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BBC News

2022年6月12日

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ロシアの占領下にあるウクライナ南部ヘルソンとメリトポリで11日、地元住民へのロシアのパスポートの配布が始まった。両市のロシア当局が発表した。ウクライナは、ロシアがウクライナ領内でロシア市民を作り、「ロシア化」を進めていると非難している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はこうした手続きを簡素化して推進している。

ロシア国営タス通信によると、ヘルソンで11日に式典が行われ、第一弾としてまず住民23人がロシアのパスポートを手にした。数千人がパスポートの申請をしているとタス通信は伝えているが、これが事実かどうかは検証できていない。

ロシアがヘルソン州の知事に任命したヘルソン元市長のウォロディミル・サルド氏は、「ヘルソンの同志全員が、できるだけ早く(ロシアの)パスポートと市民権を得たいと思っている」と述べた。

ウクライナ側はこの動きについて、同国の領土一体性に対する「はなはだしい違反」だと非難。プーチン氏の大統領令は「法的に無効」だとした。

ロシアは2014年以降に占領したウクライナ南部クリミア半島と東部ドンバスの一部地域の住民に対しても、パスポートを配布してきた。

一方的なクリミア半島併合や、ドンバスでロシアの後ろ盾を受ける分離主義者が支配する地域を「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」として独立国家と承認したことをめぐり、ロシアは国際的批判を浴びている。

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クリミア併合と同様の動きか

ウクライナは現在、2月からの侵攻でロシア軍に占領された他の地域でも、同様の「ロシア化」が進行しているのではないかと懸念している。地元住民がロシア国籍を取得すれば、ロシア政府は彼らの「保護」が必要だと主張できるようになる。

ヘルソンでは、ロシア側からウクライナ通貨フリヴニャの代わりにロシアのルーブルを使用するよう命じられた市民が、この命令に逆らったとの報告もある。

メリトポリがあるザポリッジャ州は、欧州最大のザポリッジャ原発を含むほとんどの地域がロシアの占領下にある。

ロシアが支配するクリミアやドンバスの一部地域でも通貨にルーブルが導入され、学校はロシアのカリキュラムの採用を強いられている。

また、ウクライナ政府が選んだ地元の役人も追放されてきた。新たに占領した地域でもそのような動きが繰り返されている。

東部ルハンスク州セヴェロドネツクでは激戦が続いている。同州のセルヒイ・ハイダイ知事(ウクライナ政府が任命)によると、巨大なアゾット化学工場を含む工業地帯は依然としてウクライナ軍の支配下にある。

そのほかの動き

ロシア軍の激しい砲撃に対抗するウクライナ軍について、砲弾不足に陥りつつあると、南部ミコライウ州のヴィタリー・キム知事は述べた。ロシア軍の方がはるかに強力なためだとして、ウクライナへの長距離砲や弾薬の提供スピードを急ぐよう、知事は西側諸国に求めた。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はウクライナの首都キーウでウォロディミル・ゼレンスキー大統領と2度目の会談を行い、ウクライナの欧州連合(EU)加盟申請について協議した。

委員長はゼレンスキー氏に対し、「法治主義を強化するため、大統領は多くの対策を実行してきた。しかし、例えば汚職と戦う改革の実施など、やらなければならないことはまだ残っている」と述べた。EUは来週、ウクライナのEU加盟に向けた長いプロセスで次の段階になる、「加盟候補国」の地位をウクライナに与えるべきかどうか、判断することになると委員長は述べた。

イギリスの複数の軍事アナリストは、ロシアが使用している地対艦ミサイルの精度は非常に低いと指摘している。ロシアはすでに、精密な巡航ミサイルなどハイテク兵器を大量に使用したため、精度の高い武器が不足しているからだとみられる。

(英語記事 Russia hands out passports in occupied cities

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61773513

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