
ウクライナ南西部オデーサで23日、集合住宅などへのミサイル攻撃があり、生後3カ月の子どもを含む8人が死亡した。ロシア国営メディアはロシア国防省の話として、この攻撃でウクライナの補給基地が機能停止に陥ったと伝えた。他方、ウクライナ政府は近くアメリカの国務長官と国防長官が首都キーウを訪れると明らかにした。
ウクライナ南西部の港湾都市オデーサの当局は、同市に複数のミサイル攻撃があったと発表した。アパートなどの建物が攻撃されたもよう。
ソーシャルメディアに投稿された複数の動画では、オデーサ市内の建物から黒煙が立ち上っているのが確認できる。
ロシアはオデーサ攻撃を認めた。ロシア国営タス通信は国防省の話として、オデーサ近郊にあるウクライナの補給基地が機能停止に陥ったと伝えた。高精度のミサイルが使用されたという。
タス通信は、集合住宅への攻撃については触れていない。ロシア政府はこれまで、民間人を意図的に狙ったことはないと主張している。
生後3カ月の子どもも犠牲に
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、首都キーウの地下鉄駅で記者会見を開き、ロシアによるオデーサへのミサイル攻撃で8人が死亡したと明らかにした。
死者には生後3カ月の子どもも含まれるという。
ウクライナ軍はこの会見に先立ち、2発のミサイルがオデーサ市内の軍事施設と集合住宅2棟を攻撃したと発表した。
プーチン氏との会談を呼びかけ
ゼレンスキー大統領は会見で、戦争を終わらせるため、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談実現を呼びかけた。
「この戦争を始めた者こそ、この戦争を終わらせられると思う」
さらに、両国の和平合意を意味するのなら、プーチン氏に「会うことは怖くない」と付け加えた。
一方で、ロシア軍が包囲する南東部マリウポリで、アゾフスタリ製鉄所を守るウクライナ兵をロシア軍が殺害したり、ロシア軍の占領地域でロシア編入の是非を問う疑似住民投票を計画すれば、ウクライナは和平交渉から離脱すると警告した。
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ゼレンスキー大統領の補佐官によると、製鉄所はロシア兵による攻撃を再び受けている。これが事実だとすると、ロシアがまたしても作戦を変更した可能性がある。プーチン氏は21日に、製鉄所への総攻撃を中止し、「ハエ1匹逃げられないよう」封鎖するよう命じていた。
米国務長官がキーウ訪問か
ゼレンスキー氏によると、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官が24日にもキーウを訪問する。
ロイド・オースティン米国防長官も同行するという。実現すれば、米政府高官のキーウ公式訪問はロシアの侵攻開始後初めてとなる。
「明日(24日)、アメリカの政府高官が私たちのもとへ訪れる」と、ゼレンスキー氏は記者団に語った。
「製鉄所に残る市民の映像」公開
こうした中、アゾフスタリ製鉄所に残るウクライナのアゾフ大隊は23日、同製鉄所の地下豪に避難している女性や子どもだとする動画を公開した。
動画では、物や人であふれかえった一室にいる女性や子どもたちの姿が映っている。食料も水も尽き、避難したいと懇願する声が聞こえる。2月からここに避難し、何週間も日の光を見ていないと話す人もいる。
動画は4月21日に撮影されたとされる。BBCはこの動画の内容を検証できていない。
部屋へと続く壁には赤い塗料で「子たち」と大きく書かれてある。赤ちゃんから14歳までの子ども15人以上がこの場所に避難していると話す、女性の声が聞こえる。
別の女性は、ロシアの侵攻2日目の2月25日からここに避難していると語っている。
1人の少女は、2月27日に母親と祖母と一緒に自宅を離れたという。
「それからずっと空も太陽も見ていない。私たちはここからすごく出たい。安全な場所に行きたい。誰も傷つかないように、安全に暮らせるように」と、この女の子は話した。
この少女は、西部リヴィウへの避難を希望。同市には、激しい攻撃が続くハルキウから逃れたきょうだいがいるからだという。
「逃げたい。安全なところに行きたい。爆弾の破片があたるような危険を冒しては、避難したくない」
アゾフ大隊の指揮官の1人は今週初め、子どもを含む多くの民間人が製鉄所の地下に避難しているとBBCに語った。死亡したウクライナ人戦闘員の遺体も残っているという。
マリウポリ市民、避難実現せず
マリウポリでは現地時間23日正午から、人道回廊が設置されるはずだった。しかし、マリウポリ当局は民間人の避難は実現しなかったと明らかにした。
マリウポリ市長の補佐官によると、ザポリッジャへバスで避難するため、約200人が市内の集合場所に集まっていたが、ロシア軍から砲撃の警告を受け、解散させられたという。
民間人をマリウポリから脱出させる試みはまたしても阻まれることとなった。ウクライナとロシアは、人道回廊を設置するという合意を破ったとして互いに非難し合っている。
(英語記事 Live Page/Video appears to show children in Mariupol bunker)