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BBC News

2022年7月20日

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アメリカの下院で19日、与党・民主党が提出した、同性婚の法的保護を加速させる法案が可決された。野党・共和党からも多くの議員が賛同した。

民主党は、保守派が多数を占める連邦最高裁が同性同士の結婚の権利を縮小させるのではないかと懸念している。一方、一部の共和党員はこの法案は策略だと批判している。

米最高裁は2015年にアメリカ全土で同性婚を合法化した。

しかし今年6月には長年の判例を覆し、人工妊娠中絶を受ける権利は憲法で保障されているものではないと判断。この中で、一部の保守派判事が同性婚を含む他の権利の見直しにも言及したことから、懸念の声があがっていた。

勢力がほぼ等しい上院で、この「Respect for Marriage Act(結婚尊重法)」の法案が可決されるかは不透明だ。

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下院ではこの日、共和党の院内総務が党議拘束をかけなかった。その結果、47人の共和党議員が同法案に賛成し、267対157で可決された。

一方、保守派にとって長らく、政治的な立場を問われることになってきたこの問題について、共和党議員の4分の3強は反対票を投じた。

反対派は今回の投票について、民主党が今年11月の中間選挙を前に、共和党の議員らの投票行動の記録を作ることを狙ったわなだと警告した。

共和党のケヴィン・マカーシー下院院内総務とスティーヴ・スカリス下院院内幹事は法案に反対した。一方、院内で同党ナンバー3のエリス・ステファニク議員やリズ・チェイニー議員は賛成した。

この法案では、人種の異なる者同士の結婚についても法的保護を与えるとしている。

民主党は、最高裁がアメリカで長年、女性の中絶権を合憲としてきた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆した後に、この法案を提出した。

保守派のクラレンス・トーマス判事は判決文の中で、中絶権の見直しに加えて今後は、避妊や同性婚などの合法性を認めた過去の判例を見直すべきだと書き添えた。

しかしサミュエル・アリート判事は、「この決定は中絶に関する憲法上の権利に関するもので、他の権利には及ばない」と明記した。

共和党議員らはまた、異人種間の結婚の権利が脅威にさらされているとする民主党の主張について、黒人のトーマス判事は白人女性と結婚しているとして、一蹴している。

民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、「これはMAGAの最高裁、右翼の過激派による最高裁だということを直視しよう」と話した。MAGAは「Make America Great Again(アメリカをまた偉大にしよう)」の頭文字をとった造語で、ドナルド・トランプ前大統領が2016年の大統領選で使ったスローガン。

シューマー氏は、「結婚尊重法」を上院で採決するとは約束しなかった。

民主党のバラク・オバマ元大統領は14年前、結婚とは男性と女性の結びつきであるとうたって大統領選を戦った。今回の採決は、かつてアメリカを深く分断した同性婚の問題について、同国がどれほど前進したかを浮き彫りにした。

調査会社ギャラップが6月に行った世論調査によると、アメリカの成人の70%が同性婚を支持しており、支持層が広がっていることがうかがえる。

(英語記事 Republicans help pass House gay marriage bill

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62235297

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