2022年6月28日(火)

BBC News

2022年5月31日

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イギリスで新型コロナウイルス対策のロックダウン中に首相官邸などで数々のパーティーが開かれたことをめぐり、与党・保守党内でもボリス・ジョンソン首相の辞任を求める声が高まっている。30日には元法務長官のジェレミー・ライト議員が、パーティー問題が保守党に「持続的な損害」を与えたと述べた。

ライト氏は、デイヴィッド・キャメロンおよびテリーザ・メイ両政権で法務長官を務めており、ジョンソン首相と決別した党幹部の中では最高位の1人だ。2019年7月にジョンソン氏が就任するまでの1年間は文化相を務めていたが、新内閣の発足にあたって交代させられた。

パーティー問題をめぐっては、地域活性化・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官が25日、内閣の依頼で行った独自調査の調査報告書を公開。それ以降、11人の保守党議員が公の場で首相に辞任を要求しており、全体で27人に上っている。

この27人のうちの大半は、党内の「1922年委員会」にも、党首不信任の書状を送っている。保守党では、下院議員54人が党首不信任の書状を「1922年委員会」に送ると、党首選を実施することになっている。ただし、不信任の書状を送ったと議員が公表する必要はなく、正確な人数は同委員会のサー・グレアム・ブレイディー委員長しか把握していない。

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ライト議員は、自身のウェブサイトに掲載した長文の声明の中で、COVID-19への規制が実施されている間に首相官邸や官庁街ホワイトホールで行われた集まりに関する論争は、「この政権だけでなく、より広範囲に、政府の制度や権威に現実的かつ持続的な損害を与えている」と述べた。

「これを正すことが、政府の権威の本質と政府の政策の有効性にとって非常に重要だ。公務員の異動や謝罪では、それがどんなに心からものであっても、成功につながるとは思えない」

その上で、「この政権、そして未来の政権のためにも、ジョンソン首相は辞任するべきだ」と述べた。

ライト議員は、2016年の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票では残留派だった。また、首相に閣内の倫理を助言する「公職における行動基準に関する委員会」の一員でもある。

同委員会は、閣僚の行動規範について修正案を助言していた。そのうちの一部は、ジョンソン政権が先に発表し、議論を呼んでいる閣僚行動規範の修正に含まれている。

「全責任を負う」

グレイ第二事務次官は最終報告書の中で、ロックダウン中に開かれていた多くの集まりは「許されるものではなかった」と指摘。官邸内のこうした風潮について、首相や幹部が「責任を負う必要がある」と書いた。

また、ごみを散らかしたままにしたり、パーティーを制止しようとする警備担当者を笑いものにしたりするなど、清掃や警備の担当者への悪質な態度が散見されたことを明らかにしている。

グレイ報告書の公表に先立ち、ロンドン警視庁は19日に新型ウイルス関連のルール違反をめぐる捜査を終了した。感染対策のルール違反で罰金を科せられたのは、首相夫妻やリシ・スーナク財務相を含めて83人、罰金通告は126件に上った。

首相はさらに、ロックダウン中のパーティーについて議会に事実を誤認させる答弁をした可能性があるとして、議会下院の倫理基準・特権委員会の調査を受けている。

ジョンソン氏は先週の議会で、「私の監視下で起きたすべてのことに全責任を負う」と述べた。これまで「ルールとガイダンスに常に従っていた」と話していたことについては、「私が真実だと信じていたこと」だったと説明した。

また、一部公務員の「容認できない」行動について、首相官邸の清掃員や警備員に個人的に謝罪したという。

閣僚は首相を擁護、野党はさらに追及

グレイ氏の報告書が公表されて以来、閣僚らはジョンソン氏を擁護するために結束している。ジョンソン氏の辞任を求める声を支持しない議員もいる。

アンソニー・ブラウン議員はBBCに対し、パーティーの真相は「非常に痛々しい」ものだったが、ジョンソン首相はパンデミックとウクライナ戦争について「大事な対策を正しくとった」と語った。

こうした中、最大野党・労働党は、首相官邸に隣接するダウニング街11番地で起きた、ルール違反の可能性のある出来事について、ジョンソン氏の妻のキャリー氏が送ったテキストメッセージの公開を求めている。

英日曜紙サンデー・タイムズは、2020年6月19日の首相の56歳の誕生日に、夫妻が住む11番地での集まりをキャリー氏が企画した証拠があると報じている。

グレイ氏の報告書にはこの集まりについての記述はない。キャリー氏については、同じ日に閣議室で行われた首相の誕生日パーティーに関連して、1度言及されているのみだった。


<解説> アレックス・フォーサイス政治担当編集委員

ジェレミー・ライト議員の長い声明は、明らかにスー・グレイ氏の報告書に対するとっさの反応ではない。

2000語におよぶ声明は、首相に辞任を求める以前に、自分の立場をよく考えたことを明らかにしようと苦労しているように見える。

ライト議員は、首相がパーティーをめぐって意図的に議会を欺いたと結論づけるには、まだ十分な証拠がないと言う。この件はおそらく、多くの党員から見て、首相が直面している最も深刻な疑惑の一つだ。

しかしライト氏は、この一連の騒動が政府の評判を落とし、国家の課題への対応に支障をきたす可能性があると指摘している。

結局のところ、それが首相にとって最も危険なことかもしれない。

首相官邸は、人々がパーティー問題のさまざまな問題から「前に進む」ことを望んでいるかもしれない。しかし、与党議員の多くが、この件が政府の信頼性に永続的な損害を与えたと結論づけるなら、ジョンソン氏の退陣を求める声はすぐに止むことはないだろう。


(英語記事 Former attorney general calls for PM to resign

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61642239

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