2022年は、聖徳太子が没後1400年、最澄(伝教大師)が没後1200年という節目の年にあたります。聖徳太子と言えば十七条憲法を制定したことで知られ、かつては1万円札の肖像にもなっていたことがあります。

聖徳太子と最澄の2人が生きた時代は離れており、両者にはなんら接点はないように思われますが、じつは最澄は中国の天台山から帰国した後、四天王寺の太子殿を参詣したことが知られています。日本で天台宗を広めることになった最澄ですが、自分が慧思や聖徳太子の系譜に連なって「法華経」の正しい教えを継ぐ者であることを自任し、太子を深く敬慕していたのです。

ここでは2人が生きた時代や生き様、足跡を知るうえで、お薦めの書籍をご紹介します。

 

1 聖徳太子に秘められた古寺・伝説の謎 正史に隠れた実像と信仰を探る

  瀧音能之 編

聖徳太子に秘められた古寺・伝説の謎   正史に隠れた実像と信仰を探る

瀧音能之 編

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2021年は聖徳太子が世を去ってから1400年という節目の年にあたります。太子といえば、冠位十二階や憲法十七条を制定し、天皇の摂政として、遣隋使を派遣して大陸の文化や制度を積極的に取り入れたことで知られる古代史のカリスマです。また、日本に仏教を広め、法隆寺や四天王寺などを建立した人物としても有名です。2021年は御遠忌の行事や法要などがゆかりの地で実施。奈良国立博物館と東京国立博物館では特別展も開催されました。世界がコロナ禍に見舞われたなか、「和の精神」を重んじた古代史のカリスマ・聖徳太子への注目が集まりました。

本書は駒澤大学教授で古代史の第一人者・瀧音能之氏が、正史があえて描かなかった部分に迫りながら、太子の実像と信仰を謎解き風に解説するものです。本書を読んで、太子の足跡を訪ね、コロナの収束を願うのも有意義なことではないでしょうか。

 

2 最澄に秘められた古寺の謎 伝教大師と辿る比叡山と天台宗

  山折哲雄 編

最澄に秘められた古寺の謎        伝教大師と辿る比叡山と天台宗
山折哲雄 編

 

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「一隅を照らす」は最澄の有名な言葉ですが、2021年は没後1200年の節目の年です。桓武天皇が都を京都に移したころ、最澄は留学僧として中国に渡り、最新の仏教知識と文物をもたらしました。また、帰国後は修行道場として比叡山を根拠地と定め、同時代の空海とともに仏教の2大開祖とされ尊敬されています。

空海の真言宗となにかと比較されますが、特筆すべきは後世への影響度です。はるかのちの時代(鎌倉時代)になって、法然、親鸞、道元、日蓮など個性的な仏教者がみんな比叡山での修行を経験していたということです。その意味で比叡山は「日本仏教の母山」とも呼ばれています。

コロナ禍に見舞われる現在でも法灯を守り続ける比叡山ですが、いまふたたび、最澄の足跡と彼が開いた天台宗に注目が集まっています。本書ではまず最澄の生涯をたどり、あわせて比叡山や最澄ゆかりの古寺社を紹介。さらには、最澄の著作や彼の後継となった天台の高僧たちの系譜をもたどることで、日本仏教の母胎となった最澄と天台仏教の魅力を再発見します。