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2021年9月13日

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クレア・マーシャル、BBC環境・地域問題担当編集委員

環境や土地関連の権利保護に取り組む中で殺害された活動家が昨年、過去最多だったとする報告書を、活動組織が公表した。

国際NGOグローバル・ウィットネスの報告書によると、昨年1年間で227人の活動家が殺害された。2年連続で最多を更新したという。

3分の1近くは、森林伐採、鉱山の採掘、大規模な農業関連ビジネス、水力発電用ダム、その他のインフラなど、資源利用に絡んだ殺人だったとされる。

報告書は犠牲者を「環境の守り手」と呼び、森林や水源、海洋など、保護が必要な天然資源を守ったことで殺されたとした。

パリ協定が合意された2015年以降、毎週平均で4人の活動家が殺害されているという。

報告書は、ジャーナリストや市民の自由に対する制限が強まってることを考えると、この「衝撃的な人数」は、現実にはもっと多い可能性が高いとしている。

殺人が最も多かった業界は伐採関連で、23件だった。ブラジル、ニカラグア、ペルー、フィリピンで襲撃事件が確認された。

気候変動の影響を真っ先に受けやすい先住民族が、被害者の3分の1を占めた。コロンビアでは昨年65人が殺害され、報告された襲撃事件としては最多だった。

「耐えられないほどの重荷」

グローバル・ウィットネスのクリス・マデン主任は、「守り手の保護に本腰を入れる」よう各国政府に求めた。また、企業に対しては、「利益より人々と地球を優先」し始めなければ、「気候崩壊と殺人」は続くだろうと警告した。

「このデータは、気候危機との闘いが一部の人に耐えられないほどの重荷を背負わせていることと、そうした人たちが、持続不可能な地球温暖化への対抗で欠かせない森林や河川、生物圏を救うために命を懸けていることを、あらためて知らしめるものだ」

グローバル・ウィットネスは各国政府に対し、安全で健全で持続可能な環境に関連した人権を、正式に認めるよう要求した。さらに、11月に開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、人権保護の取り組みも確立されるよう求めた。

COP26のアロク・シャーマ議長はBBCに、「気候変動の前線にいる人たちとの会合を優先し」、全員の声を聞くと述べた。

「居間で射殺された」

南アフリカのフィキレ・ンチャンガセ氏(65)はも犠牲者の1人。クワズール・ナタール州ソンケレ近郊にある、テンデレ・コールが運営する露天掘り鉱山の拡張をめぐり、法的な争いに関わっていた。彼女は自宅の居間で射殺された。

彼女の娘マルンゲロ・カカザ氏(31)は、「母の苦しみは続く」と話した。「母の殺人捜査では、今に至るまで誰も逮捕されていない。責任がまったく問われていない。何があろうと鉱山を拡張し、採掘を進めたい人がいるのだと、私には思える」。

子会社のテンデレ・コール・マイニングを通してソンケレ鉱山を所有する企業ペトミンは、グローバル・ウィットネスに対し、「地域の緊張関係がフィキレの死の原因の1つになったかもしれないと認めた」という。同社はまた、「いかなる暴力も脅迫も強く非難する」とし、警察への全面的な協力を申し出たと述べた。

メキシコでは昨年9月、オスカル・エラウド・アダムス氏が殺害された。彼は、バハ・カリフォルニア州クミアイ地域の先住民たちにとって、水が利用しやすくなるための活動をしていた。

グローバル・ウィットネスは、ホンジュラス・グアピノルの地域住民たちも、脅威にさらされている活動家たちだとした。同地域では、中央政府が保護区での酸化鉄の採掘権を与えたことに対し、多くの住民らが抗議運動を繰り広げている。活動家らは、大事な水源となっているグアピノル川が、危機的な状況に置かれているとしている。グローバル・ウィットネスは、「地域の多くの人たちが、収監されたままになっている」としている。

(英語記事 Record number of environmental activists murdered

提供元:https://www.bbc.com/japanese/58541771

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