2022年7月2日(土)

BBC News

2022年6月10日

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昨年1月6日の米連邦議会襲撃事件を調査してきた米下院特別委員会の公聴会が9日夜に行われ、アメリカのゴールデンタイムに生中継された。その中で委員会は、議会襲撃は「クーデター未遂」で、ドナルド・トランプ前大統領が扇動したものだと非難し、これまでに集めた複数の証言を紹介した。

1月6日特別委員会の委員長を務めるベニー・トンプソン下院議員(民主党)は冒頭で、議会襲撃は「選挙結果を覆そうとする多岐にわたる陰謀」による「クーデター未遂」だったと非難し、「その陰謀の中心にはドナルド・トランプがいた。究極的に、合衆国大統領のドナルド・トランプが、憲法に敵対する国内の暴徒を扇動し、連邦議会へ向けて行進させ、アメリカの民主主義を覆そうとした」のだと述べた。

トンプソン委員長はさらに、議会襲撃につながったのと同じイデオロギーが今なおアメリカを脅かしていると指摘した。

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トランプ氏が率いた共和党で同氏を強く非難する数少ない議員のリズ・チェイニー下院議員は、1月6日調査委の副委員長として出席。委員会のこれまでの調査で、トランプ氏が大統領選の結果を覆すための大がかりな計画を策定していたことが分かったと述べた。

「トランプ大統領が暴徒を呼び寄せ、集合させ、この攻撃の炎に火をつけた」とチェイニー議員は批判し、「この議事堂を襲撃し、何時間にもわたり警官たちと戦った者たちは、トランプ大統領から聞いた内容を自分たちの動機としていた。つまり、選挙が盗まれた、自分こそが正統な大統領だという、トランプ氏の言い分をよりどころにしていた」と述べた。

さらにチェイニー氏は、トランプ氏が大統領の座にとどまるため、いかに政府や共和党内の助言を聞き入れず、2020年大統領選が不正だったと主張し続け、白人至上主義団体などを扇動したかが明らかになったとして、今後の公聴会でその証拠を国民に示していくと述べた。

下院特別委は、2020年大統領選の投票結果を連邦議会が認定する両院合同会議中に、トランプ大統領(当時)の支持者たちが議事堂に乱入した事件について、昨年7月から調査を開始。9日を皮切りに今月中にゴールデンタイムに公聴会を複数回開き、最後の公聴会を9月に開く予定。その直後の11月には連邦議会の中間選挙や各地の知事選などが行われる。

側近や家族の証言紹介

この日の公聴会では、約1年にわたり委員会が行ってきた関係者の聞き取り映像などが紹介され、トランプ氏の家族や側近の証言映像も流れた。

その映像の一つで、大統領選後の2020年12月に退任したビル・バー司法長官(当時)は、選挙が「盗まれた」と繰り返すトランプ氏の主張はまったくでたらめだと本人に「はっきり」伝えたと証言。「具体的な証拠がないまま、選挙は不正だったと現政権が信じるからと言って、その政権が権力を握り続けるような世界に、生きることはできない」と、バー氏は委員会に話していた

同様に紹介された証言映像では、トランプ氏の娘イヴァンカ氏も委員会に対して、自分の父親の陰謀論をバー氏が拒絶したことを「受け入れている」と発言している。


チェイニー議員は、暴動が始まり政権関係者が繰り返しトランプ氏に、暴徒に対して議事堂を出るよう呼びかけるよう懇願したものの、トランプ氏はこれに強く反論し、なかなか応じようとしなかったという複数の証言を得ていると紹介。選挙結果の認定を進めたマイク・ペンス副大統領について、暴徒が殺害しようと叫んでいたことについても、トランプ氏が「それがふさわしい」と発言したという側近の証言も得ていると述べた。

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チェイニー議員はさらに、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長の証言映像も紹介。その中でミリー将軍は、暴徒鎮圧に軍や州兵を派遣し、司法省と連携するよう強く明確な指示を出したのはペンス副大統領で、トランプ大統領や側近ではなかったと述べている。

「この私を裏切り者と……」 負傷警官が証言

公聴会は、襲撃当日の約10分間の動画を紹介。中には初めて公表される映像も含まれていた。

さらに公聴会では、暴徒が議事堂に乱入した際に負傷した議会警察のキャロライン・エドワーズ警官が証言。議会と議員たちを守ることを職務としてきた自分を、暴徒たちが「裏切者」や「犬」と罵倒し、自分が守っていたフェンスを押し倒した様子を話した。フェンスの下敷きになったエドワーズ警官は、意識を失い負傷した。

警官は現場の様子について、自分は床に飛び散った大勢の血に滑りそうになっていたと話し、「まるで戦場」で、「白兵戦のようだった」と述べた。

「まさか自分が、警察官として、戦闘のただなかに巻き込まれるなど、考えたこともなかった」とエドワーズ氏は述べたほか、「顔面蒼白(がんめんそうはく)」のブライアン・シックニック警官とも現場で顔を合わせたと話した。シックニック警官は襲撃の翌日、脳梗塞のため亡くなった。

襲撃当日には、議事堂内に侵入しようとした女性が議会警察に射殺されたほか、3人が心臓発作などで死亡した。100人以上の警官が負傷し、警官4人が後日、自殺した。

共和党は「煙幕」と批判

この日のゴールデンタイムの公聴会は、アメリカの主要テレビ各局が生中継したが、保守派FOXニュースは中継しなかった。FOXは代わりに、人気のタッカー・カールソン司会者の番組を放送し、司会者は議会襲撃は民主党が言うような「反乱」などではなかったと反論した。

トランプ氏はこの日の公聴会が始まる前に、「政治的なでっちあげ」だと批判した。トランプ氏は2024年の大統領選に出馬する可能性を、繰り返し示唆している。

野党・共和党は、ゴールデンタイムに公聴会を連続して開くことを、中間選挙へ向けた民主党の作戦だと批判。ケヴィン・マカーシー下院院内総務は、民主党による「煙幕」だと述べている。

厳しいインフレや石油価格の高騰が続き、赤ちゃん用粉ミルクの不足に見舞われるアメリカでは、ジョー・バイデン大統領の支持率が急落。就任から同時期のトランプ氏の支持率を下回っている。このため11月の中間選挙では、上下両院で民主党が多数党の地位を失う可能性もある。

(英語記事 Capitol riot hearing: Trump accused of 'attempted coup' / Capitol riot committee prime time hearing live

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61754773

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