2022年7月1日(金)

BBC News

2022年6月2日

»著者プロフィール

アメリカは1日、ウクライナに新たに7億ドル(約900億円)の軍事支援を行うと発表した。ロシア側は、アメリカがウクライナでの戦争を長引かせようとしていると非難した。

アメリカのコリン・H・カール国防次官は、ウクライナに新たに提供される兵器パッケージについて、M142高機動ロケット砲システム(HIMARS)4基が含まれると説明。

「これらは射程距離を伸ばした精密誘導システムだ。前線にいるウクライナ軍のプレッシャーをいくらか軽減するため、価値の高い標的を狙うにはこれらのシステムが非常に有用だと考えている」と述べた。

この長距離ミサイルは、ウクライナ軍がより遠くから正確に敵軍を攻撃できるようにするためのもの。

HIMARSは70キロ先にある目標に複数の精密誘導ミサイルを発射することができる。この射程距離は、ウクライナ軍が現在保持している大砲よりもはるかに長い。また、ロシア側の同等の兵器よりも精度が高いと考えられている。

ジョー・バイデン米大統領は、軍事支援はロシアに対するウクライナ政府の交渉上の立場を強化し、外交的解決の可能性を高めると述べた。

アメリカはこれまで、ロシア国内の標的に対して使用されることへの懸念から、この兵器の供与に乗り気ではなかった。しかしアメリカによると、ウクライナ政府はそのようなことは起こらないと保証しているという。

2月の侵攻開始以降、アメリカが承認したウクライナへの軍事支援は11回目となる。HIMARSのほかにヘリコプターや対戦車兵器、戦術車両、予備部品なども供与される予定。

ロシア、アメリカが「意図的に火に油を注いでいる」

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、アメリカがミサイルを提供し「意図的に火に油を注いでいる」と述べた。

「このような供給は、ウクライナの指導部が和平交渉を再開する意欲を持つことには寄与しない」

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、バイデン氏の発表について、「第三国」が紛争に巻き込まれる可能性を増大させると述べた。

一方、ドイツ政府もウクライナ側に防空システムを供与すると約束した。

オラフ・ショルツ首相は、同国が保有する最も近代的な防空システムIRIS-Tが、ウクライナの街全体をロシアの空爆から守ることができるだろうと述べた。

<関連記事>

ロシア国内への攻撃には「使用しない」

ホワイトハウス関係者は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領から、HIMARSがロシア国内の標的への攻撃には使用されないとの保証を得た後に、武器供与に合意したとしている。

バイデン氏は、「我々はロシアを攻撃できるロケットシステムをウクライナに送るつもりはない」とした。

ゼレンスキー氏は米ネットワークNewsmaxのインタビューで、ロシア国内への攻撃に使用されることはないと認めた。

「我々はロシア国内で起きていることに興味はない」、「興味があるのはウクライナの自国の領土だけだ」とゼレンスキー氏は述べた。

しかし、ロシアのペスコフ報道官は、ロシア政府はゼレンスキー氏の発言を信用していないと述べた。

「信用するには、ウクライナ政府が約束を果たしたという経験が必要だが、そのような経験はない」とペスコフ氏が述べたと、ロシア国営RIA通信は伝えた。

ペスコフ氏は、「我々は、アメリカが直接かつ意図的に火に油を注いでいると考えている。(中略)アメリカは間違いなく、ウクライナ人が最後の1人になるまでロシアと戦うという立場を譲らずにいる」と述べた。


化学工場への攻撃は「狂気」

こうした中、ウクライナ東部ルハンスク州セヴェロドネツク周辺では戦闘が激化している。同市によると、ウクライナ軍は街のわずか20%を保持している状況という。

ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が集中砲撃を行う際に市内の化学工場を標的にしたとして、ロシアの「狂気」を非難した。

ルハンスク州のセルヒィ・ハイダイ州知事によると、工場へのミサイル攻撃などから市民が避難している。

西側当局は、ロシア軍がセヴェロドネツクで「少しずつだがかなり着実に前進している」と指摘している。

(英語記事 Long-range US rockets add fuel to fire of war - Russia

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61658360

関連記事

新着記事

»もっと見る