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2021年9月22日

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中国の習近平国家主席は21日の国連総会で、今後は海外で新たな石炭火力発電プロジェクトは行わないと表明した。世界各国が二酸化炭素(CO2)排出量の削減に取り組む中、極めて重要な方針といえる。

米ニューヨークでこの日開かれた国連総会では、事前に収録された習主席の演説が流れた。

習氏は「中国は、ほかの発展途上国のグリーンエネルギーや低炭素エネルギー開発への支援を強化する。海外で新たな石炭火力発電プロジェクトを建設することはない」と述べた。

詳細は明かされなかったが、今回の動きは、中国の「一帯一路構想」(BRI)の下、多くの発展途上国で行われている石炭火力発電所の拡張を制限する可能性がある。

停止への圧力

中国はBRIでインドネシアやヴェトナムなどにおける石炭火力発電プロジェクトに資金を拠出してきた。

しかし世界各国が、気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年の「パリ協定」の目標を達成しようとする中、中国は資金拠出を停止するよう圧力を受けていた。

中国が鉄道や道路、港湾、石炭火力発電所の建設のための資金を提供している国の多くは発展途上国だ。ただ、2021年上半期にはここ数年で初めて、石炭火力発電プロジェクトへの拠出はなかった。

世界最大の温室効果ガス排出国でもある中国は、国内のエネルギー需要を満たすため石炭火力に大きく依存している。

習氏は昨年9月、二酸化炭素排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを目指すと表明していた。

米英が歓迎

ジョー・バイデン米政権で気候変動問題を担当するジョン・ケリー大統領特使は、中国の発表を歓迎し、「習主席がこの重要な決定をしたと聞いて、本当に喜ばしい」との声明を発表した。

11月に英スコットランド・グラスゴーで開催予定の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)のアロク・シャルマ議長(英ビジネス・エネルギー・産業戦略相)も、習主席が表明した方針を称賛した。

「石炭火力発電をめぐっては、悪い兆しが見えているのは明らかだ。習主席の海外での新規の石炭火力発電プロジェクトを停止するという取り組みを歓迎する。これは、訪中時の重要な議題だったので」と、シャルマ氏はツイートした。

習氏の演説動画は、バイデン米大統領が国連で初演説を行った後に流れた。バイデン氏は気候変動や新型コロナウイルスのパンデミックなどの地球規模の問題に取り組むため、各国の「かつてなかったような協力が必要だ」と訴えた。

バイデン氏はまた、民主主義が権威主義に打ち負かされることはないと述べたが、中国を名指しすることは避けた。

「未来は、強権的手法で国民を窒息させようとする者ではなく、国民に自由に呼吸する能力を与える者にかかっている」

さらに、中国が強制労働を行っていると非難されている同国西部の地域についても言及し、「新疆であろうとエチオピア北部であろうと、人種的、民族的、宗教的少数派を標的にし、抑圧する行為を、我々全員が非難しなければならない」と付け加えた。

中国と各国の緊張関係

アメリカと中国の関係は貿易や人権問題、新型ウイルス感染症COVID-19の起源などをめぐり、過去最悪の状態にある。

習氏は演説の中で、中国の国際関係における平和的意図を強調した。

一方で、「小さな集団やゼロサムゲームを形成する慣行を拒否」する必要があると述べた。オーストラリア、アメリカ、インド、日本で構成される4カ国グループ「クアッド」などの地域における緊張関係や、同盟関係の形成について言及したものとみられる。

(英語記事 China will not build new coal energy plants abroad

提供元:https://www.bbc.com/japanese/58647348

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