BBC News

2022年5月5日

»著者プロフィール

米連邦準備制度理事会(FRB)は4日、政策金利を0.5%ポイント引き上げ、0.75%~1%の幅にすると発表した。0.5%ポイントの大幅利上げは22年ぶり。

アメリカの中央銀行に当たるFRBのジェローム・パウエル議長は4日の記者会見で、「インフレ率が非常に高くなっており、その結果の困難も承知している」と述べ、「我々はインフレ抑制のため迅速に動いている」と強調した。

FRBは、物価上昇のスピードに対抗するため、3月にも小幅の利上げを行っていた。アメリカのインフレ率は40年来の高水準にあり、今後も利上げが見込まれている。

世界中の家庭が物価上昇による家計圧迫を実感する中、各国がその抑制に取り組んでいる。

インドの中央銀行は4日、基準金利の大幅引き上げを発表。オーストラリア中銀も、10年以上ぶりの利上げに踏み切った。英イングランド銀行も5日金利引き上げを発表するとみられている。これは、昨年12月以来4回目の利上げとなる。

<関連記事>

利上げの影響とは

銀行が利上げすると、個人や企業、政府の資金借り入れコストが高くなる。金融当局はこれによって、モノやサービスの需要が抑えられ、物価上昇が緩和されると期待している。

しかし利下げには同時に、経済の急激な停滞を招くリスクもある。特に、ウクライナでの戦争や中国での新型コロナウイルス流行によるロックダウンといった新たな難題がある中では、その危険性が高まる。

FRBで金利決定に関わった経験のあるエコノミストのドナルド・コーン氏は、「成功するには狭い道を進まなければならない。非常に難しい状況になるだろう」と語った。

アメリカのインフレ率は3月に8.5%に達し、年率では1981年以来最も加速。食料とエネルギーにかかるコストの上昇が主要因だった。これはFRBの目標値2%をはるかに超えており、ジョー・バイデン米大統領にとって政治的な懸案にもなっている。

多くのエコノミストは、FRBはこの問題への対応が遅れていると指摘する。インフレ上昇は、新型ウイルス関連の供給不足や、ウクライナ戦争によるエネルギー市場への衝撃、そしてアメリカでは、パンデミック発生後の経済を支えるために行った直接給付を含む多額の政府支出など、さまざまな要因が重なった結果の産物だ。

「銀行はかなり遅れをとっている。ほとんどの中央銀行がそうだと思う」と、米ジョージ・メイソン大学マーケイタス・センターの上級フェローで、40年近くFRBに勤めたトーマス・ホーニグ氏は言う。

「だが、中銀がその間違いを別の間違いで修正しようとするなら、つまり、非常に大きな金利上昇で経済にショックを与えようとすれば、それによって不景気になる可能性が高いという点で、かなり大きな代償が伴うと思う」

今回の利上げは全会一致で決定した。基準金利が0.75%~1%の幅になったことで、住宅ローンやクレジットカード金利、その他のローンにおける消費者の負担額が増えることになる。

さらにFRBは、パンデミック中の経済刺激策として買い入れていた国債や住宅ローン担保証券などの金融資産の圧縮する計画も発表。6月から毎月475億ドル(約6兆1300億円)を上限に圧縮し、9月には950億ドルまで増やす予定だ。

今後も利上げを計画、影響は

世界最大の経済大国による大幅利上げの動きは、多くの国や商品市場が米ドルに依存する中、大きな影響を与えるとみられている。自国通貨をドルに連動させるドルペッグ制を採用している湾岸諸国はすでに4日、利上げを発表している。

FRBのパウエル議長は、今後も利上げを行う計画だとしている。また、会合では将来的に0.5%ポイントの大幅引き上げを行う可能性も「あり得る」ことが示唆されたと明かした一方で、それ以上の大幅利上げは積極的に検討していないと述べた。

投資家はあらかじめ利上げを予想しており、アメリカの株式市場では金利引き上げ発表後に株価が高騰した。

パウエル議長は、堅固な雇用市場などから、アメリカ経済はFRBが積極的な金融政策を取っても耐えられるだろうと説明。しかし、ウクライナでの戦争や中国でのロックダウンによる供給への悪影響が、FRBに厳しい課題を突き付けていると認めた上で、より積極的に需要抑制に動かざるを得ないかもしれないと述べた。

「我々は石油価格や、食品・商品価格といったものには影響を及ぼせない。だが、インフレ期待を確実に固定させる必要がある。それもFRBの仕事の一環だ」

「あらゆる中央銀行が非常に難しい状況に置かれている」

(英語記事 US makes biggest interest rate rise in 22 years

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61329711

関連記事

新着記事

»もっと見る