
イギリス与党・保守党党首選の第4回投票が19日に行われ、リシ・スーナク前財務相が118票を得て、これまでの投票に続けて首位を維持した。2位はペニー・モーダント通商政策担当相(92票)、3位はリズ・トラス外相(86票)だった。この3人が次の投票に臨む。
ケミ・ベイドノック前レベリング・アップ(標準化)担当相は59票と得票を伸ばせず、党首選から敗退することになった。
党議員による投票は20日も行われ、決選投票に残る2人が決まる。決選投票には119票以上得れば進めるため、スーナク氏は最終候補に残る見込みだ。
モーダント氏は今回、10票を積み増した。一方のトラス氏は前回より15票多い票を集め、モーダント氏との差を縮めた。
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トラス氏支持を表明しているイアン・ダンカン・スミス議員は、今回の結果でトラス氏に「勢いがあること」が証明されたと発言。保守党議員の幅広い層から票を獲得したと述べた。
一方、モーダント氏を推すマリア・ミラー議員は、モーダント氏が党内の「新鮮な選択肢」となっていると説明。同氏陣営は今後、ベイドノック氏の支持者の獲得に注力すると話した。
決選投票は全国16万人の保守党員が郵便で投票する。自動的にイギリス首相になる新党首は9月5日に発表される。
ベイドノック氏は党首戦が始まった当初は党内でもあまり知られていない候補者だったが、投票が進む中で躍進した。ストレートな物言いと、近年、党内を二分している文化的な問題を重視する姿勢が支持を集め、注目を浴びるようになった。
ベイドノック氏の離脱を受け、残る3人の候補者は、4回目の投票で同氏を支持した59人の下院議員の票の獲得に奔走するとみられる。
そのうちの1人、ベン・ブラッドリー議員は、ベイドノック氏の支持者は「あらゆる方向」へ行くだろうと予測。ブラッドリー氏自身も次の投票先を決めていないと語った。
党首選のその他の動きは以下の通り。
- BBCは25日に、決選投票に進んだ2候補による討論会を生放送すると発表した
- モーダント氏は、地方自治体に課せられている住宅建築の目標値を撤廃すると発表。「貴重な未開発地域」から開発を遠ざけると述べた
- トラス氏は、新首相に選ばれた場合は2030年までに国防費を国内総生産(GDP)の3%に引き上げると公約した
19日には民放スカイニュースが討論番組を放送予定だったが、スーナク氏とトラス氏が出演を取りやめたため、番組がキャンセルされた。
その代わりに候補者らは、シンクタンクの「オンワード」と、イングランド北部を代表する保守党議員の団体「ノーザン・リサーチ・グループ」が主催する政見発表演説で、議員たちの支持を得ようとする見込みだ。