2022年6月28日(火)

BBC News

2022年6月16日

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フランシス・マオ、BBCニュース

香港がイギリスの植民地だったことは一度もない――。香港の学校で使われる新しい教科書にはそう記述されると、現地メディアが報じた。

新たな教科書は、香港でイギリスは「植民地支配を実施しただけ」だと明記する。この区別は、香港をめぐって中国の主権が途切れたことはないとする、同国の主張を強調している。

中国は一貫して、主権は放棄しなかったと主張している。香港をイギリスに渡したのは、1800年代のアヘン戦争における不当な条約のためだったとしている。

イギリスは1841~1941年と1945~1997年の2度にわたって香港を150年以上統治し、1997年に中国に返還した。

香港は水深の深い港をもち、活気あふれる都市国家と世界有数の金融センターへと成長した。イギリスは統治時代、香港を植民地や属領と呼んでいた。

現地メディアによると、新たな教科書は「植民地」と「植民地支配」の違いをわざわざ説明する。ある国が国外の領土を植民地と呼ぶには、その領土をめぐって主権と統治権をもつ必要があるとする。

香港の場合、イギリスは「植民地支配を実施しただけであり(中略)ゆえに香港はイギリスの植民地ではない」と、教科書は説明するという。

この教科書は、市民としての理想、合法性、愛国心に焦点を当てた特別科目のために作られた。

同科目は、広範な批判的思考能力と市民の役割に関する思想を教えてきた一般教養科目に代わるもの。

中国当局は、2019年に香港で大規模な民主化運動が起きた際に、この科目を直接的に批判。こうした教育が若者を「過激化」させ、誤った考えを植え付けていると主張した。

現地メディアによると、新たな教科書はまだ印刷されておらず、中国当局の最終承認を待っている。その内容は、2019年の大規模な民主化デモを安全保障上の脅威とした北京の見方を反映している。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、この抗議行動について、「国家主権、安全、利益を脅かす活動の中で、分離と政府の転覆を提唱した」とする抜粋を掲載した。

2019年の抗議行動は、暴力も発生したが、おおむね平和的だった。人権団体は、平和的なデモ参加者に対して警察が暴力や虐待をはたらいたと非難している。

香港の元民主派議員で、現在は亡命している李軒朗(ティモシー・リー)氏も、歴史の「書き換え」への懸念を表明。新たな教科書の見本では、2019年の抗議行動が「暴力的テロ活動」などとされているとツイートしている

https://twitter.com/TimothyLee_HK/status/1536260818710540290

返還後に何があったのか

1997年の香港の返還後、中国共産党の指導層は、香港を独自の統治・経済システムをもつ特別行政区に分類。市民らに、本土より多くの自由を認めた。

だが、2019年の大規模な抗議デモを受け、中国は香港市民の自由の弾圧に乗り出した。

2020年には香港国家安全維持法を成立させ、事実上、ほぼすべての政治批判を非合法化した。

(英語記事 New textbooks say Hong Kong wasn't British colony

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61821112

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