
次世代物流拠点の拡張で成長するEC市場に対応

─「物流センター横浜金沢」をオープンされました。次世代拠点とのことですが、御社グループにとってどのような存在でしょう。
鎌田 EC(電子商取引)とLT(ロジスティクス技術)のさらなる発展拡大に伴って、これからの物流ビジネスが構造的に変化していくことは間違いありません。その象徴といいますか、担い手となる物流センターとして建設しました。
昨年来、コロナ禍の影響で企業間の物流需要が目減りしたことは確かですが、一方で巣ごもり消費の追い風も受けてネット通販の成長は目覚ましく、宅配需要は増大しています。消費者向けの物販で見ると、日本のEC化率はまだ8%に過ぎませんが、近い将来必ず、アメリカ並みに倍増するでしょう。
─そうなると、物流センターが圧倒的に不足することに?
鎌田 そうです。ビジネスの基盤となるその拠点を今、一気呵成に拡大して未来に備えることが、SBSグループの目下の戦略です。我々が保有する物流施設は現在、約75万坪ですが、3年後には90万坪に達する計画で、100万坪達成もそう遠くないでしょう。
ただの拡大ではありません。技術革新で自動化・効率化を高めてコストダウンにつなげること。それに加え、自社で拠点を持てない中小のEC企業の受け皿となり、当社の物流センターを倉庫として、また撮影・包装などの商品管理も可能な共有スペースとして提供する展開も視野に入れています。
戦略的M&Aで加速する総合物流ソリューション
─物流コンサルティングの機能も強化されると聞いています。
鎌田 顧客企業の経営方針に基づいて、ロジスティクス戦略の立案、推進まで支援するもので、いわゆる「4PL」のサービスです。そのベースとなる事業として、運用計画を組み立てて、輸送や倉庫保管、入出庫管理など一連の物流業務を一気通貫で請け負うサービスがあり、「3PL」と呼んでいます。SBSグループは元来、この3PLを核に成長してきたのですが、今後は4PLも加えて、より包括的に、全方位にわたる物流ソリューションを提供する構えです。

─戦略的M&Aで、グループの総合力を高めるわけですね?
鎌田 はい。4PLは昨年、東芝ロジスティクス(現SBS東芝ロジスティクス)を一員に迎えたことで、大きく強化されました。
M&Aというと、日本ではとかく主従関係で見られがちですが、当社グループでは親と子の関係ではなく、兄弟であり仲間です。リストラとは無縁ですし、人員配置も完全にフェア。物流のプロ同士が、ともにトップを目指して相乗効果を高めるために集まった。私がよく「ハイブリッド企業集団」と称するのはそういうことです。
ハイブリッドであるために、日本を代表するような大企業の物流子会社だけでなく、中堅・中小の事業者との「スモールM&A」にも力を入れています。小さくてもそれぞれに専門性や地域性などの強みがあり、サプライチェーンの強化を含めて総合力を高めるのに欠かせない存在です。
メガベンチャーが創る次代の「希望のインフラ」
─グループの拡大とともに、売上高も上昇基調が続いています。
鎌田 おかげさまで1987年の創業以来、10年で100億円、20年で1000億円、30年で2000億円を目標に、ほぼその通りの実績を上げることができました。それはもちろん、仲間の総力の賜物ですし、どんなに成長してもベンチャー精神を忘れずにいられたからだと自負しています。
意思決定のスピード感、実行する機動力、フラットな組織と文化、それらベンチャー企業の強みが、そのまま競争力につながります。
─メガベンチャーとしての社会的責任についてはいかがですか。
鎌田 4000台を超える輸送車両を動かす事業者として、CO2排出量削減などの環境対策は本気で進めています。この10月には、日本で初めてナンバー交付を受けたEVトラックを1万台、いち早く導入することを決めました。
これも協力企業とのご縁がきっかけ。これからも我々は、仲間たちと夢を追い続ける「希望のインフラ」でありたいと願っています。
