2022年7月1日(金)

BBC News

2022年6月8日

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世界銀行は7日、世界各国が景気後退に直面していると警告した。新型コロナウイルスの大流行ですでに大きく揺らいでいた経済に、ウクライナでの戦争が追い打ちをかけているとしている。

世銀はこの日、6月の世界経済見通しを発表した。デイヴィッド・マルパス総裁はその中で、高インフレと低成長が同時に起こる「スタグフレーション」の危険性が「かなり大きい」と警告。以下の見方を示した。

「世界のほとんどの国で投資が低迷しているため、低成長が10年は続く可能性が高い。多くの国ではインフレ率が過去数十年で最高水準にあり、供給増も緩やかと予想されるため、インフレ率がさらに長く高止まりする恐れがある」

世界各地でこのところ、エネルギーと食料の価格が上昇している。

マルパス氏は、「ウクライナでの戦争、中国でのロックダウン、サプライチェーンの混乱、スタグフレーションのリスクが、成長に打撃を与えている。多くの国にとって、景気後退は避けられないだろう」とした。

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マルパス氏によると、世界の成長率は2021~2024年に2.7%ポイント低下すると予測されている。これは、1976~1979年の直近の世界的スタグフレーションでみられた低下の2倍以上だという。

東アジアなどで「大規模な不況」

今回の経済見通しは、ヨーロッパと東アジアの開発途上国で「大規模な景気後退」が生じるとした。

また、ヨーロッパで今年最も経済生産高が急落する可能性が高いのは、ウクライナとロシアだと予測した。

ただ、戦争と新型ウイルスの影響は、さらに広い範囲に及ぶと警告した。

マルパス氏は、「世界的な景気後退が回避されたとしても、スタグフレーションの痛みは数年間続く可能性がある」と指摘した。

経済見通しはさらに、1970年代末のインフレ抑制のための金利上昇が急激だったことが、1982年の世界同時不況と、新興市場や発展途上国での一連の金融危機を引き起こしたと警告した。

しかし1970年代は、ドルが現在より安く、石油は相対的に高価だった。


<分析> ダーシニ・デイヴィッド国際通商担当編集委員

ロシアによるウクライナ侵攻から100日以上が経過した。震源地から何千キロも離れた国や家庭を襲っている衝撃の大きさが、今まさに明らかになってきている。

開発途上国は以前から、経済の立て直しに苦労していた。各世帯の一般的な収入は、パンデミック前の20ドルにつき現在は19ドルまで減っている。

食料とエネルギー価格の高騰は、生活を一段と悪化させ、最も弱い立場の人々を悲惨で苦しい状況へと追いやる。

貧しい国だけの話ではない。ある調査によると、イギリスの全世帯の6分の1が、食料を支援するフードバンクを利用している。

このような世界的な苦境は、インフレ緩和のための金利上昇によってさらに悪化する恐れがある。パンデミックの影響緩和のための政府支援が消滅に向かっている時期に、ちょうど重なるかもしれない。

世界銀行は、債務救済や、食料輸出における制限の非設定など、各国に早急な対応を求めている。政策立案者らに対し、食料とエネルギーの供給を保護し、不安定な市場を安定させ、価格高騰を緩和するために、一致して行動するよう求めている。

各国の政策立案者は、すでに極めて厳しい闘いに取り組んできた。

しかし世銀は、いま何もしなければ、さらに長く痛みも大きい危機が訪れるかもしれないと示唆している。

現在の苦難は、単に不幸や社会不安を意味するだけではない。何年にもわたって人々の生活を苦しめる恐れがある。


(英語記事 World Bank warns of recession risk due to Ukraine war

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61727950

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