
英ロンドンで2日、エリザベス女王の在位70年「プラチナ・ジュビリー」を祝うパレードが行われた。女王は王族と共にバッキンガム宮殿のバルコニーに登場。陸軍王室師団のパレードと空軍の儀礼飛行を観覧し、宮殿前に集まった大勢の人に手を振った。
女王はこの日の夜、全国で3000個以上のかがり火がともされるイベントにも参加。ウィンザー城に設置された大きなかがり火をともした。
しかしバッキンガム宮殿はその後、女王がパレード観覧で体調を崩したため、3日に行われるセント・ポール大聖堂でのミサには参列しないと発表した。参列に「必要な移動と活動」を考慮した結果、「非常に不本意ながら」決定したとしている。
バッキンガム宮殿は、女王が「今日という日をこんなにも思い出深くしてくれた全ての人に感謝します」と述べたと付け加えた。
96歳のエリザベス女王は歩行に困難があり、最近は公の行事を欠席することも多い。
イギリスでは2~6日の4日間にわたり、プラチナ・ジュビリーを祝う公式行事やイベントが予定されている。4日にはエプソムダウンズ競馬場でダービーが開催されるが、女王が参加するかは明らかになっていない。
プラチナ・ジュビリーを迎え、エリザベス女王はイギリスで最も在位期間の長い君主となった。
2日には祝賀パレード「トゥルーピング・ザ・カラー」を一目見ようと、バッキンガム宮殿前の大通り「ザ・マル」に数千人の観客が詰めかけた。パレードには陸軍王室師団から1500人以上の高官・兵士と350頭の馬が参加した。
女王は、17人の王族と共にバルコニーに登場し、息子のチャールズ皇太子や4歳のひ孫ルイ王子と楽しそうに会話する場面も見られた。
王立空軍の儀礼飛行が始まると、ルイ王子が耳をふさいで目をぎゅっと閉じる姿がカメラに映り、笑いを誘っていた。
ウィンザー城で行われたかがり火の点灯式では、女王が象徴的な地球儀に触れ、セレモニーが始まった。
女王が地球儀に点灯すると、ウィンザー城の自宅からバッキンガム宮殿まで光の鎖が送られた。バッキンガム宮殿前では、女王の孫のケンブリッジ公爵ウィリアム王子が、「Tree of Trees(木の中の木)」と名付けられた彫刻が光に包まれるのを見守った。
かがり火は、イギリスとイギリス連邦各地でも灯された。
感謝のミサ、女王は欠席へ
3日のセント・ポール大聖堂でのミサは、女王在位70年の感謝をささげるために行われる。
エリザベス女王が欠席するため、王位継承者のチャールズ皇太子が正式な代理人として参列する。皇太子の妻のコーンウォール公爵夫人カミラさん、ウィリアム王子、ウィリアム王子の妻ケイト妃も参加する。
女王の孫のサセックス公爵ハリー王子と妻のメガン妃も参加する予定。2人は2020年3月に公務を引退し、現在はアメリカに住んでいる。夫妻が共に英王室の行事に参加するのは2年ぶりとなる。
一方、女王の第3子のアンドリュー王子は、新型コロナウイルスの検査で陽性が発覚したため、ミサには参加しないと発表された。
ミサには閣僚や政治家に加え、受勲者400人が参加する。これには国民保健サービス(NHS)の職員や公務員、慈善団体の代表、軍人などが含まれる。
ミサの後には、同聖堂にあるイギリス最大の鐘「グレート・ポール」が4時間にわたって鳴らされる予定。
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ハリー王子とメガン妃はひっそりと参加
ハリー王子とメガン妃は2日、ひっそりと行事に参加していた。2人は他の王族と共にバルコニーに登場せず、バッキンガム宮殿近くのホーズ・ガーズ・パレードから、チャールズ皇太子による観兵式などを観覧した。
BBCのショーン・コフラン王室担当編集委員は、夫妻が目立っていると批判されることを慎重に避けているようだったと指摘。一方で、それがバッキンガム宮殿が最も望んでいたことだろうとも、編集委員は述べた。
サセックス公爵夫妻は良い意味でも悪い意味でも世間の注目を集めてしまい、プラチナ・ジュビリーそのものへの関心が薄れてしまう恐れがあるためだという。
しかし、夫妻は3日のミサには出席する予定で、週末には女王とプライベートな集まりがあるともみられている。
4日は夫妻の第2子リリベットちゃんの1歳の誕生日でもあるため、家族の集まりがある可能性は高い。リリベットという名前は、エリザベス女王の家族内のあだ名から付けられた。
(英語記事 Queen pulls out of Jubilee thanksgiving service/Crowds cheer Queen at palace as Jubilee begins