
今月14日に欧州歌合戦「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト」に優勝したウクライナ代表が29日、ロシアの軍事侵攻と戦うウクライナ軍を支援するため、優勝トロフィーを売却した。
ヨーロッパ各国が参加する毎年恒例の歌合戦ユーロヴィジョンで今年は、ウクライナ代表の「カルーシュ・オーケストラ」が優勝。獲得したクリスタル製マイク型のトロフィーをフェイスブック上のオークションで、90万ドル(約1億1440万円)で売却した。
売り上げで、ウクライナ軍用にウクライナ製のPD-2ドローンを3機購入する予定という。ウクライナのテレビ司会者の発表をロイター通信が伝えた。ドローンはウクライナ軍もロシア軍も、攻撃用と偵察用に多用している。
カルーシュ・オーケストラは29日には、ドイツ・ベルリンのブランデンブルク門広場で開かれたチャリティー・コンサートにも出演した。「ウクライナを救おう」、「戦争反対」を掲げたこのコンサートは、戦争による傷病者を手当てする医療機関のために医薬品の購入資金を募ることを目的にしていた。
カルーシュ・オーケストラのリードボーカル、オレフ・プシュクさんはコンサートで、ウクライナで戦争が行われていることに慣れてしまわないでもらいたいと呼びかけた。
「平和が訪れるまで、戦争の話は常に(新聞の)一面に載っているべきだと思う」と、プシュクさんは訴えた。
2月24日に始まったロシアによる軍事侵攻を受けて、今年のユーロヴィジョンでは開催前から、カルーシュ・オーケストラが早期に支持を集め、優勝候補と目されていた。優勝曲「ステファニア」はもともと、プシュクさんの母親に向けて作られたものだが、「壊れた道を通っていつでもあなたのもとへ歩いていく」などといった気持ちのこもった歌詞が、今では戦時下の人を励ます歌として支持されている。
国連によると、ロシアの軍事侵攻によってウクライナでは今月26日までに少なくとも民間人4031人が死亡し、4735人が負傷したことが確認されている。
国連の別のデータでは、累計1400万人以上が自宅から避難しなくてはならなかったとされる。
(英語記事 Ukraine war: Eurovision trophy sold to buy drones for Ukraine)