
最先端の物流センター横浜金沢エリアで始動
流れるようなスピードで目の前を駆け抜ける赤い車体。格子状に組まれたレールの上を滑るように走っては突然止まり、一瞬の動作を終えてまた走り出す。
まさに縦横無尽に動き回っているのは、物流界が注目する最新鋭の入出庫ロボットだ。レールで仕切られたマス目の下には商品を収める小型コンテナが段積みにされ、自動制御のロボットがその上げ下ろしを間断なくこなしている。コンテナは約4万個あり、120台のロボットの稼働によって毎時3200個の入出庫が可能という。管理できる商品アイテム数は合計約8万個。アジアで最大規模のロボットストレージシステムだ。
ここは横浜港にほど近い臨海地区、10月26日に開所したばかりの「物流センター横浜金沢」である。物流企業集団SBSグループがE C(電子商取引)ブームなどで拡大する関東圏の物流ニーズに対応するため新設し、主に大塚商会のオフィス用品通販事業「たのめーる」の出荷拠点として運営する。
グループ傘下のSBSリコーロジスティクスは過去20年あまりにわたって大塚商会の物流を担当。その運営ノウハウと最先端のマテハン機器(物流設備)を結集させた。同社が運営する「たのめーる」の物流拠点はこれで4カ所となり、合計で1日約8万8000件の出荷が可能となる。
司令塔を務めるSBSホールディングスの鎌田正彦社長によれば、このセンターの開発コンセプトは「自動化・省人化・省スペース化」であるという。ITとLT(ロジスティクス技術)を掛け合わせ、高効率の物流システムを実現させた。冒頭で挙げたロボットストレージシステム「オートストア」はその最たるもので、従来の保管庫に比べて3倍以上の収納力があり、入庫で2倍増、出庫で3倍増の生産性が見込まれる。ほかにも、検品工程不要のデジタルピッキングシステムや、1日1万箱を処理する自動梱包機といった最新機器が立ち並び、AI活用のサポートシステムとも相まって運用効率を高めている。
同時に、消費電力の約3割を自家発電で賄う太陽光発電装置を備え、受変電設備や非常用発電機を屋上に設置するなど、環境性やBCP機能の追求にも余念がない。
「物流を改革する」。そう意気込む鎌田社長が描く「物流の近未来インフラ」の姿がそこにある。


