
ミシェル・ロバーツ、デジタル保健編集長
イギリスで7月上旬に新型コロナウイルスの検査で陽性となった1万7500人のデータから、現在の主な症状はのどの痛みとせきだということが明らかになった。他にも、頭痛や鼻詰まりなどが高い頻度で報告されている。
一方、英国民保健サービス(NHS)が主な症状としてリストにあげている、高熱や味覚・嗅覚の喪失を訴える人は格段に減ったという。
しわがれ声、くしゃみ、倦怠感、筋肉痛といった症状も増えている。
イギリスでCOVID-19の症状を報告するアプリ「ゾーイ」で最も報告された20の症状と、報告した人の割合は、以下の通り。
- のどの痛み:58%
- 頭痛:49%
- 鼻づまり:40%
- 空ぜき:40%
- 鼻水:40%
- たんの絡むせき:37%
- しわがれ声:35%
- くしゃみ:32%
- 倦怠感:27%
- 筋肉痛:25%
- 軽いめまい:18%
- のどのリンパ腺の腫れ:15%
- 目の痛み:14%
- 嗅覚異常:13%
- 胸の痛み:13%
- 発熱:13%
- 悪寒:12%
- 息切れ:11%
- 耳の痛み:11%
- 嗅覚の喪失:10%
この結果は、他の研究者の治験とも一致する。
「ゾーイ」とは別に新型ウイルスの追跡調査を行っている「リアクト1」は毎月、無作為に選んだイングランド住民15万人に自宅で行える検査キットを送付している。
COVID-19に感染した人が報告する症状は、パンデミックの展開と共に変化している。
この変化はウイルスの変化・変異によるものだと、研究者らは見ている。
最初に流行した中国・武漢で特定されたウイルスからいくつかの変異株が発現しており、オミクロンまで特定されている。
「リアクト1」を主導するインペリアル・コレッジ・ロンドンの研究者らは、オミクロン株では味覚や嗅覚の喪失を訴える患者は減っていると説明。その代わり、風邪やインフルエンザのような症状の報告が増えたという。
この調査では、イギリスでは今年3月に流行した、BA.1とBA.2と呼ばれるオミクロン株を追跡している。
しかしその後、感染力の強いBA.4とBA.5が特定され、主流に置き換わり、新たな感染の波を生み出している。
イギリスでは現在、国民の25人に1人にあたる約270万人が新型ウイルスに感染していると推定されている。
「ゾーイ」を使った調査を行っているティム・スペクター教授は、「COVID-19は今なお、大いに流行している」と話した。
「たとえ過去に感染歴があったり、ワクチン接種を完了していても、感染している」
「誰もが良い天気を最大限に楽しみたいのはやまやまだが、大規模イベントに出かけたり、オフィスで仕事をしたり、混雑する公共交通機関を利用したりすることが、感染リスクに見合うものなのか、自分で判断する必要がある」
「ゾーイ」と「リアクト1」は最近まで、英政府の補助金を得て調査を行っていた。
(英語記事 Covid: Sore throat and cough top symptoms)
提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62275607