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2022年5月27日

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ガイ・ヘッジコウ、スペイン・マドリード

スペイン議会は26日、性暴力の被害者が、加害者の訴追を当局に求めやすくすることを目的とした法律を承認した。同意の重要性を強調する内容となっている。

スペインでは6年前、悪名高い集団強姦事件が起きた。今回の法制定は、同事件の法的・社会的影響を背景に推進された。

承認された「性的自由の保証」法は、「イエスだけがイエスを意味する」法としても知られる。この日は大差で承認された。

発効には、上院の承認が必要。

新法の制定を推し進めたイレーネ・モンテロ平等相は、「私たちの国でついに、性的自由が権利になる」と述べた。

「私たちは暴力を自由と置き換え、恐怖を願望と置き換える。今日からスペインは、すべての女性にとって、前より自由で安全な国になる」

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この改革により、性的暴行の被害者は、被害を訴え出る際に、暴力や脅迫を受けたことや、身体的に抵抗したことを証明する必要がなくなる。同意のない性行為はすべて、暴行とみなされることになる。

「同意があると理解されるのは(中略)その人の意思が明確に示される場合に限る」と、法案には書かれている。

恐怖でまひ

ペドロ・サンチェス首相率いる左派連立政権が進めた今回の改革は、「マナダ」(オオカミの群れ)事件と呼ばれる犯罪事案が、大きなきっかけになった。北部パンプローナで2016年に起きた同事件では、有名な「牛追い祭り」の最中に男性5人が18歳の女性を強姦した。

男性らは全員、性的虐待の罪で有罪となり、9年の禁錮刑を宣告された。しかし、暴力も脅迫もなかったとの理由で、強姦罪には当たらないと裁判所は判断した。

この事件では、「同意」が鍵となった。被告側の弁護団は、被害女性が一度も「ノー」と言わなかったと主張した。女性は、恐怖で感覚がまひしていたと述べた。

判決は社会の大きな反発を呼んだ。大規模な路上デモが開かれ、判決への反対を表明する政治家もいた。最高裁は2019年、判決を覆して5被告を強姦罪で有罪とし、量刑も15年に延ばした。

スペインで昨年報告された強姦事件は2143件で、前年より14%増え、過去最多となった。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、2018年以降、デンマーク、クロアチア、ギリシャ、マルタ、スウェーデン、アイスランド、スロヴェニアの欧州7カ国が、同意の有無をもとに強姦かどうかを判定する法律を導入している。

スペインの極右政党VOXは、保守系の国民党(PP)とともに新法に反対。うまく機能しないと批判した。

VOXのカルラ・トスカーノ副代表は、「証拠がなくても女性を信じるように制度を変えれば、とても危険な武器が生まれる。どの女性も、うそで無実の人に復讐したり、人生を破壊したりできる」と述べた。

そして、「多くの場合、男性が同意を証明することは不可能だ」と付け加えた。

売春とポルノ

新法は、性暴力の被害者に対する支援の拡充も定めている。

性暴力の定義も拡大される。例えば、公共の場において、本人の望まない「性的または性差別的な表現、行為、誘いかけ」によって辱めを受けるようなハラスメントも、性暴力に含まれる。

また、ジェンダーの固定観念を強化するような広告や、売春を促進すると考えられる広告を禁止する。新法には、「性的搾取、売春、性暴力を常態化させるポルノに関連する、あらゆる種類のサービスへの需要を抑えること」が目的だと書かれている。

この法律はまた、若い性犯罪者が、性的行動と平等に関する教育プログラムを受けることも求めている。

スペインでは最近、未成年者による性的暴行事件が相次ぎ、懸念の声が出ている。バレンシア州ブルハソットでは今月、10代前半とされる少女2人を強姦した疑いで、10代の少年5人が逮捕された。

(英語記事 Spanish MPs back 'only yes means yes' rape law

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61603726

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