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BBC News

2022年7月27日

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ボリス・ジョンソン英首相は26日、旧ソヴィエト連邦のスパイ機関職員だったロシア人富豪と個別に会談していた問題で、政府職員が同席しなかったのは、それが個人的な社交の場だったからと議会に説明し、「自分の知る限り、政務の話はしなかった」と述べた。

ジョンソン氏は今月初めの下院連絡委員会で、旧ソ連のスパイで現在はロシア財閥のアレクサンデル・レベデフ氏と、政府関係者の同席なくたびたび会談していたことを認めていた。外相だった2018年にイタリアで、レベデフ氏と会ったかと聞かれると、これも認めた。

レベデフ氏と会った際に、なぜ外務省職員が同席せず、やりとりの記録を残さなかったのか、下院委員会が書面での回答を求めていた。これに対してジョンソン氏は26日に書面で、レベデフ氏の自宅に泊まったことを報告したのは「透明性のため」で、この訪問は「定められた保安上の手続きに従っていた」と主張した。

「これはプライベートな社交のための訪問で、そこに公務員や警備担当が同行するなど、通常の慣行ではなかったはずだ」と、ジョンソン首相は書いた。

首相はさらに、政府資料は何も持参しなかったとして、「自分の知る限り、政務の話はしなかった」とも付け加えた。

ロシアをめぐって協議した後に

ジョンソン氏は2018年4月にイタリア・ペルージアで、レベデフ氏の息子エフゲニー・レベデフ氏が所有する邸宅を訪問したという。これは、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)外相会議に出席後のことで、ロシアに関する安全保障状況が、会議の議題の一つだった。

この会議の前月には、英南西部ソールズベリーでロシアの元スパイ親子に神経剤が使われたとされ、住民が死傷する殺人未遂事件が起きている。当時のテリーザ・メイ政権は、ロシアによる犯行と断定し、当時のジョンソン外相はロシア政府に警告している。

レベデフ氏はソ連時代の国家保安委員会(KGB)職員で、英夕刊紙イヴニング・スタンダードの元オーナー。ジョンソン首相は2020年夏に、息子のエフゲニー・レベデフ氏を一代貴族に推挙。エフゲニー氏は2020年11月、レベデフ男爵として、イギリス上院(貴族院)議員になった。エフゲニー氏は英紙インディペンデントの株主でもある。

英紙サンデー・タイムズはこれについて、イギリス公安当局が国家安全保障を脅かす恐れがあると警告していたにもかかわらず、エフゲニー氏と長年交友のあるジョンソン氏による直接の口利きで、公安当局の警告は撤回され、爵位授与は強行されたと報道している。

ジョンソン首相は過去に、この報道内容を否定している。エフゲニー・レベデフ卿はイヴニング・スタンダード紙面で、自分がイギリスの「安全保障上の脅威」だという批判に反論。父親が「KGBの対外情報部員」だったことは認めながら、自分自身は「ロシアの工作員か何か」ではないと主張した。さらに、ロシアのウクライナ侵攻を非難した。

「むしろ疑問が増えた」と労働党

最大野党・労働党は、今回の首相の書簡は「疑問に答えるというよりむしろ、疑問が増える」内容だったと批判。「政務を話し合ったかどうか、まだ思い出せない様子」で、首相は「何か隠しているのではないかと」うかがわせる内容だとしている。

同党のアンジェラ・レイナー副党首は、「イギリス国民の安全を守るのが政府の最優先課題であるべきだが、このように不透明な関係がはびこる保守党に、この国の安全保障を信用して託すことはできないと示す」内容だったと述べた。

(英語記事 Boris Johnson says meeting with ex-KGB agent Alexander Lebedev was social event

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62314652

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