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2021年9月15日

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ハイチの検察当局は14日、アリエル・アンリ首相に出国禁止命令を発令した。アンリ首相は、7月のジョブネル・モイーズ大統領暗殺事件に関与した疑いが持たれている。

同国では7月7日、モイーズ大統領が自宅で襲撃され死亡。アンリ氏は現在、この襲撃を指揮したとされるジョゼフ・フェリックス・バディオ容疑者との関係が取りざたされている。

アンリ首相は13日、検察庁のベッド=フォード・クロード長官に書簡を送付。罷免を通知し、「深刻な行政上の違法行為」を行ったと非難したとされる。アンリ氏はその後、長官の後任を指名した。

しかしクロード氏は翌14日も離職した様子はなく、モイーズ氏の暗殺事件を担当する判事に、アンリ氏を事件に関与した「疑惑」で訴追するよう要請した。

関係筋によると、ハイチでは首相に検察官の罷免権はないという。

クロード長官はこのところ、脅迫を受けており、法務相は警察による警備強化を命令している。

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検察は、通信会社デジセルから入手した通話記録から、暗殺が行われた数時間後にアンリ氏とバディオ容疑者が2回、電話でやり取りしたことが分かったと指摘している。

またGPSのデータからは、バディオ容疑者が暗殺現場の近くから電話を掛けたことが明らかになっている。バディオ容疑者は現在、行方が分からなくなっており、警察の捜査が続いている。一連の嫌疑について、これまでコメントを発表していない。

こうした中でアンリ首相は、「混乱を招く」ことを目的とした「人々の目をそらすような戦術」が繰り広げられているとして、嫌疑を否定。一方で、自身に向けられている疑惑については何も述べなかった。

しかし過去には、地元メディアの取材に対し、バディオ容疑者を知っていると話している。アンリ氏はバディオ容疑者を擁護し、同容疑者は暗殺に関わり得なかったと述べていた。

報道によると、検察は14日までに捜査に関する情報を提供するようアンリ首相に求めていたという。

暗殺の経緯とその後

モイーズ大統領暗殺は7月7日午前1時ごろ発生。銃を持った一団がモイーズ大統領の自宅に押し入り、大統領と妻のマルティーヌ氏を銃撃した。現場で負傷したマルティーヌ氏は、米フロリダ州マイアミで治療を受けた後に帰国している。

モイーズ氏は2018年から大統領職にあった。モイーズ政権時代、ハイチでは議会が機能せず、反政府デモが頻発し、ギャングによる暴力事件が増加するなど、政治的にも治安面でも危機にあった。

ハイチ警察は当初、コロンビア人26人とハイチ系アメリカ人2人からなる外国人部隊が犯行に及んだと発表。その後、捜査範囲を広げ、これまでにコロンビアの元軍人18人を含む44人を逮捕している。

モイーズ氏は亡くなる数日前に、アンリ氏を新首相に任命していた。しかし、事件当時はクロード・ジョゼフ氏が暫定首相を務めており、アンリ氏との間に政争が起きていた。

ジョゼフ氏はその後、暫定首相を辞任し、アンリ氏が首相に就任。9月に総選挙が行われる予定だったが、11月に延期された。

さらに8月には、マグニチュード(M)7.2の地震が発生し、数千人が犠牲になるなど、国内は混乱している。

(英語記事 Haiti PM banned from leaving amid murder inquiry

提供元:https://www.bbc.com/japanese/58567338

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