2022年7月4日(月)

BBC News

2022年6月20日

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フランスのエマニュエル・マクロン大統領が率いる与党連合が19日、フランス議会の過半数を失った。左派連合と極右連合が、共に大きく議席を増やした。中道派のマクロン氏は4月下旬に大統領として再選されたばかり。

フランスの議会下院にあたる国民議会(定数577)の選挙は先週の1回目の投票に続き、上位候補者による決選投票が19日に行われた。

マクロン大統領は有権者に安定多数の実現を呼びかけたものの、選挙の結果、中道派の与党連合は改選前の345議席から100議席減らして245議席となり、過半数を下回った。他方、大統領選挙でマクロン大統領と争ったマリーヌ・ル・ペン氏が率いる極右政党国民連合は89議席と、改選前の8議席から10倍以上に増えた。

投票率は46.23%にとどまった。

大統領の周辺では、ブリジット・ブルギニョン保健相が極左候補に56票差で敗れたほか、マクロン氏の盟友のリシャール・フェラン国民議会議長が左派連合候補に敗れた。

首相となって間もないエリザベット・ボルヌ氏はこの結果を受けて、前例のない状況だと話した。大統領府で長時間の協議を終えて首相官邸に戻ったボルヌ氏は、現代フランスの国民会議で議席がこのように割れるのは初めてだとして、「内外で直面するリスクをふまえると、この状況は国にとって危険だ」、「過半数をまとめるため、明日から作業に着手する」と述べた。

しかし、躍進した左派連合にも極右政党国民連合にも、中道連合と協力しようという様子はない。

ブリュノ・ル・メール経済相は、フランスは決して統治不能ではないと強調しつつ、それには多大な想像力が必要になると認めた。

急進左派「不屈のフランス」のジャン=リュック・メランション代表は、共産党や緑の党を含めた左派連合「NUPES(ニュープス、新人民連合環境・社会)」をまとめあげたことによる、選挙での成功を歓迎。支持者を前に、大統領の党は完敗した、自分たちはあらゆる可能性を手にしたと強調した。

大統領選でマクロン氏に敗れたル・ペン氏も、勝利を喜ぶ支持者を前に、「国民は意思を示をした」と結果を歓迎。少数派与党を率いることになったマクロン氏の「冒険はもう終わった」と述べた。

マクロン氏が過半数固めに協力を求めるかもしれない中道右派・共和党のクリスチャン・ジャコブ総裁も、選挙結果は大統領にとって「厳しい失敗」だと批判した。

憲法が専門のドミニク・ルソー教授は、「もう彼はユピテルではない」と指摘した。マクロン氏はかつて、その権力欲をからかわれ、ローマ神話の主神ユピテル(ジュピター)のあだ名がつけられた。

「マクロン氏は今後5年間、ひたすら交渉に次ぐ交渉と議会での譲歩に明け暮れることになる」と、ルソー教授はAFP通信に述べた。

政策への影響は

マクロン大統領は生活費上昇の問題に取り組むと公約してきたが、野党が主張する方法とは大きく異なる。マクロン氏は、福祉制度改革、増税、年金受給開始年齢の段階的な引き上げ(62歳から65歳へ)などを提唱してきたが、特に年金受給年齢の引き上げ実現は難しくなるとみられる。

マクロン氏はこのほか、温暖化対策のカーボンニュートラル(炭素中立)政策や、完全雇用の実現を掲げているほか、フランスの民主政治強化のため地域住民が参加する「新しい方法」での統治を提案している。

(英語記事 French elections: Macron loses majority as French vote fragments

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61861157

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