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2022年4月22日

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イギリスの下院は21日、新型コロナウイルス対策のロックダウン中に首相官邸などでパーティーが開かれていた問題について、ボリス・ジョンソン首相が議会をミスリードする発言をしていたかを調査する特別委員会を設置することを承認した。この件をめぐるロンドン警視庁の捜査が終了し次第、調査を開始する。

イギリスでは、議会で閣僚がわざとうそをついたり、議会をミスリードした場合、辞職・解任理由になる。ミスリードとは、議会に虚偽の情報を事実であるかのように提示し、誤った方向へ導くことを意味する。

特別委の設置は、最大野党・労働党が提案したもの。与党・保守党は当初、設置の可否を決める投票を遅らせようとしたが、党内から反発にあったため、最終的には異議を唱えず、提案は正式な投票なしで承認された。

労働党のサー・キア・スターマー党首は、政府のこの方針転換は「屈辱的な譲歩」だと批判。保守党議員は「擁護できないものを擁護しきれない」と分かっていると指摘した。

また、「ジョンソン氏はロックダウン中に首相官邸で開かれたパーティーで国民の信頼を失った。そして今、議員の信頼も失ったのは明らかだ」と述べた。

一方、インドを訪問中のジョンソン首相は、「正直に言って、隠し立てすることは何もない」とコメント。「野党側がこの問題に注目し、もっと議論したいというなら、それで構わない」と述べた。

特別委員会とは?

特別委員会は今後、ジョンソン氏が故意に議会をミスリードしたかを調査し、報告書を作成する。

もしミスリードしたとの結論に至った場合、議会への登院禁止や完全追放を含む制裁を推奨できる。また、ジョンソン首相に対し、議会への謝罪を促すことも可能だ。

特別委の報告結果を受けてから、下院議員はその内容と制裁を承認するかを決めることができる。

今回の特別委は保守党4人、労働党2人、野党・自由民主党1人の計7人の議員から構成される。

しかし、委員長を務める労働党のクリス・ブライアント議員は、この件について公の場でコメントしているため、調査に加わるのを辞退している。

前回、特別委員会が下院議員の議会侮辱を認めたのは2016年で、議会委員会の報告書の内容を企業に漏らしたジャスティン・トムリンソン議員に対し、2日間の登院停止を言い渡した。

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ジョンソン政権をめぐっては昨年末以降、パンデミック対策で屋内での集まりが制限されていた時期に、首相官邸を含む政府機関で複数の「飲み会」やクリスマスパーティーが開かれていたことが相次いで発覚。「ウォーターゲート」事件をもじって「パーティーゲート」と呼ばれている。

最初に発覚した2020年12月18日のパーティーについて、ジョンソン首相は2021年12月1日の議会で、「首相官邸ではすべてのガイダンスが順守されている」と答えた。

その後、このパーティーについて官邸職員が冗談を言っている動画が流出。首相は2021年12月8日の議会で「パーティーはなかったし、新型ウイルス対策違反もなかった」と、「繰り返し報告されている」と述べた。また、「そのとき何が行われていたとしても、ルールは守られていた」と語っていた。

しかし2022年1月12日には、自身が2020年5月20日に首相官邸の庭で開かれたパーティーに参加していたことについて謝罪。「仕事のイベントだと信じていた」と説明していた。

一連の問題をめぐっては今年1月、グレイ第二事務次官が2020年5月から2021年4月までを対象とした調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とし、問題の背景に「指導力の欠如」があると指摘した。

また、グレイ第二事務次官からの情報提供を受け、ロンドン警視庁が16件中12件について捜査を開始しており、これまでに少なくとも50件の「罰金通告(FPN)」を出している。これには、ジョンソン首相やリシ・スーナク財務相、ジョンソン氏の妻のキャリーさんも含まれている。

ジョンソン氏は違法行為で処罰された同国初の現職首相となった。

(英語記事 PM to face probe over claims he misled Parliament

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61185268

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