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2022年5月9日

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香港で8日、政府トップの行政長官の選挙があり、李家超(ジョン・リー)氏(64)が当選した。他に候補者のいない閉鎖的な選挙で決まった。

李氏の行政長官就任は、中国政府による香港支配の強化だと、広く受け止められている。

李氏は強固な中国政府支持者として知られる。2019年の民主化運動では保安局長として、参加者に対する時に暴力的な弾圧に当たった。

李氏は、退任する林鄭月娥(キャリー・ラム)氏の後任となる。林鄭氏は2017年から行政長官を務め、2期目は目指さないと表明していた

民主化運動を弾圧

香港のトップは、ほぼ全員が親中国派の約1500人からなる内輪の委員会によって選出される。ただ今回は、候補者が1人しかいなかった。

李氏は、香港で2番目の高官である政務官を務めていた。これまで常に、林鄭氏の後任として有力視されてきた。

李氏は中国政府の支持を受けているものの、香港での評判は非常に悪い。2019年に、反対意見が噴出した「逃亡犯条例」改定案をめぐって起きたデモで、参加者を弾圧する立場にいたためだ。

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李氏は政情不安の下、法案を支持し続けた。デモを解散させるため、警察による放水銃やゴム弾、催涙ガス、そして時には実弾の使用を容認し、激しい批判を浴びた。

2020年には、激しい論争を呼んだ「香港国家安全維持法」の施行も支持した。政治的な抗議や反対意見の表明を多くの場合で犯罪とし、香港の自治権を縮小する法律だ。

李氏は、この法律が「混迷から安定」を取り戻すのに役立つと主張した。

米国の制裁対象に

李氏は昨年、指導層に昇進した。アナリストらは、中国政府による香港の治安強化の意図が表れていると分析した。

同法の施行に関与したことで、李氏ら10数人の高官がアメリカの制裁対象となった。ユーチューブは今回の李氏の選挙運動動画をブロックした。

香港に残っている数少ない民主化グループの一つの社会民主連線は、開票が始まる前に3人で抗議活動を実施。「民衆に力を、今こそ普通選挙を」と声を上げた。

警官が警戒に当たる中、抗議したヴァネッサ・チャン氏は、「これが李家超による新たな章の姿だ。市民的自由の縮小だ」と述べた。

「この行動に何の効果もないことは分かっている。だが、香港に完全に沈黙してほしくない」

香港は1997年にイギリスから中国に返還された。その際、集会の自由や言論の自由などの権利の保証が合意されていた。

しかし、香港当局が反対意見の取り締まりを進め、それらの権利がどんどん損なわれているとの批判が出ている。李氏は中国政府の政策を強く支持しており、李氏のリーダーシップによって、香港が中国の厳しい監視を受ける時代に入るのではないかとの懸念が高まっている。

(英語記事 China hardliner becomes Hong Kong's leader

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61375402

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