2022年8月18日(木)

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2022年7月24日

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ロバート・プラマー、BBCニュース

世界保健機関(WHO)は23日、サル痘の流行拡大について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」だと宣言した。

この分類は、WHOが出す警告の中で最も強い。世界的な感染者の急増を受けて決定された。

WHOはこの日、サル痘に関する2回目の緊急委員会を開催。会合の最後に宣言を出した。

これまでに75カ国から1万6000件以上の症例が報告されていると、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は説明した。

また、今回の流行による死者は今のところ5人だと述べた。

WHO緊急委は意見一致せず

この日宣言された緊急事態は、サル痘のほか、新型コロナウイルスの大流行と、ポリオ撲滅に向けた継続的な努力の2つにしか適用されていない。

テドロス氏は、サル痘の急激な流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に分類すべきかどうか、緊急委員会は統一した見解に至らなかったと明らかにした。

しかし、今回の流行は急速に世界中で広がっており、まさに国際的な懸念だと判断したと述べた。

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テドロス氏はまた、サル痘が広がった新たな感染経路については、ほとんど分かっていないと説明。

「WHOはサル痘のリスクについて、欧州地域では高いと判断しているが、それを除いて世界的にもすべての地域でも中程度だと評価している」と述べた。

「適切な戦略で食い止められる」

テドロス氏は、世界的にさらに広がる危険性は明らかにあるとした。ただ、国際的な移動に支障が及ぶ恐れは、今のところ低いと述べた。

そして今回の宣言について、ワクチンの開発と、感染拡大抑止策の実施を加速させるだろうとした。

WHOはまた、ウイルスの感染を食い止め、最も危険にさらされている人々を保護するための行動をとるよう、各国に勧告を出している。

テドロス氏は、「適切な集団に対し、適切な戦略を当てはめれば、食い止められる流行だ」と話した。

高リスク者にワクチン接種を奨励

サル痘は、1950年代に中央アフリカで初めて発見された。

イギリスでは、これまでに2000人以上の感染が確認されている。

保健当局はすでに、サル痘ウイルスにさらされるリスクが最も高い人々に、ワクチン接種を勧めている。一部の同性愛やバイセクシュアルの男性、医療従事者などが含まれる。

典型的な初期症状としては、高熱、リンパ節の腫れ、水痘に似た発疹や皮膚の損傷(最近の例では口や性器に多く見られる)などがある。感染の程度は通常、軽度とされる。

<分析> ジェイムズ・ギャラガー保健・科学担当編集委員

国際的な緊急事態の宣言は、重大な行為だ。

サル痘ウイルスについて、各国が真剣に受け止め、世界中の人々が意識を高め、貧しい国々が感染拡大抑制に必要なツールを手に入れられるよう、呼びかけるものだ。

原則的に、私たちはサル痘ウイルスを阻止する手段を持っている。サル痘は新型コロナウイルスほど簡単には広がらないし、十分な予防ができるワクチン(天然痘用に開発されたもの)もすでにある。

また、誰でも感染する可能性がある一方で、今回の流行は同性愛やバイセクシャルの男性など、男性とセックスする男性に圧倒的に集中している。

そのため、流行への対処は容易なものになり得る。たとえば、ワクチン接種や、公衆衛生に関する情報の提供などを、最もリスクの高い人々を対象に進めることができる。

ただ、同性同士の性的関係が違法な国もあり、汚名を着せられることや迫害が、支援を妨げるかもしれない。これには留意が必要だ。

サル痘を止められるかどうかは、ウイルスとの戦いであるのと同様、社会的・文化的な戦いでもある。

(英語記事 WHO declares highest alert over monkeypox

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62281625

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