2022年6月25日(土)

BBC News

2022年6月7日

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クリス・メイソン政治編集長、BBCニュース

ボリス・ジョンソン英首相は6日夜、与党・保守党で行われた党首に対する信任投票に勝利した。議員の58.8%が信任に賛成したため、党首および首相としての留任が決まった。一方で、41.2%の与党議員が不信任に投票しており、今後の党内対立や政権運営の行方が注目される。

政治における第1のルールは、数え方を覚えることだ。数字の上では、ボリス・ジョンソン首相は勝者だ。

しかし、数字だけでは全体像が分からないというのが政治の第2のルールだ。勝利を収める同時に、権威を失うということもある。

歴史が教えてくれることもある。サー・ジョン・メイヤーは1995年に、テリーザ・メイ氏は2018年に、それぞれ信任投票で勝利した。信任票を投じた議員も、今回のジョンソン首相より多かった。

しかしサー・ジョンは2年後の総選挙で敗北。メイ氏は投票から6カ月後に首相を辞任した。

もちろん違いもある。ジョンソン氏についてはまず、前回の総選挙で過半数を獲得したことが挙げられる。

それでも、与党の4割の議員が、ジョンソン氏がいない方が国のためになると考えている事態は、同氏が問題を抱えていることをシンプルに示している。

反対票を投じた148人という数字は、ジョンソン氏の首にしばらくまとわりつくだろう。もしかしたら在任期間ずっと。ジョンソン氏の支持者も批判者も、このことを理解している。

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ここで、私が保守党のさまざまな層と交わした個人的なメッセージの一部をお見せしよう。そこには、ジョンソン首相に対するさまざまな見通しが語られている。

その前に、皆さんはもしかしたら、なぜ記者は情報源の身元を明かせないのかと疑問に思っているかもしれない。

これはちょうど、皆さんが自分の家族や友人、同僚について他の人に話しつつ、それを本人たちには知られたくない場合があるのと、同じだと思われる。ジャーナリズムの慣習としての「オフレコ」は、そうしたアプローチを職業的な文脈に落とし込んだものだ。「オフレコ」にすることで、より率直な話が聞けるようになる。

「首相は切り抜けられる」

ある閣僚はメッセージで、信任票と不信任票の開きは「十分にあった」と考えていると述べた一方、148人の反体制派議員に「相応の敬意」を示す必要があると語った。

「テリーザ・メイ氏やジョン・メイヤー氏の時とは違い、ジョンソン氏はここからの回復において、通常のルールをすべて無視することができる。物事がジョンソン氏のやり方で進むなら、この事態を切り抜けるだろう」

決定的な勝利という世間の修辞を排した、冷静な頭で考えた結果だ。

別の閣僚は、保守党とその党首にとってさらなるリスクとなる、いわゆる「内戦」と呼ぶ事態が起こる可能性を指摘している。

ジョンソン氏の運命を決める小競り合いの中にも、その一端があった。

元文化相のジェレミー・ハント議員が、首相の失態だと思う出来事について率直に指摘したところ、現職のナディーン・ドリス文化相が殴りかかるような勢いで批判したのだ(これ以上マイルドかつ的確な説明はないだろう)。

ドリス文化相の介入は、一部の同僚を激怒させた。一方で、その率直さに戸惑いつつ、ドリス氏の心情に心から同意した人もいただろう。

「ゲームは終わりだ」

政治のもう1つのルールとして、指導力の問題が問われる時、 政党への悪意を公の場に垂れ流すような有害な論争が起こる可能性が急激に高まるというものがある。

では、反対票を投じた議員たちはどんな立場にあるのか?

そのうちの1人は私に対し、「内閣は今こそ指導力を発揮して、首相のゲームが終わったことを認識するべきだ」と話した。

これは興味深い要求だ。反対議員らが今回の事態をどれだけ深刻に受け止め、ジョンソン氏が敗者になったと確信しているかを示している。

ジョンソン首相には今週後半、住宅政策と長期政策に焦点を当てることで、事態のリセットを図ることを期待したい。

しかし、ジョンソン氏は党内の敵が敗北したのではなく、阻止されただけだと認識するだろう。

(英語記事 The PM will know his opponents are not defeated

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61714999

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