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2021年10月14日

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ダニエル・トマス、ビジネス担当記者、ニューヨーク

米政府は13日、カリフォルニア州沖で入港待ちの貨物船の長い列ができていることを受け、同国最大の港の1つであるロサンゼルス港を24時間体制で稼働すると発表した

当局は、今年のクリスマスの時期の品不足につながる恐れのある、国際的な供給問題を改善しようと躍起になっている。

カリフォルニア州のロサンゼルス港では、隣接するロングビーチ港(9月中旬に稼働時間を拡大)と同様に、夜間の貨物の取り扱いが増えることとなる。

ロサンゼルス港とロングビーチ港は、米国内へ入るコンテナの4割を扱うが、いずれも数カ月にわたり様々な問題に直面してきた。

米政府の発表によると、 ウォルマートやフェデックスなどの米大手企業も、物流の停滞解消のために24時間体制の業務を増やすことを約束したという。

何が起きているのか

新型コロナウイルスで打撃を受けた経済活動が再開し、消費者の需要も回復してきたことで、世界のサプライチェーンは混乱に陥っている。

小売業者が在庫の補充を急ぐ中、輸送システムはその需要に追いつくのに苦慮した。アジアの主要な港や工場が新型ウイルスの影響で稼働を停止したことで、状況は悪化した。

アメリカなどでは子供のおもちゃや木材、衣類、ペットフードなどが不足し、消費者物価が上昇した。

アメリカの主要な海の玄関口であるロサンゼルス港とロングビーチ港は大きな影響を受けている。8月に扱ったコンテナの数はロサンゼルス港では通常より30%、ロングビーチ港では23%増加した。

9月には、過去最多の73隻の船が、港の外で入港待ちを余儀なくされる日もあった。新型ウイルスのパンデミック以前は、一度に2隻以上の船が待機するのはまれだった。

ホワイトハウスの対応は

アメリカのジョー・バイデン政権は今年初め、サプライチェーンの問題に対処するタスクフォースを設置。港湾担当特使を任命して混乱を改善する方法を探った。

ロサンゼルスとロングビーチの両港では、より短時間で貨物を降ろせるよう、新たにオフピークの夜間シフトと週末の稼働時間が増えることとなる。

米小売大手ウォルマートや米運輸UPS、フェデックス、韓国のサムスン、米住宅リフォーム小売ホームデポ、ターゲットの各社が、港での夜間作業を強化することで合意した。これにより、1週間あたりさらに3500個多くのコンテナを扱えるようになるという。

バイデン政権はこの計画により、米国内の高速道路や鉄道、倉庫といった、ほかのサプライチェーンにおける能力も引き出せると期待している。

13日に小売企業の社長や労働組合幹部と会談したバイデン大統領は、1兆ドル(約113兆6000億円)規模のインフラ法案の一環として、米国内の港に史上最大の投資を行う計画だと述べた。法案成立には上院を通過する必要がある。

「差し迫った障壁を切り抜けるだけでなく、今回のパンデミックで露呈した、我々の輸送サプライチェーンで長年続いている弱点に対処することが我々の目標だ」と、バイデン氏は記者団に語った。

さらに、米企業が自国でもっと容易に商品を製造できるようにしたいと付け加えた。「世界の一企業や一国、一個人、特に我々と価値観を共有していない国々に過度に依存しなければならないという状況は、二度とあってはならない」。

クリスマスへの影響は

残念ながらクリスマスに影響が出るかもしれない。ホワイトハウスのある高官は、「人々が手に入れられない物が出てくるだろう」とロイター通信に述べた。

「ただ、そうした商品の多くは、別の商品で代用できると願っている」

また、「パニックになるような理由はないと考えているが、我々は皆もどかしさを感じている。比較的短い期間を乗り切るためには、ある種の忍耐が必要だ」とも付け加えた。

半導体や自動車など、サプライチェーンに関連した商品不足はすでに消費者物価を上昇させている。米連邦準備制度理事会(FRB)は先月、2021年のインフレ率が4.2%と、目標の2%を大きく上回ると予測した。

国際通貨基金(IMF)も12日、アメリカの2021年の成長率予測を下方修正した。

バイデン大統領の支持率にとっては打撃となっているようだ。野党・共和党はこの混乱に乗じて、今年のホリデーシーズンを「バイデンの憂鬱なクリスマス」と呼んでいる。ドナルド・トランプ前大統領も先週末、アイオワ州での支持者集会でこのフレーズを使用した。

(英語記事 LA port to open round the clock to tackle queues

提供元:https://www.bbc.com/japanese/58907449

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