
山口市でサルが人を襲い、住民を数週間にわたりおびえさせている問題で、市当局は26日、暴力的なサルの集団の1匹を捕獲し、殺処分したと発表した。
市当局などによると、捕獲されたサルは推定4歳で、体長は約50センチだった。
市当局の委託を受けた捕獲業者が26日夕、高校の敷地内で1匹のオスを発見。麻酔銃を使って捕らえた。このサルはのちに、襲撃に関わったサルの1匹だと確認され、殺処分されたという。
山口市内では3週間ほど前から、ニホンザルの一団が大人や子どもを襲う事案が相次いでいる。これまでに50人近くがにけがを負っており、多くは引っかき傷やかみ傷だという。
現地の農業当局の職員は、今回の捕獲後も新たな被害報告がまだ出ており、引き続き同じ集団の他のサルも探していると、AFP通信に話した。目撃者からは、さまざまな体格のサルが報告されているという。
サルが増え人間と摩擦
ニホンザルは日本の広い範囲に生息している。地域によっては農作物を食べたり、時には家に入り込んだりするため、害獣とみなされている。
ただ、山口市の襲撃事案は異例だ。
市の担当者は、「短期間にこれほど多くの襲撃があるのは珍しい」、「当初は子どもや女性だけが襲われていた。最近は高齢者や成人男性も狙われるようになった」と、今回の捕獲前に話していた。
当局は、わなを使った捕獲を試みたが、うまくいかなかった。今月上旬から実施されている警察のパトロールでも、襲撃は抑えられていない。
アパートに侵入したサルに4歳の女の子が引っかかれた事案や、幼稚園の教室にサルが侵入した事案もある。
ニホンザルはかつて減少が危惧されていたが、最近は数が増えている。
そのため、人とニホンザルの深刻な対立が起きていると、山形大学の研究は指摘。人間の行動や森林環境の変化が背景にあるようだとしている。