
イラクの国会議事堂に30日、イスラム教シーア派の有力指導者ムクタダ・アル・サドル氏の支持者らが乱入した。この1週間で2回目。乱入した人々は、サドル氏と対立する勢力による新政権樹立の動きに抗議している。
抗議行動の参加者らは当初、外国大使館などが集まる首都バグダッドの厳重警戒区域「グリーンゾーン」に続く橋の先に集まっていた。
その後、数十人がコンクリートの障壁を壊して国会内に乱入。イラク国旗とサドル氏の写真を振りかざした。
AFP通信によると、抗議者らは通知があるまで国会を占拠すると宣言しているという。
イラク保健省によると、この日の騒動で民間人約100人と、治安部隊員25人が負傷した。6人は重体だという。
ムスタファ・アル・カディミ首相は、治安部隊に対し、デモ参加者らを保護するよう指示。デモ参加者に対しては、「平和的な行動を維持し、エスカレートを避け、治安部隊の指示に従う」よう呼びかけた。
議会では27日にも、数百人が乱入する抗議行動が起きていた。
イラクでは昨年10月の議会選挙で、アメリカとイランの影響力排除を目指すサドル氏の率いる政治連合が最大会派となった。だが、サドル氏はライバル勢力との協力を拒否。連立交渉は行き詰まり、政権を担えていない。
その後、同じシーア派の政治連合「調整枠組み」が支援するモハメド・アル・スダニ氏が、首相候補として浮上。しかし、イランに近すぎるとして、サドル氏とその支持者らは、首相候補とすることに反対している。
現在の議会で最も力が大きい「調整枠組み」は、今回の抗議行動を非難。国民に「平和的」なデモを呼びかけるとともに、「国家、憲法が定めた機関、国内平和は、越えてはならない一線だ」と主張した。