
中国・北京市は、新型コロナウイルスの感染増加を受け、数百万人の住民を対象にした大規模な検査を始めた。市内の朝陽区では先週末、最近では最も多い26件の感染が新たに報告された。
政府は食料の供給は十分にあるとしているが、スーパーマーケットや小売店の前には長い列ができている。
上海では新型ウイルスの感染拡大を受けたロックダウンにより、2500万人が数週間にわたって自宅に閉じ込められており、北京が同じような状況になるのではとの懸念が広がっている。
「食肉製品は全て売り切れた」
北京市の疾病予防控制センターの発表によると、朝陽区に住む350万人は全員、3回にわたる大規模検査の対象となる。
この発表を受け、市民は日用品の備蓄に走った。地元メディアは、スーパーの棚が空になる様子や、レジの前に長蛇の列ができている状況を報じた。
北京市内の大型スーパーは営業時間を延長し、需要に対応した。
中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」では、上海在住だというユーザーが、「早朝に市場に行くとは思わなかった。(中略)行ったら、卵もエビも全部なくなっていて、肉は全部売り切れていた」と言い、その後に「何とか野菜を手に入れた」と述べた。
上海在住の別のユーザーは、「北京の人々が慌てて食べ物を買う姿は、滑稽でもあり、悲しくもある。(中略)つい1か月前までの自分の生活を見ているようだ」と語った。
国営メディアの「環球時報」によると、北京の生鮮食品企業は、肉や卵、野菜といった食料品の供給を増やすよう命じられたという。
また、保健の専門家の言葉を引用し、集団検査の結果によっては、いくつかの地域を封鎖するなど、さらに対策をエスカレートさせる必要があるか示されるだろうと述べた。
これとは別に、北京市疾病予防控制センターの龐星火副主任は中国日報に対し、北京での感染者数が今後増加する見込みだと話した。
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上海で3月末に判明した今回のアウトブレイク(感染の大流行)では、これまでに40万人の感染が確認され、同市としては最多の51人の死者が出ている。
中国当局は上海で、感染者の自宅の玄関に警報器を取り付けて外出を防いだり、消毒を行うために無理やり人々を避難させたり、強制的な対策を行ってきた。
ロックダウンされた地域の一部では住民が食料不足に陥り、政府の野菜や肉、卵の配給を待たなくてはならない状況に追い込まれた。
また、事前通告なしに一晩で緑色のバリケードを設置し、市民を実質的に自宅に閉じ込める地域もあった。
新型ウイルスとの共存を模索する他の多くの国々とは対照的に、中国政府は「ゼロ・コロナ」戦略でウイルスの徹底排除を目指している。
パンデミックの開始当初は感染者を比較的低く抑えられていたものの、最近では感染力の強い変異株により、厳しいロックダウンでもウイルスの封じ込めが難しくなっている。