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2022年5月7日

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5日に投票が行われたイギリス統一地方選で、政権与党・保守党が大きく敗れる見込みとなった。すでに全体で500議席近くを失ったほか、11の自治体議会で過半数議席を他党に明け渡した。ボリス・ジョンソン首相は、いくつかの地域で「厳しい」結果になったと述べた。

イングランドとスコットランド、ウェールズではこの日、合わせて200の自治体議会の選挙が行われた。これまでに198の自治体で開票結果が出ており、7日中に全結果が判明する見通し。

保守党は、イングランド南部の各自治体議会で自由民主党に敗北。ロンドンでは主要区の多くで議会過半数を最大野党・労働党に奪われた。

スコットランドでは、スコットランド国民党(SNP)が大多数の自治体議席で過半数を獲得する見込み。ウェールズでも労働党が支持を盛り返している。

北アイルランドでは議会選挙が行われ、ナショナリスト(親アイルランド派)のシン・フェイン党が過半数議席を獲得する見通し。こちらも7日には全議席が決定する見込みだ。

ジョンソン首相は、全体の結果はまだら模様になると述べている。

一方の労働党は、ロンドン市内の各自治体で大きな成果を挙げたものの、伝統的な支持基盤としてきたイングランド北部では限定的な勝利にとどまった。

ほぼ全ての開票が終わっている7日未明の段階で、労働党はイギリス全体の自治体議会で137議席を新たに獲得した。サー・キア・スターマー党首は、次の総選挙での勝利に向けて「軌道に乗っている」と話した。

しかしスターマー党首をめぐっては、昨年のダラムのイベントに出席した際に新型コロナウイルス対策に違反した疑いがあるとして、警察が捜査に着手しており、批判の声も出ている。

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BBCは今回の地方選全体の得票率を、労働党35%、保守党30%と予想している。

労働党にとっては、ここ10年の地方選で最大の得票率となる見込み。一方、ジョンソン氏には党内からの新たな批判材料になりかねない。

また、4日に投票が行われた一部地域の結果からは、自由民主党が19%、その他の少数党が合わせて16%の票を獲得する見通しとなっている。

主要区での調査によると、前回の2018年地方選と比べた場合、保守党はイングランド南部で得票率が平均7ポイント下がっている。ロンドンとイングランド中部では共に4ポイント、北部では2ポイントの減少となる見込み。

首相は「結果はまだら模様」、野党は「転換点」と

保守党は選挙以前から、生活費の高騰に加え、ロックダウン中に官邸などで行われたパーティー疑惑、ジョンソン首相の新型ウイルス対策違反での罰金などへの批判に直面しており、イングランドでの大敗を予測していた。

ロンドン北西部ライスリップを訪問したジョンソン氏は、「これは中間選挙だ。確かに、結果はまだら模様になる」と述べた。

「一部地域では厳しい夜となったが、その一方で保守党が前進した地域があり、これまで長らく保守党に投票しなかったような地域でも、素晴らしい票数を得ている」

実際、保守党の結果は党内で警戒されていたほど悪いものではないが、ジョンソン氏への批判は続いている。

労働党のスターマー党首は選挙前にロンドン北部バーネットを訪れ、「これは大きな転換点だ(中略)2019年総選挙の深みから回復し、我々は軌道に戻っている」と述べた。

「我々は首相に、『イギリスにはもっとまともな政府があるべきだ』と伝えた」

自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首も、今回の結果は同党にとって「転換点」になるだろうと述べた。

デイヴィー党首は、有権者は生活水準の引き締めの中で保守党に「うんざり」していると指摘。保守党が過半数議席を持つ地域で、自由民主党が「現実的な挑戦者」になると述べた。

勝者と敗者

イングランドで最初の開票結果が発表された際には、自由民主党が3つの自治体議会で計200近い議席を新たに獲得した。

緑の党もイギリス全体で84議席を増やしており、その大半がイングランドに集中している。

労働党はロンドンで大きな成果を上げ、数十年にわたって保守党が保持してきたワンズワース、ウェストミンスター、バーネットの各区議会で過半数議席を勝ち取った。

スコットランドでも、ウェスト・ダンバートンシャーで労働党が保守党を抑えている。しかし、地方議員数を22人から453人に増やしたSNPの勢いには及んでいない。

スコットランド第一首相でもあるSNPのニコラ・スタージョン党首は、今回の地方選は、15年にわたるSNP政権の中でも「特に素晴らしい結果」だと述べた。

ウェールズでは保守党は86議席を失ったほか、唯一保持していたモンマスシャーでも過半数議席を失った。

同地域では労働党が第1党の座を維持している。プライド・カムリ(ウェールズ党)も3つの自治体で過半数を獲得し、強い結果を残した。

北アイルランドでは、議会の90議席全てが改選となった。

現時点で結果が確定した47議席中18議席をシン・フェイン党が獲得している。同党が第1党となれば、北アイルランドでは初の出来事となり、歴史的な政治的転換となる。


<解説>有用な物差し ――ローラ・クンスバーグ政治編集長

地方選挙は、国全体の願望を映し出す完璧な鏡でも、現時点で総選挙が行われた場合にどうなるかを正確に示すものでもない。

しかし、イギリス全土を統治しようとする2大政党の戦況を知る上では、有用な物差しとなる。いずれにしろ、この24時間の出来事は重要だ。

数週間前に巻き戻してみると、新型ウイルス対策のロックダウン期間に首相官邸で何が起きていたのか、数カ月にわたって異常な暴露が続いてたため、保守党内からは、この選挙が壊滅的な結果に終わるのではないかと恐れる声も出ていた。

そして、ほぼすべての集計が終わった今、保守党はイギリス全土で500議席近くを失った。これは、保守党が自分たちの地元とみなす多くの地域で拒絶されたことを意味する。

この敗北は間違いなく、識者の予想より悪い結果だ。

それでも今のところは、首相官邸が吹き飛ぶような大惨事にはなっていないようだ。そして保守党が政権を維持してきたこの12年間、任期半ばの選挙でのこうした敗北は、前例がないわけではない。


(英語記事 PM admits tough losses for Tories in elections

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61360284

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