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2022年4月27日

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ヨランデ・ネル、BBCニュース(エルサレム)

パレスチナ自治区ガザ地区でこのほど、約4500年前の美と愛、戦いの女神の石像が見つかった。南部カーン・ヨウニスで農作業をしていた住民が、畑から発見した。

パレスチナの考古学者によると、これは青銅器時代後期にカナン(地中海とヨルダン川にはさまれた一帯の古い地名)で信仰されていた、女神アナトの石像の頭部だという。

ソーシャルメディアでは現地の人々が、この女神と戦争との関係が現状にぴったりだと、皮肉を込めたコメントを書き込んでいる。ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの間ではここ数年、紛争が激化している。

しかし石灰でできたこの石像は、さまざまな古代文明の重要な交易路だったこの地域が、もとはカナン人が暮らす土地だったことを思い出させてくれる。

石像は22センチほどの大きさで、ヘビの王冠を付けた女神の顔がはっきりと見てとれる。

発見者のニダル・アブ・エイドさんは、畑を耕していたところ、「偶然見つけたので、水で洗った」とBBCに説明した。

「貴重なものだと気づいたけれど、考古学的にこれほど価値のあるものだとは分からなかった」

「神に感謝するとともに、この石像がカナンの時代からパレスチナの土地にとどまっていてくれたことを誇らしく思う」

アナトは、カナンの神々の中でもとくに有名な女神だという。この石像は現在、ガザ地区の数少ない美術館として機能しているカスル・アルバシャという歴史的建造物に展示されている。

ハマスが運営する観光・古物省のジャマル・アブ・リダ氏は記者会見で、この石像は「時間に耐えてきた」もので、専門家の慎重な調査を受けてきたと説明した。

一方で、政治的な意味合いにも言及した。

「こうした発見は、パレスチナに文明と歴史があったことを示すものであり、その歴史を否定・改ざんできる者はいない」

「これはパレスチナ人と、古代のカナンの文明だ」

観光客を引き付ける力はあるが

ガザ地区で発見された全ての考古学的発見が、これほど評価されてきたわけではない。

イスラム主義のハマスはかつて、住宅地と軍事基地の開発のため、カナンの要塞都市テル・アル・サカンの遺跡を破壊したことで非難された。

2013年には同地区で、漁業従事者がギリシャ神話のアポロ神の等身大の銅像を発見したが、その後、行方が分からなくなっている。

しかしハマスは今年、外国からの寄付による1年間の修復プロジェクトを終えた5世紀のビザンチン様式の教会の遺跡を再公開した。

ガザ地区北部でも、建設現場からローマ帝国時代の墓が31基見つかったため、工事が中止となっている。

こうした古代遺跡が外国からの訪問者を引き付ける可能性はあるものの、ガザ地区には実質、観光業界が存在しない。

イスラエルとエジプトは、安全保障上の懸念を理由に、ガザ地区への人の行き来を厳しく制限している。同地区には現在、230万人のパレスチナ人が住んでいる。

(英語記事 Gaza farmer finds 4,500-year-old statue of goddess

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61239126

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