
カナダ政府はこのほど、アジアで活動する同国軍用機が繰り返し、中国軍機の危険な接近に見舞われていると発表した。北朝鮮に近い国際空域を飛行中、カナダ軍の操縦士が衝突を避けるために針路を変更せざるを得なかったという。
中国機の接近を受けたのは、カナダ軍の海上哨戒機CP-140「オーロラ」。日本の嘉手納基地を拠点に、4月26日から5月26日まで作戦に従事していた。
カナダ政府は、中国機の行動はプロ意識に欠けたもので、危険な事態につながり得るものだと述べた。
中国政府はこの出来事についてコメントしていない。カナダは、外交ルートを通じて中国側に懸念を伝えたとしている。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、この状況を「非常に深刻にとらえている」と述べた。
また、「中国があえてこのような行動に出たこと自体が、非常に問題だ」と語ったと、ロイター通信が伝えた。
カナダ軍のメディア主任ダン・ル=ブティリエ氏は声明で、一連の出来事は、国連の対北朝鮮制裁にカナダが貢献する「NEON作戦」中に発生したと説明。
「接近時、人民解放軍空軍の航空機は国際的な航空安全規範に従わなかった。プロ意識に欠け、カナダ空軍の退院を危険にさらす行為だ」と述べた。
また、カナダ軍機の操縦士は「大きな危険を感じ」、衝突を避けるため針路を急きょ変更せざるを得なかったという。
中国機は機内の操縦士を「非常にはっきり目視できる」距離まで接近してきたと報じられている。
ル=ブティリエ氏は接近のあった日付は明らかにしなかったが、その頻度は増えていると指摘した。
BBCはこの件について中国政府にコメントを求めている。
中国軍による同様の事例は、これまでにも太平洋で活動するアメリカやカナダ、同盟国などの航空機や船舶から報告されている。
2017年には、中国機がアメリカ機に45メートルまで接近。アメリカ空軍は「プロ意識に欠ける」行為だと述べていた。
2019年にも、中国の戦闘機2機が、カナダの軍艦に300メートルまで接近する出来事があった。
中国の国営紙はこの出来事について、中国の空軍と海軍によるカナダ軍への「温かい歓迎」だったと報じた。