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BBC News

2022年6月13日

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アメリカの議会上院の超党派グループが12日、銃をめぐる安全対策の強化に関する法案の骨子に合意した。国内で銃乱射事件が相次いでいることを受けたもの。

法案には、21歳未満の銃購入者に対する身元調査の厳格化や、銃の違法購入の取り締まり強化などが含まれる。

共和党の10人が賛成しているため、法案は成立に必要な数の賛成票が得られる見通し。

ジョー・バイデン大統領はこの法案について、自分が求める規制強化にはほど遠いものの、「正しい方向への一歩」だと述べた。

米議会ではこれまで、銃規制強化の取り組み実現に必要な賛成票が得られたことはない。

「私たちの責務」

アメリカでは、多数の死傷者を出した銃乱射事件が2件続いたことを受け、各地で11日、数万人が抗議集会を開き、銃規制の強化を訴えた

上院の超党派グループは12日、「私たちは今日、アメリカの子どもたちを守り、学校を安全に保ち、国中の暴力の脅威を減らすため、常識的な超党派の法案を発表する」と、声明で説明した。

「家族がおびえている。団結し、地域社会の安全と安心感の回復のために何かをすることが、私たちの責務だ」と、議員団は述べた。

法案をまとめた上院議員らは、メンタルヘルスケアや学校の安全強化の資金を増やすよう要求。銃器購入者の全国身元調査データベースに、家庭内暴力の前科や接近禁止命令の記録も含めることも求めている。

大統領と両党の反応

バイデン氏はこの法案について、議会での速やかな通過を議員らに強く求めた。一方で、自分が望む規制のレベルには達していないことも明確にした。

バイデン氏はこれまで、殺傷力の高いアサルトライフルの禁止など、はるかに大規模な改革を求めてきた。アサルトライフルは、テキサス州ユヴァルディニューヨーク州バッファローの銃乱射事件でも使われた。

バイデン氏は、「明らかに、私が必要だと思うすべてではないが、正しい方向への重要な一歩を反映している。ここ数十年で議会を通過する、最も重要な銃の安全に関する法案になるだろう」と声明を出した

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与党・民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、この計画を「よい最初の一歩」だと評価。法案の詳細が固まり次第、速やかに上院投票を実施したいと語った。

野党・共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は、今回の対応が「対話と協力の大事さ」を示していると述べた。

各種団体から賛否

今回の動きは、銃規制活動家の一部も歓迎している。

2018年にフロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件の生存者で、銃暴力の防止に取り組む学生主導の運動「March for Our Lives」を始めたデイヴィッド・ホッグ氏は、「これは最初の一歩で、実際、私が想定していたよりはずっと内容がある。小さいながらも前進だ」とツイートした。

銃規制擁護団体「お母さんたちは行動を求める」は、「私たちの草の根の部隊は、法制化されるまでどこまでも闘う準備ができている。銃の安全対策に連邦が26年もかけているのは受け入れられない」とツイートした

2011年にアリゾナ州トゥーソンで有権者との対話集会中に頭部を撃たれ、重傷を負ったガブリエル・ギフォーズ元下院議員(民主党)は、「重要な一歩前進」だとして、「連邦議会がここ30年で初めて、銃の安全対策で大々的な行動をとることになるかもしれない」とツイート。現在は銃規制活動に精力的に取り組むギフォーズ氏は、「今回の合意は完璧ではないし、これから様々な詳細を検討し、さらに行動が必要だが、法案を慎重に作成して法律にすれば、この枠組みは人の命を救う前進になる」と書いた

一方、銃所持の権利を強く主張する全米ライフル協会(NRA)は、法案の全文が公表されたら対応すると表明。「銃規制の政策、憲法が定める適正手続きの保護を覆す取り組み、法を守る市民から自らや愛する人を守る基本的権利を奪おうとする取り組みを、この法律やその他のあらゆる法律に盛り込もうとするあらゆる動きに反対し続ける」とした。


連邦法として唯一の望み


米議会ではこれまで、民主党が銃規制の強化に動いてきたが、共和党がこれを阻んできた。今回の法案は、銃規制関連としてはここ数十年で初めて、超党派の支持を得た。

上院は現在、民主党と共和党で50議席ずつに割れている。フィリバスターと呼ばれる議事妨害があっても成立するには、法案は60票の賛成が必要だ。

今回の法案を提出した上院議員20人のうち10人は共和党員。つまり、この法案は必要な票数を確保したことになる。

民主党が多数を占める米下院は8日、21歳未満への半自動小銃の販売や、大容量弾倉を禁止する法案を可決した。

しかし、共和党では銃規制強化への反対が根強く、上院でこれが可決される見通しはきわめて低い。そのため、12日に合意された超党派の法案が、銃暴力をめぐる連邦政府の対策として、唯一の現実的な望みとなっている。

(英語記事 Senate moves towards limited gun control measures / US gun control: Cautious welcome to bipartisan deal on new safety measures

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61780302

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