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BBC News

2022年7月14日

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5月に米テキサス州ユヴァルディ市のロッブ小学校で生徒19人と教師2人が死亡した銃撃事件について、犯行当時の監視カメラ映像が流出した。犯人が校内に侵入した瞬間に加え、警察が犯人と対峙(たいじ)するまで77分もかかった様子が映されており、犠牲者遺族が怒りをあらわにしている。

82分にわたる映像は、現地紙が公開した。警察はこの映像を遺族に見せるか公表する予定があるとしていたが、その数日前に流出した。

映像の内容だけでなく、映像が流出したことにも、怒りの声が上がっている。

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廊下に警官が集まるが

映像は、テキサス州当局がすでに発表している詳細の多くを裏付ける内容で、犯人がキャンパス近くで車を衝突させた瞬間から始まる。犯人は外で通行人に発砲してから校舎に入り、邪魔されずに廊下を歩いている。

その後、トイレから教室に戻る生徒の姿が映し出される。目の前で廊下を歩く銃撃犯を見つけた生徒は、固まって振り返り、逃げ出す。

子供たちの悲鳴は映像全体を通して編集されているが、犯人が発砲した複数回の銃声ははっきりと聞き取れる。最初の警察官が校内の廊下に到着したのは犯人が侵入してからわずか3分後だったが、建物の廊下に数人が集まっても、犯人が生徒共に立てこもっている教室に入ろうとする警官はいなかった。

また、武装した警官が銃撃のあった教室に近づいたものの、銃声が聞こえて後退する様子も映っている。

銃撃現場に備えた重装備で後から到着した警官も、犯人と対峙することをためらっているように見える。最終的には、銃撃が始まってから1時間半以上たってから警官らは教室に突入し、18歳の犯人を射殺した。

テキサス州の公安当局トップのスティーヴン・マックロー氏は6月、現場での対応を指揮したユヴァルディ学校警察のトップ、ピート・アレドンド氏は「無線とライフル、盾、特殊部隊(SWAT)を待った」と説明している。

アレドンド氏は先に、自らが現場指揮官だったとは考えていないとし、警官の突入を待つよう命じてもいないと、地元紙に語っている。同氏はその後、休職扱いとなり、現在は辞任している。

マックロー氏はまた、警察の対応について「ひどい失敗」だった、警官らは「必要の全くない」教室の鍵を探して貴重な時間を無駄にしたと述べた。


映像流出に遺族の反応様々

遺族の1人は首都ワシントンでの記者会見で、「この映像を流出させた人が(中略)犠牲者の両親や祖父母、兄弟、叔母や叔父たちと同じ思いをすることがないよう祈ります。恥を知りなさい」と述べた。

娘を殺されたグロリア・カザレスさんはフェイスブックに、「遺族が求めていることとは逆だ」として、人々に動画を拡散しないよう訴えた。

「私たちの心はまた粉々になってしまった!」

一方で、映像公開を支持している遺族もいる。ジェス・リゾさんは民放CBSの提携局Kens5に出演し、「映像が公開されるのは嬉しい。でも、事前に遺族が見ることができるまで待ってほしかった」と述べた。

夫のマニュエルさんは、ジェスさんと自分はまだ映像を見ておらず、「(映像を見たら)今よりももっと怒るかもしれない。それでも、自分たちがいま取り組んでいることに、引き続き集中しなくては」と話した。

この映像は、テキサス州議会の上院委員会が17日に遺族に最初に見せる予定だった。関係者は失望をあらわにしている。

ユヴァルディのドン・マクローリン市長は州議会での会合で、「私が見た中で最も卑怯な出来事だ」と語った。

「遺族は犯人が入ってくるのを見たり、銃声を聞いたりする必要はなかった。もう十分にひどい経験をしているのだから、そんなことを思い起こす必要はない」

一方、映像を公開したオースティンの地元紙アメリカン・ステイツマンは12日夕、「透明性と絶え間ない報道が変化をもたらす」として、公開の決定を擁護する社説を掲載した。

「我々の目標は、ユヴァルディの犠牲者の家族や友人たちが長らく求めてきた、ロッブ小学校で起こったことを明るみに出し続けることだ」と、同紙は説明した。

(英語記事 Families angry over leaked school shooting video

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62160825

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