
ポール・カービー、BBCニュース
ロシアは14日、イギリスを拠点とする有名ジャーナリストや国防関係者らを入国禁止にすると発表した。ロシアの公人に対するイギリスの制裁措置に対抗した。
入国禁止者のリストには、ウクライナから報道してきたBBCのクライヴ・マイリー、オーラ・ゲリン、ニック・ロビンソン、ニック・ビークの各記者と、ティム・デイヴィー会長の名前が挙がっている。
BBCの広報担当者は、「今後も独立した公正な報道を続けていく」と話した。
英放送局のスカイテレビ、チャンネル4、ITV、英紙タイムズ、ガーディアンのジャーナリストらも入国禁止となった。
ロシアはすでに、英国会議員数百人の入国を禁じている。
ロシア外務省は、対象者リストの拡大作業を続けると発表した。同リストには現在、メディア関係者29人と「防衛複合体と関係のある」20人の名前が並んでいる。
同省は、「リスト内の英ジャーナリストらは、ロシアや、ウクライナとドンバスの出来事について、誤った一方的な情報を意図的に広めることに関与している」と説明。「それぞれ偏った見方によって、イギリス社会においてロシア恐怖症をあおっている」とした。
ウクライナの状況を報告
BBCのゲリン記者は、最も最近では、ウクライナの都市リシチャンスクから報告。街の構造が意図的な焦土策によって破壊されていると伝えた。
マイリー記者は開戦時、ロシア軍がウクライナに侵攻する様子を首都キーウから生中継で報じたほか、4月にはキーウでウォロディミル・ゼレンスキー大統領をBBCとして単独インタビューした。
<マイリー記者によるインタビュー記事>
- 取材開始と同時に仏大統領から電話も ゼレンスキー氏単独インタビューの舞台裏
- ゼレンスキー氏、欧州が「他人の流血」でロシア原油購入と非難 BBC単独インタビュー
- ロシアはウクライナで戦術核を使わない=駐英ロシア大使
リストに名前のあるBBCの他のスタッフは、ポール・アダムス外交担当編集委員とリチャード・シャープ理事長。
同じくリストに名前が挙がったスカイニュースのスチュアート・ラムジー主任記者は、キーウ郊外で取材中、ロシアの待ち伏せ攻撃を受け負傷した。
他の有名ジャーナリストとしては、英紙タイムズのジョン・ウィザロー編集局長、テレグラフのクリス・エヴァンス記者、ガーディアンのキャサリン・ヴィナー記者、デイリー・メールのテッド・ヴェリティ記者などがリストに名を連ねている。
また、ガーディアンのショーン・ウォーカー、ルーク・ハーディング両記者、スカイニュースのソフィー・リッジ司会者、チャンネル4ニュースのキャシー・ニューマン司会者、デイリー・テレグラフのコン・コフリン記者、フィナンシャル・タイムズのギデオン・ラクマン記者、ロシア研究者のマーク・ガレオッティ氏もリストに挙がっている。
ウォーカー記者は、ロシアを急いで訪問するつもりはないとしたが、ロシアに10年以上住んだ者として、リストに載るのは「とても不思議で悲しい気持ち」だと述べた。
「外国工作員」として標的に
ロシアは独立系メディアを閉鎖しており、ウクライナでの戦争に関する「偽情報」の報道を犯罪行為としている。ロシア政府は今回の侵略を、戦争ではなく「特別軍事作戦」と呼んでいる。
ロシアはまた、気に入らないジャーナリストやその他の人物を「外国の工作員」だとして標的にしてきた。欧州人権裁判所は14日、これを可能にしている法律について、当該人物の権利を侵害しているとする判決を出した。
ジャーナリスト以外にも、英海軍や空軍の幹部、英防衛関連企業タレスUKやBAEシステムズの幹部などが今回の制裁リストに含まれている。