせる必要性を強調した。

「この国の魂のための戦い」

バイデン大統領は、ミネソタ州で白人警官にジョージ・フロイドさんが殺害された事件に言及し、フロイドさんの葬儀で娘ジャナさんに「うちのパパは世界を変えたんです」と面と向かって言われたのだと話した。

フロイドさんの一周忌までに警察改革法を成立させるよう議会に呼びかけるほか、アジア系や太平洋諸島出身者を憎悪犯罪から守る法案、女性への暴力取締法の改正、性的少数者の平等を保障する法案の成立などを議員たちに求めた。

バイデン氏は「自宅でこれを見ているアメリカのすべてのトランスジェンダーの人に、特に本当に勇敢な若い人たちに。知っていてほしい。皆さんの大統領が皆さんを守ります」とも述べた。

さらに、アメリカにおける銃暴力を「エピデミック(大規模な伝染病)」のようなものだと呼び、銃規制の強化に協力するよう、野党・共和党にあらためて呼びかけた。

移民制度の改革や有権者の投票権の保障についても共和党の協力を求めたバイデン氏は、1月6日の議会襲撃に言及して演説を締めくくった。

「この議事堂を襲撃し、この国の民主主義を汚した暴徒の姿を、私たちは今なお鮮明に覚えている」、「あの反乱は存亡の危機だった。この国の民主主義が生きながらえるかの試練だった」と大統領は述べ、「世界各地の独裁者、アメリカの敵たちは、この国を引き裂くうそや怒りや憎悪や恐怖を、アメリカの民主主義でもって乗り越えることなどできないと、そう賭けている」と指摘。

「(各国の独裁者たちは)この議事堂を襲撃した暴徒の様子こそ、アメリカの民主主義は衰退しつつある証拠だと考えている」

「しかしそれは間違いだ。間違いだと、私たちが証明しなくてはならない。民主主義は今なお機能すると証明しなくてはならない」

バイデン大統領は、「民主主義は丈夫で強力なものだと証明」するため、国民の協力を呼びかけ、「みんなが一致団結して取り組めば、アメリカにできないことなど何もない」と力説し、演説を終えた。

野党の反応

共和党全国委員会(RNC)のロナ・マクダニエル委員長はバイデン大統領の演説後にただちにコメントを発表。政権発足からの100日間は「大失敗としかいいようのない」もので、バイデン氏と与党・民主党は「とんでもない党派性」を発揮して、自分たちの利益のみを追求してきたと批判した。

「就任演説でバイデンは団結を呼びかけた。それはうそだった。この国はジョー・バイデンのせいで前よりひどい状態になっているし、前よりずっと分断している」と、マクダニエル委員長は述べた。

大統領演説の直後に行われる決まりの野党反論演説は、共和党唯一の黒人上院議員、ティム・スコット議員が行い、バイデン氏の提案は「アメリカの平均的な労働者の賃金を引き下げ」るもので、「大きな政府による無駄遣いにつながる、リベラルの願望をならべただけのもの」だと批判した。

2024年大統領選に出馬するかもしれないと言われているスコット議員は、アメリカの人種差別についても言及し、民主党は「問題解決よりも問題そのもの」を求めていると批判。

「アメリカは人種差別的な国ではない。差別に差別で戦うのは後ろ向きだし、現在の議論を打ち切るために過去の苦しい経験を不誠実に利用しようとするのは間違っている」と、議員は述べた。

(英語記事 Biden pitches 'once in a generation investment' to Congress

提供元:https://www.bbc.com/japanese/56924240

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