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2022年5月2日

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ウクライナ南東部マリウポリの製鉄所の地下から出られなくなっていた民間人について、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1日、第1陣として約100人がロシアやウクライナが支配する地域に避難したと明らかにした。一方、南部ヘルソンでは通貨をロシアのルーブルにする変更が始まったが、市民らは抵抗している。

戦略上の要衝となっているマリウポリのアゾフスタリ製鉄所は、同市を防衛するウクライナ軍の最後の陣地となっている。ロシア軍の激しい爆撃が続く中、兵士らと多数の民間人が数週間、立てこもってきたが、先月30日に民間人の避難が始まった

ゼレンスキー大統領は1日、「第1陣の約100人がすでに管理区域に向かっている」とツイート。「明日(2日)、ザポリッジャでみんなと会う。私たちのチームに感謝している! チームは現在、国連と共に、製鉄所からの他の民間人の避難を進めている」と述べた。

南東部の都市ザポリッジャは、ウクライナが掌握を続けている。

一方、ロシア国防省も、同国が支配しているベジメンヌ村に民間人80人ほどが到着したと明らかにした。避難者に医療や物資を提供しているという。また、ウクライナ支配地域への移動を望む人について、「国連と赤十字国際委員会の代表に引き渡している」と述べた。

まだ多数が製鉄所に

国連は、市民を避難させる「安全な通行作戦」が先月30日に始まり、赤十字国際委員会と協力して進めていると発表した。同日朝には避難用の車列が到着したとしたが、作戦の安全が脅かされる恐れがあるとして、行き先や避難人数などは公表しなかった。

ロイター通信の映像には、製鉄所から出て来た女性や子どもたちが、助けを受けながらがれきの上を歩き、窓のないバスに乗り込む様子が映っている。

生後半年の赤ちゃんを連れた女性は、製鉄所に2カ月間、閉じ込められていたと話した。別の年配の女性は、食料が無くなっていたと述べた。

ウクライナ当局は、製鉄所への砲撃について、ロシア軍が1日に短時間停止した後、再開したとした。製鉄所内にはまだ民間人約1000人と、負傷兵500人以上がいるとし、食料や水などの深刻な不足が生じているとしている。

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ロイター通信は同日、ウクライナ国家警備隊のデニス・シュレハ氏の話として、製鉄所の地下室にはまだ、子どもを含め数百人が取り残されており、全員を避難させるには少なくともあと2回は今回のような避難活動が必要だと伝えた。

ロシアが掌握している地域に避難したナタリア・ウスマノワ氏(37)は、「地下室はもたないと思っていた。ものすごく怖かった」、「かなりの間、太陽を目にしていなかった」と話した。


ヘルソンでロシア通貨に切り替え

ロシア軍が占拠した南部の都市ヘルソンでは、1日から同国の通貨ルーブルが導入されることになり、市民らが反発している。

ロシア当局によって失職させられた同市のイホル・コリハイェウ市長は、市内で唯一機能している銀行システムはロシアではなくウクライナのものだとし、ルーブル導入は不可能だと述べた。

多くの住民は、受け取ったルーブルをウクライナの通貨フリヴニャに両替している。60日間占拠を続けているロシア軍に対する、市民のささやかな抵抗の1つだ。

ヘルソン市内では現在、ロシアで戦争支持のシンボルとなっている「Z」の文字があちこちで見られ、市庁舎にはロシア国旗が掲げられている。ロシア軍の装甲車が中心部を走り回っている。

市長によると、住民の約4割が市外に避難している。住民らによると、国内の安全な場所に通じる道路は封鎖されているという。唯一通行できる道路はロシアが併合したクリミアを通るもので、利用する市民はいないという。

多くの住民らはBBCに、スーパーの棚は空っぽで、わずかな商品の購入にも苦労していると話した。商店、レストラン、事業所が閉鎖しており、経済は部分的に停止しているという。

米下院議長がキーウ訪問

米議会下院のナンシー・ペロシ議長が1日、ウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談した。

ペロシ氏は、ウクライナへの支援の継続を約束。「私たちはこの戦いで(ウクライナを)支援している。あなたたちがごろつきに屈するわけにはいかない」と述べた。

また、ジョー・バイデン米大統領が議会に要求した、ウクライナ支援のための330億ドル(約4.3兆円)の追加予算を、議会として素早く承認すると語った。

ペロシ氏は、議会代表団を率いてキーウを訪れた。ウクライナ側とは、「安全保障、人道支援、経済支援、勝利を収めたときのゆくゆくの再建」を中心に話し合ったと話した。

その他の動き

  • ロシア当局は、ウクライナ国境近くのロシア南部ベルゴロドにある国防省の施設で火災が発生したと明らかにした。原因については説明しなかった。
  • デンマークとスウェーデンは、ロシアの航空機が領空侵犯したとして、それぞれロシア大使を呼び出した。デンマークの外相は「とうてい容認できない」と抗議した。
  • ウクライナ北東部ハルキウの軍当局は、クトゥゾフカなど周辺の4地区をロシアから奪還したと明らかにした。

(英語記事 Mariupol civilians evacuated from steelworks bunkerMariupol evacuation and pilot legend - round-upKherson defiant as Russia plans to use roubles

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61295458

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